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20 そんなに怒らなくても……


グレンのところで修行をすることになったリリー。それによって宮廷騎士団の修行から逃げようとしているアウリエ。そんな二人はユーリの元へ向かう。

その用件はやはり修行をする事の報告だ。しかし、それが穏便に済むとは到底思えなかった二人はそこへ行く前から戦々恐々としているのだった。リリーはまだ強気だったが、アウリエが弱々気だった。


いつものように訓練場に来た俺とリリー。

まだここにはユーリは来ていないようだ。

というか、俺たちは向こうで泊まる予定になっていた。

なので、ユーリからすればどうして俺がここにいるのか全く理解ができないだろう。そして、俺たちがこれから話す事も全く理解できないだろう。


「ん?なんだ?どうして二人とも?」

「あら、ユーリ。私たち、貴方に話があるの」

「話?なんだか不穏だな」

勘が鋭いユーリだった。

まあ、でも、お互いにとって悪い事ではないはずですよ。でも、ユーリにとっていいことなのかは知らない。てか、多分だけど、ユーリにとってはいい話じゃない。


なぜならば意味がわからないから。

自分の家族がいきなり英雄の元で修行をする事になった。

そんなの誰が家族でも意味がわからない。

そうやって考えてみるとユーリは俺が出会ってからずっと可哀想だ。

いきなり知らない男に瞬殺され、姉がソイツと結婚することになり、ソイツは修行をサボっているように見え、なぜか姉が英雄の元で修行することになる。


わけわからん。

可哀想な人だ。

「実は、私、グレン様、じゃなくてグレン師匠の――」

「『グレン師匠?』なんだ?なんか安穏としてないぞ?」

ユーリは頭もよかった。なので、リリーのその言葉である程度の事を理解したようだった。俺からするととの頭脳すらも可哀想ですよ。なんかわかりすぎてる感じがある。


「グレン師匠のところで修行することになったの」

「……正気か?え?どういうこと?リリー?」

「言葉の通りよ。これからそうなるから」

「引っ越すということか?ここはどうなるんだ?そもそもアウリエはここに残るのか?というか、どういう流れでそうなったんだ?ど、どういうことなんだ?」


訳がわからなさそうなユーリ。

今にも頭を掻き出してしまいそうな――

――掻いた。

ユーリは困惑のあまり頭を“ワシャワシャ”と掻く。思考が爆発しそうになっていて、それを必死に掻き出そうとしているように見えた。


本当に可哀想な人。

そして、おそらく損な性格の人。

グレン師匠のところに行った時はまさかこんなことになるとは思っていなかっただろう。しかし、人生とは常にこういう感じで不意にめちゃくちゃ進むのだった。


「とにかく、そういうことだからね」

「ちょ、ちょっと待て!それは確定なのか!?」

「でも、こんな機会を逃すなんてあり得ないでしょ?」

「それはそうかもしれないが……アウリエ!お前、リリーになにか変なことを言ったのか!?きっとお前のせいだろ!なんか口車に乗せたりしたのか!?」


ユーリの怒りの矛先は唐突に俺に向かってきた。

まあ、気持ちはわからないでもないよ。

でも、俺はなんにも悪い事してない。

俺ですら驚いたもん。でも、そこにはちゃんと俺への愛情みたいな物があるかもしれないわけですし、俺としてはこれを受け入れないなんてあり得ない。


「俺は、リリーの選択を尊重するよ」

「そりゃそうだろ!お前には都合がいいはずだ!」

「でも、俺から切り出したわけじゃない」

「そうなのか!?じゃあ、グレン様から?」

「私から言ったの。私もユーリと同じようにアウリエのこと勘違いしていたから、それで反省も込めて向こうで修行することになったの。もしかしたらユーリよりも強くなっちゃうか――」

「そんなこと!あるわけないだろうがぁ!!」


食いぎみに否定してきたユーリ。

そこにはちょっとした狂気があった。

まあ、アレだけ狂気的な修行をしてきたんだ。

そりゃ、少しぐらいは狂気的になった方が自然というもんだろう。こればっかりは仕方がないようにも思う。とはいえ、そんなに大きな声を出されると困るのも事実だ。


「ユーリ。そんなに大きな声を出すもんでもない」

「……お前になにがわかる!お前は天才なんだろ!?」

「ユーリも天才じゃない。騎士団長なんだし」

「俺がどれだけの努力をしてきたのかわかってるのか!?俺がどれだけの犠牲を払ってこの立ち位置を得たのか知ってるのか!?それを軽々しく越えようなどと……」


激しくなっていたユーリは落ち着こうと頭を振る。

やっぱり、ユーリも修行は嫌だったんだな。

でも、それをすることでしか成長できなかったから、仕方がなくそれをしていた。そりゃそうだ。あんなのを自分からやりたいなんていうバケモノがどこにいるというんだ?


アウリエは色々な事情をなんとなくだけ理解した。辛いのは俺だけじゃなくてみんなもそうらしい。そして、そんな修行ができない俺に負けたことは実は相当ショックだったらしい。

リリーと仲良くなれたと思ったらユーリと喧嘩することになってしまった。今度は誰と喧嘩すればいいんだ?




よいお年を~。

大晦日なのでいいことがあるでしょ~。

(小説を消すこともあります)

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