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【和風ダンジョン】化け屋敷〜猫又編〜  作者: 真綾


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3/4

特訓

ライトノベルだとめちゃくちゃ盛り上がる特訓、修行。

でも主人公が、ドライすぎる、すぎるってなって書いてました。

 闇に生きることを生業にしている人はそう多くはない。夜でも光を灯すことを覚え、人々は闇のモノと距離を置くことを覚えた。

 人外に理屈は通用しない。彼らにとって人間は美味しい糧にしかならないのだ。


「今日の特訓は一晩中結界を維持しながら隠したものを見つけ出してもらう。くれぐれもサボるなよ。監視はつけているからな」


 食後、異空間に繋がっている部屋に来ると、親父はそれだけを言い残して姿を消した。

 母さんが仕事に出てからしばらく経つ。母さんの一族は癒しの巫女と呼ばれており、守護し癒すことを得意としていた。両親の血統の特性を俺たち兄妹は継いでいる。そのため妖怪退治に特化した訓練だでなく全体的な修行が必要だった。

 

 血のおかげで妹が無事生まれたと言っても過言ではない。

 妹の晶が生まれるとき、霊力の高さから生まれる前に存在を消してしまおうと妖怪たちがやってきた。命の危機を感じた晶が母さんの腹にいる時から暴れていたので家が化け屋敷に飲まれることはなかったが、百鬼夜行が家の中を歩いていたのは気持ち悪かった。霊力のある娘が生まれるからと、助産師たちにもある程度力に影響されない者を選んだつもりだったのだが、それが逆に仇となり、妖怪たちに怯えて逃げてしまったのだ。


 そのことを晶に話していないはずなのに、覚えていると言っていたのは驚いた。

 俺のことを慕っているのは嘘じゃない。

 命を救われたからだと言っていた。

 俺の力はあの時使い物にならないものにしておいたのに、それが偽造だとバレているのが、悔しい。

 晶は別に当主になることを嫌がってはいない。親父が俺のことを諦めてくれないのだ。実際問題、親父は母さんと結婚したくて家督を弟に譲り癒しの巫女と結婚した。

 両家の血を色濃く継いでいる兄妹は、本来本家に引わ達されるはずだったのも、両親が駄々をこねたためにそうならずに住んでいるらしい。

 最も家督を継ぎたい奴に与えるべきだと俺は思っているのだが。


「今日の妖気濃くないか?」


 特訓場に張り巡らされている術は、今日は森に見えるようなもの。結界を張れというのはこの妖気が外に漏れ出さないようにして、おそらく浄化も含まれる。

 探し物と言っていたが、この森の中に一体何を隠したのか。


「親父いつも容赦ないよな。家の中に妖気が漏れたらどうするつもりなんだ……?」


 外部の攻撃に対する結界は宮塚家が門番の役割を果たしている。空間を切り離すこともできるので、妖怪たちが湧いてくる可能性だってある。

 家を化け屋敷にしてしまった未熟な術者の話も聞いたことがある。そうさせないための門番がうちにいる。誰にでもできる芸等でないために、俺は小さい頃から恵まれているなと改めてしまった。


「浄化をしながら、探し物をしてもいいかな……。条件は結界を維持しながらってことで。でもこんだけ妖気が濃かったら小物の蟲とか湧いてきちゃいませんかね、親父」


 全てが試されている。それが修行の場。親父のことだから家が危険に晒されることはないはずだ。母さんが帰ってきて家が半壊なんかしていたら多分怒ると思う。

 母さんが怒ると怖いんだよな。誰にも手が出せない。


 右手で印を結び、俺は神経を集中させる。余計なことを考えている暇はない。異空間の中は時間の流れが違う。実際に一晩中修行をしていたら次の日の学校に支障をきたしてしまうため6時間ほどの体感をここでするだけだ。


 現実は1時間ほどしか経っていないので、子どもの頃ここで修行するのがとても怖かった。修行をしてもしても終わりがこない。化け屋敷に閉じ込められた時のことを考えた結果の修行方法らしいのだが、スパルタすぎる。


「隠しされたものは、大切なもの。姿を示せ」


 失せ物探しはあまり得意じゃない。物が姿を消すのは意味がある。それを無理やり探すのは陰陽師としてやらないわけではないが、率先してやりたくない。


 簡単に言えば自分にとっての好き嫌いだ。付喪神なんかが一番いい例かもしれない。彼らは大切にされた思い出と共に存在している。持ち主の気持ちを汲んでいるのだ。


「って、封筒?」


 考え事をしていたらフワフワと一枚の白い封筒が飛んできた。

 中を見てみると、母さんの字。


「危険が迫っているかもしれませんので、修行を怠らないこと。魚をしっかり食べること。お肉が食べたくなっても鶏肉にしなさい」


 夢見の才がある母さんは予知夢を見ることがある。だからこそ母さんの存在は秘匿しておきたかったと、親父が漏らしていたのを思い出す。予知夢について知っている者は限られている。仕事を通じて出会った二人。元々許嫁がいたがそれを蹴り、恋愛結婚ができたのも、二人の能力あってこそ。

 そして母さんの予知夢は百発百中。だからこそ、言わないことが多い。

 なのに今回は手紙という形で俺に伝えようとしてきている。


「危険と言われてもなぁ。この辺り一体守るのが役目だし、抽象的すぎる。魚をしっかり食べろって俺好き嫌い少ないしな。今日の夕ご飯の豚の生姜焼きはとてもおいしかった」


 母さんからの警告を修行の場で手に入れさせるというのもまた、親父らしい。別に知らなくてもいいし、でも知っていた方がいいという部類のもの。

 妖怪絡みであることは間違い無いだろう。

 見つけられるか、俺の能力を試しているんだ。


「だから俺は、当主になる気はないんだよなぁ……」


 優秀な妹に全てを渡し、悠々自適に暮らしたい。誰かのために命を落とすなんてこと、もう懲り懲りだ。


「っと、集中、集中」


 探し物を見つけたことに安心して、結界が疎かになってはいけない。

 あと数時間。こんなに早く探し物が見つかるとは思っていなかったので、俺は最近遊んであげれていない晶と、夏休みにどこかに出かけたいなと考えを巡らす。


 まぁ、肝試しなんかをしだす馬鹿もいたりするから、楽しく家族旅行をした夏休みなんて存在していないんだが。

 

ここまで読んでいただきまして誠にありがとうございます。

励みになります。


次は学校が舞台。題名にある猫又ちゃんはいつでてくるのか、今からとても楽しみです

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