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残り続けるもの

掲載日:2026/04/22

15分短編です

 彼女が死んだ。病気だった。ずっと一緒に過ごしていたのに、俺は全く気づけなかった。俺が気づいた時には、もう、病気は治せないレベルまで進行していた。

 彼女は、ゲーマーで、動画を配信して稼いでいた。俺の稼ぎなんかより、何十倍も稼いでいた。

俺は彼女のゲームの趣味に付き合わなかった。男の俺が、彼女より稼いでいない現状を認めたくなくて、懸命に彼女より稼ごうと、がむしゃらに努力していた。

その報いが、これか。神様の馬鹿野郎。

 彼女に何度誘われても、まったくゲームをしたことは無かったけど、俺は何かにすがるように、彼女がプレイしていたゲームを起動していった。

 バトルもの、銃で敵を倒すタイプの物、RPG、日常系、ホラー。彼女のゲームラインナップは幅広い。どのゲームが良いのかはわからないけれど、自分好みの部屋を作るれるという触れ込みの、のんびりとしたゲームから始めてみることにした。

 ゲームなんてほとんど触ったこともないから、起動だけでしばらく時間がかかってしまった。だって、ソフトがCDやDVDと同じ形してるなんて、知らなかったし。

 きっと彼女が見たら、笑いだすんだろうな。

 ゲームを起動して、世界観の説明が始まった。その間に、ソフトの箱に書かれているゲームの説明を読むと、家具を自分で作ったり、家を一からくみ上げて作るなど、リアルさが売りのゲームである事が解った。

 何を押せばよいのかなんて全くわからないけど、とりあえずボタンやコントローラーの操作をスマホで調べつつ、ゲームを進めていく。

 そう言えば彼女は、何度もプレイしてたくさんの部屋を作ったと言っていたから、きっとずっとハマっていたんだろう。そう言えば、亡くなる直前にも、ベッドの上で「あのゲームでまだ作ってない家具があるんだよ~」と言っていた。

 もし、隣にいてくれるなら、俺がゲームプレイしているの、見守ってくれよ。

 新しいゲームを始める前に、彼女のセーブデータを見てみようと思って、データを開いてみると、沢山のデータが出てきた。

 どうやらクリアした日付ごとに並んでいるようだった。

 日付を確認していると、俺の誕生日にクリアしたデータがあった。本当にずっとやっていたもんなぁ。

 誕生日のデータを開くと、キャラクターの部屋から物語がスタートする。家具などが、俺の一人暮らしをしていた時の部屋に似ていた。

 画面の奥の方に、段になったケーキと俺に対するメッセージが描かれていた。すごいなぁ、ゲームってそんなこともできるんだ。

 メッセージには「ハッピーバースデー!」と書かれていた。

 これ、もしかして、他の日付の奴にも何かあるのかな?

 とりあえず片っ端から開いていくと、全部には無かったけど、俺との記念日や、同棲を始めた日、お互いの両親への挨拶の日など、特筆した日に、何かしらのメッセージが残っていることが解った。

 彼女ってマメだったんだなぁ・・・。それなのに俺は、頑なに彼女との時間よりも、稼ぎで勝つことを優先してしまっていた。

 重たい気持ちで最後のセーブデータを開くと、「君のデータ増やしてね」と書かれたボードが壁にかけられていた。

 日付を確認すると、彼女が入院した日だった。



——ゲーム、ちょっとずつやってみようかな——

あれ、画面見えないや

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