連続殺人
『なんだか、今日のご飯はずいぶんだなあ。』
ソフィーがぼやきながら、ソーセージとコーンが混ざったピラフをワシワシ食べている。
たしかに比べるとずいぶんな男飯なのだ。
とりたてて不味いということはないのだが
めちゃくちゃ美味いわけではない。
一等航海士は黙って食べている。
船長は・・・なんだか青白い顔をしながら食べている。無理もない。夫人がなくなったのだ。
あんな下劣な男にも、情はあったという事だ。
『なあなあ、船長さん!遺言の意味がさっぱりなんだ!もう一度教えてくれ!』
ソフィーが突然そう言い放つ。
『どうしたのよ、ソフィー。』
ルーンが訝しむ。
『遺言の事、聞いても我が船員に関するもので、お客様は関係ないって言われても、僕らは客なんだ!怖いんだよ!』
怖いのか。
まっとうな感覚だろう。加えて、料理の質が落ちたら怒り心頭だろうな。
『うむ、現に2人も亡くなっている。何かやましいことでもあるのか??』
震えた手でスプーンを置き、船長は観念したように話始めた。
『わかりました。』
船長によると、この船は代々ラムルドルフ家がオーナーとして経営権を持っていた。
数年前からオーナーが体調が悪く、航行や実際の経営を船長らが任された。
船長らが引き継いだ数年は経営はオーナー時代より、順調だったようで羽振りも良くなった。
オーナーはその事を大層妬んだようで、同時にメンタルも蝕まれたようだった。
オーナーは死に際に、こう話したようだ。
『あの船は私のものだ!呪ってやる!二等航海士は毒にやられ、夫人は短剣でその血を吸う。機関士は息ができなくなり、給仕は叩き割られよ。一等航海士が切り刻まれ、船長は絶望するがよい!我が亡霊が成し遂げようぞ!』
そこまで話すと船長は震えていた。
『この船は私の人生なんだ、、オーナーの亡霊ごときに・・・。』
『で、その機関士はどこだ?』
部屋に行くと、天井からは紐が吊るされていた。
紐は男の首にきつく締められていた。
死後どのくらいなのか。部屋は死臭に満ちており、蠅があたりを飛んでいた。
機関士の顔をまた見るに絶えない状態と化していた。
『き、給仕は!?』
俺は叫ぶ。
『船長!あの飯は給仕が作ったものではないだろ!?朝から奴はどこにいる!?』
『そ、それは・・・。』
『きゃあああああああああああああ!』
ソフィーの声だ。
『ソフィー、どこだっ!?』
甲板に出る。
またもやソフィーは腰が抜け、涙目になりながら失禁していた。
ソフィーの視線の先を見ると、それはいた。
甲板の先に力なく座り込む給仕。
目は見開き、口からはだらしなくよだれが流れている。
脳天からは一筋の血が流れていた。
傷口を見ると眉間のあたりに打撲のようなものがある。おそらくこれが致命傷だが、、、
何か不自然さを感じた。




