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ショートショート12月〜4回目

自給自足

作者: たかさば

自分が食べたいものを畑に植えた。


自分が食べたいものが畑に実った。

自分の食べる分だけ、畑から収穫して食べていた。


他人がやって来て、食べ物を分けてくれと金を差し出した。


物珍しい金というものを差し出されて、欲を覚えた。


自分の食べたいものを、金と引き換えに他人に差し出した。

自分の食べたいものを、他人が食らった。


自分の食べたいものが足りなくなり、他人の金で他人の作ったものを食べるようになった。


他人の作ったものも、それなりに美味いと思った。




自分が読みたい物語を書き始めた。


自分が読みたい物語が完成した。

自分の読みたい物語を何度も読み返して、満足していた。


他人がやって来て、物語を読ませてくれと金を差し出した。


物珍しい金というものを差し出されて、欲を覚えた。


自分の物語を、金と引き換えに他人に差し出した。

自分の物語を、他人が読み散らかした。


自分の物語が自分だけの物語ではなくなり、他人の言葉で他人の好みに書き換えられた。


他人の書いた物語も、それなりに面白いと思った。




自分がしたいと思う事をして、生きてきた。


自分がしたいと思う事をしながら、時を重ねてきた。

自分のしたいことをし続けてきたから、自分の人生に満足していた。


他人がやって来て、満足した人生を分けてくれと金を差し出した。


物珍しい金というものを差し出されて、欲を覚えた。


自分の今までの歴史を、金と引き換えに他人に差し出した。

自分の今までの歴史を、他人が乗っ取った。


自分が満足した人生を手放し、他人が満足できなかった人生を得た。


他人の捨てた人生も、それなりに楽しめるものだと思った。



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