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下船。逃亡。

『もうすぐですよ。』

一等航海士がそう告げる。


船員が1人になった船は快晴のもと、順調に進路を進んでいく。




解せない。

遺言によれば。


船長は生き残って絶望するはずだ。

一等航海士は・・・。


生き残ったのは一等航海士だ。

それが何を示唆しているかなど、説明するまでもない。



『マサチカー!!みえてきたよー!!』

たった数日が何十年に思えるくらい、余談を許さない日々。


閉鎖された空間で起きうる血の狂宴。

船員が全滅していたとしたら、俺らの命もなかった。


ルーンには途中で釘をさした。

『船員が航行を放棄したら、俺らは死ぬ事になる。探偵ごっこはやめろ。』


ルーンの顔は青ざめる。

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいなさいごめんなさい。』


ルーンは土下座をする。

『この体を好きにしていただいても構いません。どうかどうかお許しください・・・。』


ルーンは思うままに行動する。

冷静になると極端な方法に出る。


すでに一糸纏わぬ姿で土下座をしているのだから。


俺は今更なんとも思わない。というかこの現場を誰かに・・・・。


『じー・・・。』

あのバカな修道女に見られていた。











『じゃあ、ルーンは何もされてないんだね!?』

『何をするも何も、勝手に脱ぎ出したんだ。』

『マサチカのえっち。』

『何を今更。お前と会う前からだぞ。水浴びしていてもこのクレイジーな女騎士は何も気にしない。』


ソフィーは訝しむように俺を見てくる。


『まあ、酒で失敗し貞操を失いかけるような下女とは違うからな。』

そう告げると、ソフィーへ頬を膨らませ、

なんだかよくわからない事を両手をぶん回しながら口走っている。


『ともかくだ。俺らに関係のない事件だ。火の粉が降りかからないうちは相手にしないのが一番だ。』


それだけ告げて部屋に戻った。

関わる必要はない。これが探偵小説な正義感を振りかざし証拠集めをするのだろうが、そんな正義感は詐欺師である俺には持ち合わせはない。



そんなやりとりをして、事の成り行きを静観していた。


そんな事があり、夫人の後に機関士、給仕が亡くなった。


遺言に従えば、次に命を落とすのは一等航海士だったわけだが、、



『船長がまさかな。』


階段の踊り場に頭を打ちつけて、体をくの字にして事きれているのを発見したのはソフィーだった。例の如く、腰を抜かし、失禁しながら。



とにかくこの凄惨な連続殺人事件は陸に降りたら

王都の警察組織に任せよう。

事情聴取でしばらく足止めを食らいそうだが。












『マサチカー!久々の陸地だよ!』

『ソフィーあんまりはしゃぐと転びますよ。』


やはり転んだ。











『ご乗船ありがとうございました。』


一等航海士はそう告げて、、


足早に、、


港から船を出してしまった。

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