船旅1-1
汽笛の音。
うみねこの声。
『マサチカ!見てみてー!!』
はしゃぐ、ソフィー。
俺の庇護下にいるのに、えらいはしゃぎぶりだ。
だが、悪くはない。
『マサチカー!!甲板での素振りはたまらんぞぉ!』
剣を振り回すルーン。
『あ・・・。』
近くをたまたま通ったうみねこの首が
ポーンと飛ぶ。
『ああああああああ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!』
うみねこの死骸に謝り続ける。
本当にサイコパスな女だ。
さて、俺らはとある客船に乗っている。
客船と言っても、観光目的ではない。
目的地が海を渡った先にある為客船を使っているのである。
俺はというと、海の方に吐瀉物をぶちまけている。船酔いである。こういう客船での詐欺行為もよくやっていたのだが、酔い止めでなんとかしていたのだ。
異世界にそんな薬はない。
吐瀉物の先にはうみねこが群がる。
『お、お客様。大丈夫でしょうか??』
若いメイド服の女がかけよる。
『私、この船で給仕をしております。お客様大丈夫でしょうか?良ければお薬を・・・。』
酔い止めは存在したようだ。
『いや、助かったよ。給仕くん。いやはや酔い止めがあるとはね。君、名前は?』
吐瀉物による口臭はうがいでバッチリなくなったはず。
『名乗るほどではごさいません。給仕とお呼びくださいまし。』
『・・・?そうか。そういうものか。』
ここは異世界だ。
船旅のルールなのかもしれない。
給仕に入れてもらった紅茶を3人でいただく。
『しかし、こんないい感じの客船なのに使う人が私達だけなんてね。』
『ええ。私も最近、ここで雇われて働き出したんですがどうも年々尻窄みみたいで。はて。』
給仕は豊満な胸を揺らしながら、話す。
圧巻だ。
綺麗な金髪ショートヘア。
『まあ、なんでもいいが。そのうみねこを殺してしまったのだ。私はどうすればいい?』
『ええ・・・どうやって。』
『おお!興味があるか!?』
鞘に手をかけるルーン。
『やめとけ。ルーン。また斬るぞ。』
『は!うみねこさん、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。』
命が足りなくなる。
『ねえねえ!給仕さん!今夜はパーティーなんでしょ??その航海士さんとかも出るのかなあ?』
『ええ!今日は初日ですから、ある程度行ったら海上で停泊し、乗組員総出でおもてなししますよ!』
金髪
メイド
巨乳
そしてウィンク。
ぜひ、美人局要員として仲間にしたい。
『おい、給仕くん。何をしておるのかね?今夜はフルコースだろう。準備しなくて良いのか?』
髭を蓄えた、Yシャツに、首にスカーフを巻いたインディゴブルーのズボンを履いたデブっとした男が近づく。
『船長!すみません!お客様に紅茶を出していたもので、、、』
『それは結構な事だ。料理は君しかできないのだ。その自覚を持って仕事に臨みたまえ。』
パイプをふかしながら、その場を去る。
『何よ、あいつ感じ悪!』
ソフィーが吠える。
『ごめんなさいね、私調理に戻るわ!腕をよりにかけるからお楽しみに!』
給仕はそういうと小走りでその場を去る。
『なんだか、客が少ないのは航海士の接遇な気がするな。』
航海士にしてはマナーが微妙だ。
この時代はそんなものなのだろうか?
そうもっと粗暴な感じ。
ちょうどーーー
『そんなはずはあるまい。』
紅茶をすすりながら、給仕の調理が終わるのを待つことにした。




