第9話 「黄金週間:対面」
Side. 五十風つばさ
五月四日。木曜日。世間はゴールデンウィークなるものの影響で休日が続いており、この日もみどりの日で祝日となっていた。
そんな日の午前十時半ごろ、私は千颯から琴羽音駅に来るように言われていた。
そして十時二十分ごろに私が指定された奇怪なオブジェクトの前にやって来た時には、千颯はそこにはいなかった。
まだ時間になっていないので、もう少し時間だったたら現れるだろうと思いそのまま待つこと一時間。一向に彼女の来る気配はなかった。
流石におかしいと感じ電話をかけてみても、応答はない。
十時四十分ごろに送ったメールにも、何の返事も帰っては来ない。
いつになったら現れるんだ。そう思いながら辺りを見回してみる。
すると不思議なことに、周りにいる人々が私の頭上を指さして何かをひそひそと会話しているのだ。
気になって上を見てみるとそこには、
「つばさ、もう少し早く気づけないのか?」
学校の制服を着て座禅を組んだ状態で漂っている千颯が視界に入ってきた。
「千颯、パンツ見えるよ?」
「大丈夫だ。対策はしてある」
そういって千颯はおもむろにスカートをめくり、学校指定のジャージを見せつけてきた。
「これで見られても平気だ」
「いや、そういう問題じゃないから。あと千颯はいつからそこにいたのさ?」
「ん? つばさがバスを降りたときからずっと浮いていたが?」
「いや、だったらせめて声くらいかけてよ……」
「それじゃあ、浮かんでいた意味がないではないか」
「だからなんで浮かぶのよ。まあ、いいわ。どうしたの、千颯。こんなところに呼び出して」
どうでもいいような会話の後、私は本題を切り出した。すると、先程までは若干ふざけていたような顔をしていた千颯が、急に真顔になった。
「いや、大したことじゃないんだが、少し気になったことがあってな。ちょっとついてきてくれるか?」
そういって連れて行かれたのは、この間七校の生徒が暴れているとの連絡が入った場所だった。
「ここがどうかしたの?」
「場所というよりはある人物が問題なんだがな……。っと、彼女はもう来ているようだな」
そういって歩き出した千颯についていくと、そこには七校の制服を着た一人の少女が立っていた。
「つばさ、紹介しよう。彼女の名前は藤野れいか君だ。七校の一年で、この間暴れていた生徒達に関係する人物だ」
ひっさしぶりの更新となります、マチャピンです。
うん、大丈夫。
生きてます。
これからは、心を入れ替えてさぼらずに執筆するよう心がけますので、皆さまどうかよろしくお願いします。