じゅうご
「一番隊は近衛兵ですので、城の守りを基本としてますの。
二番隊は情報戦術に長けてますので、頭脳戦がメインですのよ。
三番隊は荒事が多いので、機動力は素晴らしいものがありますわ。
魔術師隊は基本的に三番隊とよく組んで行動いたしますの」
「ソウデスカ~
モウ帰ッテイイデスカ~?」
「あら、せっかくなので隊長クラスをご紹介いたしましょう」
「いえいえいえいえいえ!!
命が大事ですので、お気になさらず!!」
闘技場で並んでる怖い人、約1名が不穏な空気出してるんでやめてください!
たぶん知り合いが、笑いに悶え苦しんでるんで刺してきていいですか?!
なんで王女様、そんな満面の笑顔でキラッキラしてるんですかっっ!!
いろんな意味で胃が痛くて吐きそうです...。
「では一番隊から三番隊で、総当りによる実地訓練を始めます。
魔術師隊はリタイヤした者の回収、回復をお願いします」
統指令官が声をかけるとバラバラと分かれていく。
一番隊も二番隊もあれこれと隊長を中心に話しているが、三番隊だけ半端なく雰囲気が悪い。
そりゃそうだろ。
中心の隊長があんなおどろおどろしい空気出して、周囲を圧倒してるんだから...。
人死な雰囲気デスネ~。
帰ったらコワイなぁ...。
「うふふ、いつも圧勝な三番隊だけど、今回はどうなるのかしら?」
セリア王女が満面の笑みで声をかけてくる。
「あなたがフィレスのアキレス腱だってわたくし、知っていましてよ?
不甲斐ない姿を見せられたら、あなたをおウチに帰してあげられませんわね。
いつもすまして、久しぶりに見ましたわ、あんな顔!
あぁ、楽しい!」
ワタシ、楽しくないっっ!!
ドーーーーーンっというドラの合図に一斉に各隊員が走り出す。
合図の後、フィレスが手をかざし振り下ろすと、中心を大爆発が襲った。
味方も巻き添え覚悟ですかーーーー!!!!
怒りでギラギラとした目がこっちを見ている。
その目をフンッと鼻であしらうように王女は片頬をあげる。
「あら、魔力まで上げるなんて上等じゃない」
もう私は気が気じゃない。
おうち帰りたいよ~!!!
モウモウと土埃がたつ中、あちらこちらで金属の音が響く。
「まいった」とか「まだだ!」とかいう声が聞こえる。
実践さながらの剣技で、土埃の収まる頃にはすでに二番隊は降参寸前だ。
一番隊は王宮を守る意地と根性で、三番隊と善戦してる。
お、ロックがどんどんと戦果をあげている。
さすが副隊長だけあるなぁ~。
よどみない剣技で前の隊員をけちらしていく。
フッとフィレスを見ると、こっちを睨みながら後方で腕を組み立っている。
「ジャック!剣先がぶれてる!
ザックス!集中しろ!
ジェームズ!遅れを取るな!
ロック!お前楽しんでないで、新兵にも残しとけ!!」
「へ~~い!」
間の抜けた返事が聞こえてくる。
家ではヘンタイしてるのに、仕事場ではちゃんと隊長してる...!
こっちガン見だけど!!!




