治療家少女と宗教
奴隷を買い付けた夜、クレアの宿屋にて。
「・・・・っ。」
まだ緊張しているようだ。そりゃそうか。どうしたものか。
「おい、クレアとりあえずこいつを風呂にいれてやれ。。」
「わかったわ。マサチカ。」
「ほら、いくわよ。ご主人の命令なんだから風呂には入ってもらうわよ。」
クレアに引っ張られて風呂に行く。
さて、あやつの使い方だが治療魔法か・・・
とにかく金を稼いでいかないとだ。ギルドは今、受付がいないので残念ながらそこで稼ぐのは難しそうだ。
ところでギルドの受付というのはどこから仕事が依頼されているのだろうか。
法律かなんかで縛れている仕事なのだろうか。いや、その仕事をグレーな感じでやればいいか。
この村で相談が集まりそうな機関をうまく利用しよう。
人が悩みを相談しそうなところというと、、
「教会を使うか。」
「マサチカ、この子洗い終わったわよ。」
服は事前に買わせておいた。そう、シスターのような服装にさせた。
女がびくついている。
「おぬし、名前はなんていうのだ。」
「な、ナーニャです。」
「おまえ、魔法を使えるんだよな?」
「・・・っ。」
魔法について聞いたら沈黙。何か言えない事情があるのか??
沈黙がしばらく続く。
業を煮やしたクレアが目をかっぴらいてナーニャにせまっていう。
「あんた、奴隷なんでしょ。なんでマサチカの質問に答えられないの。答えられないの?ころすわよ。」
目が血走っている。なるほど、惚れた男を侮辱されたとでも思ったのか。
クレアはやばい。がこれはこれで使いやすい。
「ご、ごめんなさい。。。。」
「おまえ、治療魔法使えるんだよな?」
「は、はい。で。でも。」
「何か問題があるのか?」
「い、いええ、」
「はっきりしなさいよ、ご主人よ。あんたはご主人に買われたのよ。あんたの生殺与奪はこっちが握っているの。」
クレアが詠唱し始める。
「まあまあ、クレア。なあ、ナーニャ。おまえは治療魔法に関してはあまり話したがらないのはなぜなんだ??」
「い、いや、その。」
「いえよ、奴隷だろ。」
少し俺もドスを聞かせる。
「ひ、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
涙を流し、頭をかかえうずくまるナーニャ。顔は鬼気迫り、目が血走っている。
「おい、クレア、殺していいぞ。」
「いいます、いいます、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
口元は笑っているが、目をかっぴらいて、俺の足下にすがる。
「治療魔法に関して聞きたい。」
「はい。私はおっしゃるとおり、治療魔法が使えます。なんなら軽い傷から重い傷、重い病気など、なんでも治せますが、その反動で同じ傷、同じ病にかかります。」
「なるほど、おまえの生命力とひきかえみたいなイメージか。」
「はい。実はゴブリンの巣に捕らえられていたのも、それが原因です。」
「何があった。」
「そ、それは・・・・」
「言うんだ。」
「ひい、わかりました。」
いろいろはしょるとパーティにはいってゴブリン討伐にいったナーニャは傷ついたパーティメンバーを助けていったら動けなくなった。
そのままパーティにおいていかれてその後は、ゴブリンにとらわれていたようだ。
「なかなかひどいパーティだな。そのかつてのお仲間はこの町にいるのだろうか。」
「わ、わかりません。。。」
ナーニャの姿を見る。
この話し方さえ直せば、雰囲気はシスターの代わりをつとめられそうだ。
さて、あの銭ゲバをどう陥れるか。あまり手荒なことはしたくないが、、儲け話をでっちあげるか。教会を拠点にして、この村を掌握する。
当面の方針が決まったので、、
「まあ、ナーニャ。飯でも食おう。腹減っただろ。」
♦
「こ、こんなに食べていいのですか・・・?」
「ああ、食え。腹が減っていては働けないからな。明日からしっかり働いてもらうからな。」
「は。はい。奴隷です、もんね。」
ナーニャは目の前の食事をむさぼり食う。品がまったくないが、これまでのことを考えると致し方あるまい。
手で肉をつかみ、顔を思い切りうしろにひいて肉を引きちぎる様にして食べる。
スープも入れ物を両手でもって一気に飲み干す。パンは両手に持ち、ほおばる。
周りの客には見せられないな。個室をとっておいてよかった。
「ご、ごちそうさまでした。」
「いい食べっぷりだな。しっかり働いてくれれば良い生活を保障してやる。おまえを死なすような治療魔法の使い方もさせない。まあ、おまえの前のパーティみたいに
バカの集まりではないからな。安心しろ、ナーニャ。」
ナーニャの魔法は彼女にとっては、諸刃の剣だ。
だがどんな傷でも治そうと思えば治せる。
これは使い方次第だが、これと教会を組み合わせれば最強だろう。
そういう見せ方をすればいいだけのこと。
次の日。
「シスターいるか?」
「はいここに、マサチカ様。」
「少し、良き話があるのだが、少し聞いてみないか?教会のためだ。」
「なるほどではでは。奥の方へ。」
さてはじめよう。村の掌握の為の第一歩を。