じゅうろく
「そろそろ遊びも終わりにしようか...」
怒気を含んだ声でフィレスは私たちから視線をそらし、ゆらりと動き出した。
二番隊は完全に敗退している。
ドンマイだ!
一番隊も三番隊も一般兵は残りわずか。
まぁ、敵味方関係ないフィレスの最初の1擊でほぼやられてるんだけどね...。
上等兵たちはフィレスの言葉に道をあけている。
「あら、今日は一騎打ちなさるのね。
いつもは指示ばかりで副隊長に丸投げなさるのに...。
うふふ、今日はいい一日ですわ!」
王女は手を叩いて喜んでる。
一番隊の隊長さんは綺麗な顔をしていた。
あんな綺麗なのに、強いの?
本当なら感心してしまう。
きっとお嫁さんはよりどりだろう。
「ゼファー、魔術は?」
「剣技だけでやろう
そのほうがおもしろい」
二人は一気に間合いを詰めて打ち合う。
シンッッと静まり返る中、ロックだけが壁に寄りかかりながら、キラキラした目で見守る。
一緒に打ち合いたい!!って思ってるんだろうな~。
フィレスがなぎ払うと一番隊隊長が後ろに飛ぶ。
その勢いのまま剣をつく。
隊長が払う。
あんなんじゃ、いくら訓練用の剣でも骨折れちゃうよ。
こんなに強いと思わなかった。
今度は一番隊隊長が打ち下ろす。
一進一退に見えたけど、ギンッッ!!と音と共に一番隊隊長の剣が弧を描きながら飛んで、地面に突き刺さった。
「...はぁ、フィレス、降参だ、まいった。
相変わらず君の剣は重いね、腕がいまだにビリビリするよ」
一番隊隊長さんは腕首をおさえながら、フィレスに笑いかけた。
わぁっっという歓声に、私は我に返る。
どうやら三番隊が今回勝ったみたいだ。
...やっばい!
私ったら見入ってた。
ただのヘンタイかと思ってたけど、実はかっこよかった。
マジ私やばい。
真っ赤な顔をしてうつむいてると、王女様が声をかけてきた。
「はぁ、残念ながら動揺作戦は失敗なようですわ。
ほらレーナ、おいでなさい。
隊長室にまいります」
少しプリプリした様子で王女は先に歩き出してた。
えぇぇぇ~~~~っ!!
帰らしてください~~~~!!
うおぉぉーーー!
再びガッツリ睨んでくるフィレスに目を合わせることができないっっ!
おぃっ!ロック!!
また笑い出してんじゃねえぇぇぞ!!
毎度ありがとうです!
緊張の連続にハフハフしてます




