じゅうに
フィレスが帰ってきた。
執事さんにキビキビと指示する姿はさすがだ。
「おかえり」
「ただいま、レーナ今日は何してたの?」
「字の練習よ、執事さんと交換日記することにしたから、ノートちょうだい」
「え!!ちょ...そんな仲良くなったの?!
クッ...俺も混ぜてくれたらいいよ」
「いいけど、字の練習のためよ?」
すんごい執事さんに睨みきかせて見てるけど、あんたバカでしょ?
なにやら2人で目だけで話してるけど、もはやどうでもいい。
「お腹すいたからご飯早く行こう」
「...わかった。
レーナ、ただいまのキ「早く行こう」」
フィレスの話は聞かない。
相手にしない。
ヘンタイだから!!
食事が終わると勉強に疲れたのだろうか、ウトウトとしてくる。
「レーナ、疲れた?」
「うん、今日はしんどいみたい。
悪いけど先に寝るね」
そういって、私はフラフラと2階に上がった。
下から「おい!メンフィス、交換日記とか、お前ずいぶんレーナと仲良くなったんじゃないか?」とか「おやおや、男の嫉妬ですか?どなた様がシモなことしか考えてないからじゃないですか?」とか、すんごく見下した声が聞こえたけど、かまっちゃらんない。
私は眠いんだ。
風呂に入ってるとき、家がグラグラ揺れたってどってことない。
...自分が揺れてるから。
あれ?いつの間に布団で寝たのかしら?
「...。
なんであんたが私の布団に入り込んでるのよ!
はなしてはなしてはなして~~!!」
夜中に目が覚めて愕然とした。
鍵はかけた...はず。
ドアの前に障害物も置いた...はず。
なんでフィレスはいつの間にベッドに入ってきたのよ。
そして私を背後から抱き枕!!
ムチムチでさぞや抱き着心地いいでしょうね!!
「んぁっっ!
首舐めないでっ」
「ハァ、もう限界...」
すごく辛そうにフィレスが呟く。
「ちょっと!
なんでフィレスがいるのよ!」
「...ん~?
そんなの外からだよ。
レーナ風呂で寝てるんだもん。
俺心底焦った」
ギュウギュウと抱きしめられる私の体は裸だ。
「家主が外からって...いや、離して」
「じゃ今は、キスだけ」
「ん...ちょ...だ...」
だからベロチューは...。
そっちは触っちゃダメ!
ダメって...だぁ...だめぇ...。
なし崩しってこういうことね。
抱き潰されて昼までぐうぐう寝ていた私は、夕方帰ってきたフィレスの顔がツヤッツヤキ~ラキラで、蹴り飛ばしてやりたくなった。




