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17 強くなりたい


辺境の地であるアクリスタルに帰ってきたアウリエと、それに着いてきたリリー。二人は手土産を持ってきてはいたが、そんなに多くは持って来れていなかった。

なので、今もグレンの道場の冷蔵庫の中は空っぽである。せっかく休憩をしているのになにもないので、どうにも手持ち無沙汰になってしまう三人。もう修行中とは思えない。


「馴れ初めとは聞いてもいいのか?」

「馴れ初め……馴れ初めって言えるような物はなにも?」

「私はあるよ。あの、助けてくれたやつ」

「あぁ、アレ?まあ、アレは馴れ初めっていってもいいか」

「なんじゃかスゴい高度な“イチャイチャ”を見せられている気分じゃな。そんな普通の夫婦みたいに振る舞うでないぞ?まだそんなに仲が深まっているわけでもないのに」


グレン師匠は謎の難癖を着けてくる。

そもそもカップルが“イチャイチャ”してなにが悪い。

(俺たちがカップルであるという当たり前のことに驚いた俺がいた)

こんなことができるのはもしかしたら今日までかもしれないのだから、思う存分“イチャイチャ”させてほしい。というか、今、本当に“イチャイチャ”してたかな?当たり判定が広すぎないか?


「あの、リリーが暴漢に襲われてるところを俺が助けて……」

「そんな古典的な。となるとワシのおかげじゃないか」

「あ、確かに。というか、全部グレン師匠のおかげですね」

「やはりちゃんと修行してよかったわい!それでこそ弟子じゃ!」

そういえば聞きたいことがあるんだった。そもそも俺ってセンスあったのかどうかが聞きたかった。なんでかっていうと、もしも俺以外の人でも強くできるのならそうしてほしいからだ。


俺だけが強いから変になってる。

他にも強い人がいたらあんなやり方しなくてよくなる。

めちゃくちゃ努力するだけのやり方なんて意味ないよ!

てか、できないよ!それを証明するためにも、他の人をここに呼んできて、俺くらいに強くしてくれたらあんな修行をせずとも宮廷騎士団に所属できるからそれはそれでいい?


いいのか?

みんなが俺くらい強くなっていいのか?

そしたら俺の特別さがなくなっちゃわないか?

やっぱりこの話するの止めようかな……まあ、俺にセンスがあったのかどうかだけは聞こうかな。で、センスがないけどグレン師匠がスゴすぎて強くなったパターンだったら黙っとこ。


「あの、そういえばなんですけど」

「なんじゃ?」

「俺って弟子としてはどうでした?センスありました?」

「まあ、普通じゃな。普通のことを普通にやってくれたから普通にワシよりも強くなっただけじゃな。まあ、強さにこだわりがなかったのはこちらとしてはやり易かったし」


ヤバイ。

これだと普通に抜かされてしまう。

でも、言うべきなのかな?

俺よりも強い人が出てきちゃったらもうリリーは俺から離れてしまうとかないよね?俺の実力が欲しくて結婚しているわけだから、それはもうそうなんだよね?


「みんなのことも修行してほしい」

そんな自己犠牲的なことを言おうか、言わないか迷う俺。

の横に居たリリーが口を開いた。

「それって、ということは他の人も強くできるのでしょうか?」

「まあ、できるじゃろうな。しかし、ワシがアウリエの修行を始めたのは本当にコヤツが赤ちゃんの頃からじゃからな。そう考えると、そんな時間はワシには残されておらん」


よかった……よくないけど。

よくないけど、よかった……

どうやら俺ぐらいの実力の人が今後生まれることは中々ないらしい。グレン師匠以外にこれだけの人材育成能力がある人もいないだろうし、これは俺としてはありがたいな。


「少しの間でいいので、私のことも修行してくれませんか?」

「うぇ!?なんでそうなるの!?」

安堵していた俺の耳を不思議な文字列が貫いた。

どうしてリリーが修行をしないといけないんだ?そんなことをしなければならない理由が何一つとして思い浮かばない……もしや、俺の事が嫌いなのか?さすがにそこまでは考えすぎか。


「私が説得しないとわかってくれないから」

「ユーリが?でも、そんなに頑固じゃなさそう?」

「頑固な時はめちゃくちゃ頑固なの、あの人」

「そうなんだ。でもどうしてそうなるの?」

「私がユーリに勝てたら、ユーリもそれを認めざるを得ないと思うの。私が勝って、それでアウリエに楽させてあげる。もう、わかったから。アウリエが修行が難しいのはわかったからさ」


……リリー……

俺は勝手に抱き締めていた。

すると、向こうの手が俺の背中を叩いてくれる。

その温もりに涙を流しそうになる俺だった。どうして人の体温ってこんなに安心するのでしょうか。今も一定のリズムで叩かれている背中がとても温かいのだった。


それを見ているグレンは穏やかではない。年甲斐もなく、若者の恋愛に嫌な思いをしていた。グレンだって魔王を討伐した後はめちゃくちゃモテたくせにそうなっているのだ。

アウリエの事を大事に思っているからというのもあった。大事な大事なアウリエがよくわからん人にすぐに心を許しているのもなんか、嫉妬だった。ジェラシー。



ちょっと寝たらお正月です!

皆さんもお元気で!

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