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白雪冬香は清廉な乙女

「うん、美味しい」


程よく沸騰した小鍋から味噌汁をひとすくい、キッチンに立つエプロン姿の美女は、

長いプラチナブロンドの髪を靡かせながら、それを優雅に口に運んで笑顔を見せる。


「雨音ちゃん、今日のはどうかな?」


女性は少し心配げな表情で、隣で卵をかき混ぜている雨音にスプーンを向ける。

雨音は軽く背伸びをしながらそのスプーンを口に含み――


「・・・美味しい、っていうか、冬香ねえが作ったんだから当たり前に美味しすぎるんだよね・・・」



何度食べても脱帽させられる味。

それなりに料理は出来ると自負していた幼少期から、格の違いを思い知らされつづける。


雨音が冬香ねえと呼び慕う、その女性は・・・



「嬉しいなぁ、雨音ちゃんはいっつも素直に美味しいって言ってくれて、作りがいがあるよぉ~」


エプロン姿のまま、雨音を胸に抱きしめて頭を撫でる。

まるで母親のように。



――”白雪冬香”――


超美人。

――いや、それすらも生ぬるい感想といえる。


容姿端麗

純真無垢

清廉潔白


この世のありとあらゆる綺麗な言葉を並べることで魅力を語るに値するだろう。


齢21。


シミ一つ無い美しい色白の肌。

長い手足には程よく肉がつき、バストやヒップはそれ以上に美しく膨らむ。

ウエストは細く、身体全体のバランスが絶妙な健康体。


それでいて、

顔立ちも絶世の美女。

整った鼻筋に、桃色に膨らんだ唇。

長いまつげに、両目は大きくグリーンの瞳は優しく潤う。

綺麗な顎に手を添えて微笑む様は女神そのもの。

料理で流す汗は綺麗で、長い髪が靡けば優しい匂いが漂う。

メイクもなにもしていない、すっぴんとは思えない美女がそこにいる。



そして、

ルックスの異常さに負けず劣らず、

冬香の女子力・性格の美しさは誰もが目を見張る。


料理の腕は一級品。

家事を行えば、素早く完璧にこなして涼やかに笑う。

雨音が着ているワンピースも、冬香が仕立てたもの。


田舎の畑仕事や雪かき。

困っている全てに手を差し伸べる姿。

それは彼女自身の寵愛の心根によるものである。




―――コトッ

そんなこんなで、冬香特製の朝ご飯がテーブルに並んでいく。


茶碗いっぱいにホカホカツヤツヤの白米。

冬香製の鰹だしを用いた、豆腐とわかめの味噌汁。

紅鮭、だし巻き卵、サラダ、ひじき。

デザートにウサギ型のリンゴ。



空家の普段の朝食とは段違いの光景だ。


「やっぱり、すっごっ・・・」

「ふふふっ、じゃあ食べようか」

「あっ、アホ兄貴起こしてくるわ」



朝7時30分。

既にリビングには朝日が差し込んでおり、雨音は晴人を起こしに行こうとする。


「あ~・・・いいよいいよ、ハル君起きないだろうし、寝かせてあげて」

「――冬香ねえ、マジで兄貴に甘すぎない?」



冬香は椅子に座りながら雨音を止め。

その言葉に、雨音も座り直す。


雨音の言うとおり、冬香の晴人への甘やかしっぷりは相当なモノだ。

一体何が、彼女をそこまでさせているのか?

雨音には分からなかった。


「一体、兄貴のどこに惚れてるの?」


「―――私は、ハル君に全てを捧げるって決めてるから・・・」

「――――また、それ?」



雨音がこう聞く度に、冬香はニッコリ笑ってこの言葉を発する。

その意味が10歳の雨音には分からなかった。



「いただきます」

「・・・いただきます」



2人で手を合わせて美味しい朝食をとる。

雨音が美味しいと笑いかければ、冬香は嬉しそうに笑う。


そこには、

まるで本当の姉妹のような幸せが広がっている。

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