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24 身分は関係なし


寝ていたグレンと一緒に道場へと向かう二人。どちらもさっきまでとは違い、会話ができなくなってとても不自然な感じになってしまうのだった。

その中でリリーはグレンのことを理不尽なことを言ってきた人物だと認識するようになってしまう。なんにせよこれから長い付き合いになりそうな英雄に対して、内心負の感情が募っていくのだった。


俺たちは隠れ里の道を歩いている。

人がほとんど通らないから獣道のようになっていた。

都会住まいのリリーにはそれが不馴れだった。

なので、行きの時は俺もちゃんと気を遣ってあげていたが、今は中々そうもいかない。俺はなんとなく視界にリリーのことを入れながらもなにもできない時間を過ごすのだった。


アウリエのそれはリリーにも伝わっていた。

なので、自然とその憎しみの標的はグレンへ向かう。

正直な話をすると、リリーの周りにはたくさんの英雄がいた。

もちろん、魔王を討伐したほどの英雄はいなかったが、それでもある意味では英雄慣れしている部分があったのは間違いなかった。英雄慣れとはなんだ。


そんな三人は無事に道場まで到着する。

そこには先ほどから待たせていた従者たちがいた。

彼らはグレンに対して深々と頭を下げたが、そういう扱いを受けるのさえ嫌になっていたグレンはそれを軽く受け止める程度に留めるのだった。


「それじゃあ、道場へ入るとしようかのう」

「わかりました!」

「それにしても長旅ご苦労じゃったな」

「お気遣いありがとうございます。会えて光栄です」

紳士の世界では嫌いな相手にこそ丁寧な振る舞いをするべきだという作法がある。じゃないと嫌いな相手に評判を落とされるとかいう最悪のパターンがあり得るからだ。


道場に入って食料の確認をするグレン。

彼はそれらに瞳を輝かせるのだった。

そのどれもが光輝いて見えていた。

それだけこの場所で娯楽に餓えていたのだ。もうとにかく寝ることくらいしかやることがないのだった。もはや終の住処だった。


「こんなに持ってきてくれたのか!助かるぞ!」

「満足してくれたならなによりです」

「よし!これで約束通り、修行をしてやることにしよう。どうじゃ?せっかくじゃし、従者もやって帰るか?宮廷騎士団の連中を見返したいじゃろ?」


当たり前のようにグレンの提案はみんなにとって魅力的だった。

しかし、中々そんなことを受けることはできない。

目の前にリリーという貴族じみた人がいるからだ。

そんな人がいる前で自分の意志を発揮するのはとても難しいことだった。が、中には無謀とも言える勇気がある者もいた。


「あの、いいですか?せっかくなので」

「お、いいぞ。お主だけか?」

「あの、俺も」

「私も」という風に続々と人々が続いていく。それを見ていたリリーは微妙に不機嫌になるのだった。(従者ごときが調子に乗るな)とまではいかないが、似たようなことを思っていた。


「あの、私の修行もしてくださるんですよね?」

「もちろんじゃろ?それは当然じゃ」

「そうですか。それは安心です」

「そうじゃ。一言言っておかないといけないことがある。ワシにとってはお主らがどんな身分の人間なのかはそこまで関係がないのじゃ。だから、お主だけを特別扱いするということもないぞ?」


これは、リリーには効くんじゃないか?

なんとなくそういうのめちゃくちゃ気にしそうな人だし。

あ、なんか実際に表情が効いた表情に変わった。

自分の感情を圧し殺しているような表情をしながら下を見ているし、きっとめちゃくちゃ効いてるんだろうな。まあ、そういうのにも慣れていきましょうよ。言えないけど。


「というわけじゃ。今回はみんなと一緒でよろしくな?」

「わかりました。私もみんなと一緒に修行ができて嬉しい」

絶対に嘘じゃん。なんか勢いで結婚を前提に付き合うことになったけど、もしかして結構面倒な性格の人だったりする?相性がいいとはとてもじゃないが思えない。


俺もたまたま強いから認めてもらってるだけだしな。

それに、宮廷騎士団を辞めたら普通にダメになりそう。

そう考えると俺たちの間に愛はそんなにないのかもしれない。

間違いなくちょっとはあるんだけど、そのちょっとの愛を持ってして愛があると語るのはあまりにも無責任すぎる。これは大変なことですよ。


政略結婚ってどうやってんだろ。

普通に考えて上手くいくはずなくない?

でも、割とそういう話はよく聞く。

人間っていうのはどんなことでも耐えられるのかもしれないな。多少の相性の問題があったとしても乗り越えられるだけの精神力が人間にはあるのかもしれない。


もはや哲学的にならざるを得ないアウリエだった。話したいことがあっても話せないのでそれもやはり仕方がないのだった。

グレンが言った「“イチャイチャ”してはいけない」という決まりは全体的に予想外の方向に動いていた。これからそれがどうなるのかは本当に誰も、本当に誰もわからないのだった。



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読んでいただきありがとうございました!

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