表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/26

19 帰り道


グレンの道場で修行をすることになったリリー。そして、それに付き添うことになりそうなアウリエ。二人は急遽決まったこの事態に少しだけ困っていた。

なぜならば、エメラルの人々にはなんにも相談をしていないからだ。それなのにこんな大事な事を決めてしまった恋の盲目さに驚いているのだった。


事態を冷静になったリリーが考える。

あまりにも先走り過ぎたと反省するのだった。

こんなにも自分が勝手な人間だとは思わなかった。

それでも、その尻拭いは自分でするつもりだった。とはいえ、そんなに大した事をする必要はない。シンプルに話をすればいいだけだった。


「それでは早速修行を――」

「ちょっと待ってください」

「な、なんじゃ?どうしてじゃ?」

「本格的に修行をする前に、一度エメラルに戻ってもよろしいでしょうか?みんなにもこの事を伝えなければならないので、一度帰宅させてください」


正座の状態から頭を下げるリリー。

畳の上なので違和感はなかった。

が、それはいわゆる土下座だった。

そんなことまでしてくれるリリーに感激してしまうアウリエ。「頭を上げて!」と言いたい気持ちもあったが、“イチャイチャ”と捉えられたら嫌なので止めておいた。お互いのために。


「ふむ。じゃあ、なにか食材でも持ってきとくれ」

「わかりました。それでは、そのようにします」

「しかし、そんなに多くはなくてよいぞ?別に無理のない範囲でよいからな?修行をする前に怪我なんてされたら意味がないからのう」


グレンが一番恐れているのは怪我だった。

それさえなければどんな人間でもなんとかなると思っていた。

が、人はどうしても怪我をしてしまうものなのである。

それを防ぐための修行でもあるのだった。あくまでも、一人にフォーカスを当てて修行をする性質的にそうならざるを得なかった。


宮廷騎士団にはたくさんの人が所属している。

だから、その内の一人が怪我しようがなんでもよかった。

しかし、グレンはアウリエの師匠だけをしていた。

そんな中で、アウリエが怪我をしてしまったらもう替えが効かなくなってしまうので、そうならないような修行方法を考えたのだ。


そしてそれが結果的にもっともいい方法だった。

「お気遣いありがとうございます。ん!」

リリーは俺の方を見て「ん!」と言った。

「……ん?」と聞き返した俺の事を軽くではあるが睨んできたリリー。何事?なんで今俺は睨まれることになったんだろうか?


「私はもうここから去ります。それでは」

「ああ!俺も帰ります!すみません!」

なんの「ん!」だと思ったらそれか。

話をすると“イチャイチャ”判定になるから、話をしないように意志疎通をしようとした結果がさっきのアレだったのね?それは難しすぎるよ。


二人のそんなやり取りを見ていたグレンはやはり嫉妬していた。

思っているよりも相性が良さそうだとさえ思っていた。

さっきの喧嘩的な場面が初対面の場面だった。

だから、絶対に相性なんてよいはずがないと思っていたが、このやり取り、というか、さっきからのやり取りを見ていると、嫉妬してしまうほどに合っているのだった。


「お主ら。ワシが見てないところでは仲良くな?」

立ち上がる二人に対してグレンがそう言う。

「「わかりました!」」と自然に声が揃う二人。

そんな二人は顔を見合わせて笑いそうになってしまった。が、グレンの目の前なのでそれは控えることにした。グレンも破局してほしいわけではないのだ。


二人は道場から出て、それなりの距離を歩くまで無言だった。

もしかすると聞かれているかもしれないと警戒していたのだ。

で、問題がなさそうだとわかると、自然と笑い合う。

さっきまでの緊張感から解き放たれたことで、どうしても笑みがこみ上げてくるのだった。二人にとってもとても不思議な感覚だった。


「なんか疲れたね、あっはは!」

「そうね!私たちって思ってたよりも仲良かったみたい!」

そうだ。

なんか知らないけど仲良くなっている。

マジで『タルト食べる食べない問題』の時には色々と思ったと思ったけど、案外なんとかなってしまうものだ。人間関係って不思議だ。


二人はエメラルへの道を軽い気持ちで歩く。

その道中、不思議なまでに会話が途切れることはなかった。

会話の内容はとても軽い内容だった。

リリーが勘違いしていたことの話はほとんどなく、今度来るときのためにどうやって自然に“イチャイチャ”しないようにするのかを話し合う。


他にも食材の話もしていた。

どんな物を買ってくればいいのかも話だ。

グレンのことをよく知っているアウリエはステーキを買うように言った。どこまでも若いグレンはそういうのが好きだったのだ。


行きよりも帰りの方が軽やかだった。これからこのアクリスタルで生活することになるかもしれない。そんな日常の大きな変化が起こってもなお、気持ちは軽い。

未来のことなんてどうでもよかった。なぜならば隣に愛する人がいたから。愛する人だと気付けた人がいるから。


ちょっと寝たらお正月です!

皆さんもお元気で!

(小説を消すこともあります)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ