16 すぐに休憩
一時は危ない時もあったが、なんだかんだ仲直りをする事ができたアウリエとリリー。今も二人で脱力しながら木刀を振っているのだった。
そこで、さっき聞けなかった話を聞こうとしているグレンがいた。二人がただならぬ関係なのはわかっていたが、具体的にどんな関係なのかはまだ知らなかったのだ。
もうすぐ夕方になろうとしている道場。
グレンは二人の事が気になっていた。
どう考えても挨拶に来ているのだった。
そして、女性の方は見るからに上流階級らしい見た目をしていて、なにがあったのかよくわからなかった。どう考えても結婚の挨拶のようだったが、よくわからなかった。
「それで?お主らはなにしに来たんじゃ?」
「あの、実は俺たち、結婚を前提に付き合ってて……」
「はや!ワシのところから去ってまだそんなに経ってないぞ!」
そうなのよ。
どう考えてもまだ早いのよ、俺たちがそんなこと言うの。でも、なんか仕方がないっぽい感じがスゴいしているのだ。強すぎる俺と政略結婚しようとしている感じだ。
でも、これって政略結婚って言うのか?
俺にはなんのバックボーンもないぞ?
つまりは俺みたいなヤツと結婚してもなんの勢力も拡大しない。
が、どうやらめちゃくちゃ強いのだけは間違いない。そうなるとやはり勢力は拡大するのだろうか?いや、まさか?グレン師匠の一番弟子だからなのか?
「色々とありましてね?」
「まあ、人の色恋に口は挟まぬが」
「まあ、とりあえず、それのご挨拶で来ました」
それだけではないけど、言えるのはそれだけだ。本当はもっと打算的な理由があったんだけど、まあ、なんでもかんでも言えばいいってもんじゃないよな?
「どうなんじゃ?二人は?さっきもアレじゃったが」
「上手くいっとるのか?」と聞きたいのだろう。
それに対して「上手くいってます!」とは言えない。
が、今はなんか上手くいきそうな気配もしている。結局のところはまだわからない感じだ。まだわからないからなんとも言えない。
しかしながら、マナーの意識に大きな隔たりがあるのは間違いない。
これはお互いに歩み寄るべきだと思う。
なんか、不意に思ったが、人間ってどうやって破局したり離婚したりするんだろうな。なにか明確な理由があるものなのか、そうでもないのか。
どうにかして上手くいかせる必要がある。
んで、あまりにも無理そうなら諦める必要がある。
結婚して、離婚なんて大変だ。
そんなことしたらずっとこの里のみんなにアレコレ言われることになっちゃうよ。みんな本当にデリカシーなんて一ミリもないんだからさ。
「でも、グレン師匠のおかげです」
「いきなりなんじゃ?」
「修行してくれたおかげで、理解し合えたことがあって」
「なんじゃかよくわからんなぁ。まあ、そういうこともあるじゃろう。別にワシは性格が悪いわけでもないからな。二人が仲良くしているのであればそれはそれでいいわい」
やっぱりグレン師匠は優しい。
こんな訳のわからない俺の事も受け入れようとしている。
俺ももっと寛大にならなければならない。
きっとこれから何度もおんなじような問題に直面することになるんだ。その時に絶対に俺の方から怒らないようにしないと決めよう。
そうだ。
俺から別れを切り出さないと決めちゃおうかな?
どうせ結婚を前提にしているんだ。
それぐらいの覚悟があったって別にバチが当たるわけじゃない。むしろ、俺からいつでも別れを切り出せる状態にいる方がバチが当たりそうだ。
「まあ、とりあえず、休憩するか。疲れたじゃろ?」
「ちょっとだけ疲れちゃいましたね」
そんな二人の会話を聞いてまたまた驚いてしまうリリー。なぜならば、まだ二十分も修行をしていなかったからだ。それで休憩を挟むなんて信じられなかった。
休憩に入ったので道場の冷蔵庫を漁る二人。
しかし、アウリエが消えてからのここは空っぽだった。
一人で修行をするほどの人間性でもなかった。
というか、わざわざ修行をしなければならない理由もなかったので、最近のグレンはずっと堕落したような生活を送っていた。なんとかしなければとは思っていた。
「なんにもないですね」
「一旦帰るか?我が家に」
「でも、アッチもなんもなかったですよ」
「そうかぁ。なんかもっとちゃんとした手土産を持ってきてくれてもよかったんじゃぞ?お主は知っとるじゃろ?ここにはなんにもないこと」
リュックでも背負ってくればよかった。
しかし、それはちょっと面倒だった。
それに、リリーの隣にそんな人間がいるなんて変だ。
別に変じゃないはずなんだけどそんなことを思ってしまった自分がいるのは間違いない。後、あんまり頑張ってる姿を見せたくなかったので、やらなかったというのはある。
辺境の地にはとにかく物が少ない。そんな中でも俗っぽいグレンはお菓子などの俗っぽい物が大好きなのだった。しかし、中々手に入らない。
だって、彼は別に仙人になりたくて山に住んでいるわけではない。何度も言うが、静かに暮らしたいから山に暮らしているだけだった。
ヤバイ!年が明ける!
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