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7 千人組手


宮廷騎士団の過酷すぎる特訓から抜け出して、庭園で結婚を前提に付き合うこととなったアウリエとリリー。しかし、二人の前にはとある壁が存在するのだった。

その壁とは、やはり宮廷騎士団だった。辺境の地からやってきたアウリエが騎士団長の姉であるリリーと付き合うためには、どうしてもその組織が必要だった。


「……わかりました。まあ、そこまでは理解していますが!」

「どうしたの?もう宮廷騎士団を辞めさせてあげて?」

「リリー。それは無理だよ。それはさすがに両親が許さない」

「でも、どう考えても無理じゃない!向いてないじゃない!」

いつものように訓練施設にやってきた俺は、リリーと一緒にとある提案をしているのだった。それは、俺が宮廷騎士団を辞めるという話。


結婚するのであればこんなことをしている時間もない。

家事とかなんとかやらないといけないことがたくさんある。

だから、辞めようとしたのだった。

が、なんだかとってもややこしいことになってしまっていた。なにが起こっているのかはまだ十分に理解できていないが、リリーが困っているのは確か。


「宮廷騎士団でなければ二人の結婚を認めることはできない」

「ユーリ!そんなイジワル言わないで!」

「イジワルではない!リリーもわかるだろ!」

「わかるけど、でも、じゃあ、修行を辞めさせて!」

「修行をしない人間が宮廷騎士団に所属していていいわけがない!そんなことを言われても無理なものは無理だ!道理が通らない!」


姉弟喧嘩をしている二人。

本当は俺が止めるべきなんだろう。

けれども、なんの話をしているのかわからないから止められない。

どうやら身分的な問題で結婚ができないらしいが、宮廷騎士団にさえ所属していればそれも許されるらしい。やはり、騎士の身分かどうかが大事なのかもしれない。


「ここにいる全員よりも彼は強いのに!?理不尽じゃない!」

「……それはそうかもしれないがぁ……」

「どうなのよ!ユーリも負けたんでしょ!?」

「それを言われると弱ってしまうがぁ……」

「文句がある人は全員!このアウリエル・ルークスが叩きのめす!ってみんなに伝えておきなさい!それで全部解決するはずでしょ!?」


「ちょ、ちょっと、言い過ぎかも?……」

「アウリエは気にしないで。大丈夫だから」

「俺が不甲斐ないばかりに、申し訳ないです二人とも」

「アウリエは謝らなくていい。結局は面倒な身分制の話だ」

「あの、もしも、実力を見せたら、みんなに実力を見せたら修行をしてなくてもここに居させてくれたりするんですか?それなら、やりますよ」


「アウリエ?将来的には弟になるんだからもっと砕けていいのよ?」

「そ、そうかもだけどね」

「そうか、俺の兄になるかもしれないのか……」

「なに!?なにか問題でもあるの!?」

「いや、問題なんてない。むしろ、俺としてはありがたいくらいだ。なぜならば見ず知らずの剣士に負けたとなるよりも、兄に負けたとなった方がまだよい。それに、実力だけを言うのであれば間違いなく自慢の兄になるはず」


どこか限定的な言い回し。

もっとシンプルに自慢の兄と言ってくれたらいいのに。

「あの、とうなん、の?どうなの?さっきの話は」

「あ、あぁ。確かに、あらゆる人に実力を見せればそれでいいかもしれない。が、そんな、いくらアウリエだからといっても、そんなに複数人を相手にすることはできないだろう?」


「やってみてもいい?百人組手」

「百人組手ということは、連続戦か?」

複数人を相手にする必要はない。

シンプルに一対一をたくさんやればいいだけだ。もしもみんながユーリよりも弱いというのであれば、それは別に不可能なことではないと思う。そこまで難しいことではないと思う。


「ここにいる全員に勝てば認めざるを得ないはず」

「しかし、本当にそんなことができるのか?」

「申し訳ないけど、準備してくれます?ユーリ」

「まあ、準備はするよ。しなかったら姉さんに殺される」

参ってしまったような表情でリリーのことを見るユーリ。彼は姉のことをめちゃくちゃ怖い存在だと考えていた。なので、従わざるを得ないのだった。


「やってくれるわよね?アウリエ?」

「絶対になんとかします。結婚しましょう」

「もう!嬉しいこと言ってくれる!」

「本当に、どんな手段を使ったとしても勝ちます。まあ、そんなことしなくても大丈夫だとは思うので安心してくれればいいと思います」


まだまだ敬語とタメ口が混ざってしまう。

いつかずっと砕けた口調で話せるようになるのか。

というか、思えばこの騎士団って何人いるんだ?

同じ施設で訓練している人たちはそれなりの人数がいるようにも見える。それこそ本当に百人くらいはいるかもしれない。


「ちなみに、騎士団員って何人くらいいるのかな?ユーリ」

「おそらく、千人ほどはいるかと思います」 


思ったよりもいるみたいだ。ということは、俺は千人対一の勝負をしないといけないってことか。まあ、愛の力でなんとか越えてみせる。


クリスマスが今年もやってきました!

よい一日を!

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