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15 イチャイチャ


しばらくは大富豪で遊んでいた三人もさすがに飽きる。なので、別のことを、つまりは修行をすることになった。が、グレンはとある提案をする。

それは、「リリーも一緒に修行をしないか?」という物だった。苛烈な修行をイメージしてここにやってきた彼女はその誘いに怯える。そんなつもりでここには来てなかった。


「やろうよ。全然いけるはずだからさ」

「そんなこと言われましてもね?修行よね?」

「大丈夫、ここの修行はめちゃくちゃ緩いから」

「……そうなのかしら?」

リリーは大富豪をやりながら少しだけアウリエのことを信用するようになっていた。(もしかしたら本当にずっとこんな感じなのかしら?)とか思っていたのだった。


「とりあえずはやってみよ?無理なことはさせない人だからさ」

「少しだけよ?私は武術の心得がないの。でも、いいの?」

「なにが?」

「私みたいななんにも覚悟が決まっていない人間が木刀を持ったりしてもいいのかしら?ユーリはそういうのに厳しい人だったから、もしかすると機嫌を損ねるのじゃないかと心配で」


ユーリは礼儀作法にも厳しかった。

アウリエには負けたからあまり多くを言わなかった。

が、普段はそればっかり気にしているのだった。

なぜならば、ずっとそのやり方でやってきたからだ。それ以外に明確な理由があるわけでもなく、ひたすらに過去やってきたことを継承しているだけだった。


それはそれで価値があるものだ。

過去を継承していくことには大きな価値がある。

しかし、それと強さを混同してはならない。

多くの場合で、過去を継承することと、その目的は別のところに置かれている物だ。過去を継承したいのであれば、過去を継承するという目的を達成するためにそれをするべきなのだった。  


「大丈夫じゃよ。気にするな」

「……いいの?アウリエ?」

「いいんじゃないかな?グレン師匠がいいって言ってるし」

「お願いだからユーリには内緒にしてね?私が黙って木刀を持って戦ったなんて知られたらどんなこと言われるかわかったもんじゃないし」


リリーの方が力は強いのかと思っていた。

しかし、ユーリの方が強い時もあるらしい。

もちろんここで言うところの力とは普通の力のことではない。

力関係のことだ。なんか姉って弟を絶対的に従えてるっていうイメージがあったからこんなに怯えている姿を見るのは意外だった。


これってつまり、彼女がそれだけ掟に縛られてるってことだろう。

強いリリーは掟相手になると途端に弱くなる。

それを守らないといけないと心の底から思うようになって、結果的には抵抗できなくなるみたいだ。これは俺もこれから付き合うことになるんだろうから、ちゃんと覚えておかないといけないことかもな。


「では、始めるぞ。まずは素振りじゃ」

“フンッ!”とリリーは筋のいい振りを見せる。

しかし、アウリエとグレンは“フワっ”とした振りだった。

「……そんなにゆっくりでいいの?もっとしっかり振らないと意味がないんじゃないの?宮廷騎士団のみんなはもっと素早かったわよ?」


「いいんだよ?脱力するためだからさ」

「……そうなの?」

そう言われた彼女は“フワッ”と剣を振る。

その振り方にはまだまだ固さがあって、どこかに力が残っているのが端から見てもわかるのだった。それに比べてアウリエとグレンはどこにも力なんて残っていなかった。


動いているのが不思議なくらいだ。

剣がどうして動いているのかわからないような動き。

それを見てまたまたもしかすると?という考えが強くなるリリー。

リリーには剣術のアレコレがわからなかった。だから、脱力をすることによってより力が発揮されるのかもしれないと思った。


そして、そうなると筋肉は必要最低限でよくなる。

となれば、修行をクリアできないアウリエがいるのにも納得だ。

そして、そんな思いは確信へと変わる。

「お主。なんじゃか、最近筋トレでもしとるのか?そんなことしても剣の腕は向上せんぞ?やるべきなのはこれじゃ。脱力じゃ」


「そうなんですか!?」

と、声を出したのはリリー。

リリーの頭の中には申し訳ない思いがいっぱいだった。

その言葉で全てが繋がったからだ。

アウリエの言葉を信じることなく、自分の中にあった理想を押し付けていたのだと思い、どこまでも深く反省する。それはアウリエにも伝わっていた。


「どうしたんじゃ、お主?」

「リリー。俺がもっとちゃんと説明してればよかったね」

「いいの。ごめんなさい……私、信じてなかった……」

「いいんだよ。そんなこと気にしなくていいんだよ」

「ワシの道場でなにを“イチャイチャ”してるんじゃ!……って!泣くでないよ!そんなことをされたらワシが悪者のようではないか!」


自分の事を責めていたリリーは涙を流す。その側で肩を叩いてあげているアウリエがいた。彼は自分の事を理解してもらえたのが嬉しかった。

だから、信じられていなかった過去は忘れることにしていた。このままこの事を引っ張ってもなんにもならないと理解していたから。


ヤバイ!年が明ける!

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