この船は誰のもの?
『で・・・。殺人事件は起こったものの、航海士が船を出しちゃって何も確認できないと。』
絶賛、取り調べ中だ。
通報したのは探偵気取りの女騎士様。
隣でてへぺろ中だ。
『うーん、物的証拠がないからなあ。とりあえず海上の警備強化を喚起するしか出来ないなあ。陸地とは違って海の捜索は難航するのさ。』
『本当にこう、連続殺人だったんですよ!』
女騎士は目を輝かせている。
まあ、気にならないわけではない。
船長が死ぬという、遺言の矛盾。
二等航海士の部屋への誘導。
そもそも遺言は存在したのか。
そして名乗ることをしない乗組員たち。
給仕の死体。
『お前らが乗った船は、、これか。ラムルドルフ号。船長は・・・。』
『髭の船長!』
ソフィーはやはり頭のネジが緩んでいる。
『オーナーに雇われていたみたいなんだけどな。あいつら。』
『雇われ?うーん、そうなんか?ちょっとこれ見てみろ。』
乗組員の名簿だ。
名前が並んでいる。
奇妙なことが起きていた。
『マサチカ、、これって・・・。』
『ふむ。俺らはいったい。人違い?俺らが乗ってた船って・・・・。』
『幽霊かな?幽霊かな?』
名簿の名前に全て、ラムルドルフが着いている。
完全な家族経営。
『届出と実態が違うことはあるのか?』
『いんや。何かあった時の安否確認も必要だから、名前と実際に乗る人間は一致しているさ。』
船長はオーナーから船の航行関係は全て任されていると言っていた。
しかし名簿はオーナー含めラムルドルフ家の人間で構成されている。
だとしたら。
いったい俺らは、誰の船に乗っていたというのか?




