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金が全て

ある修道女シスターが教祖に捕らえられた。

件の売春ギルドの長の側近にあたるシスターだ。


『な、何をする!私が何をしたというのかっ!』

大聖堂にシスターの怒号が響く。


教祖はため息を吐く。


『これは、なんだ?』


それは、連判状だった。

教祖に反乱を起こし、宗教都市を乗っ取るというような内容が書かれている。


連判状だが、まだそのシスターの名前しか書かれていない。




『こ、こんなもの、私は知らないっ!』


両脇を抑えられているシスターは暴れ出す。



教祖の傍には仮面をつけた俺が立っている。


『しかし、お前の名前が書いてあるではないか。』


『これは、これは、私の字ではないっ!!』


あたりのシスターが嘲笑する。


『自分の字もわからなくなってしまったか。悪魔に心を奪われてしまったか。』


『悪魔は殺せっ!』


聖堂のどこからか聞こえる。


教祖は深く頷く。



『確かに悪魔は滅っさねばならない。しかし、私は神の子たるこの修道女シスターを救いたい。』



そうして教祖は札を一枚出した。


『しかしながら、宗教都市は皆の総意でできている。この哀れな子羊を滅するかどうか投票したい。投票券は1枚買うのに、献金が必要だ。献金を多くしたものは多くの票を得るのだ!悪魔を裁く投票だ!裁かぬものには、悪魔が降臨しよう!』


その場にいた、シスターはこぞって投票券を買う。

買わねば悪魔にされるのは、自分になるからだ。




投票内容は教祖が決める。


・この悪魔を滅するか

・この悪魔を許すか




結果は火を見るよりも明らかだ。


シスターは冤罪のまま、絞首刑となった。







これにより、

教祖に逆らう者への見せしめにはなった。


また、定期的に反教祖派への締め付けにもなる。



と、教祖をそそのかした。





当然、売春ギルドの長はすぐに蜂起した。

傭兵軍5000人を大聖堂に送り込む。


『お、おい!食客よ!あんなに!あんなに!兵隊が我が聖堂に向かっておるぞっ!』


教祖は爪をガジガジ噛んでいる。

顔面蒼白だ。


『自警団は出撃できますかな?』

自警団は、メイスや弓矢を持った弱小シスター軍団のことだ。


『あ、あんな、男に股を開くことしか知らないヒヨッコどもに何ができるのだっ!』


教祖の怒号が飛ぶ。


『なあに、たかが、傭兵です。このビラを撒いてください。』


『ふむ。しかし、財源が・・・。』

『ウリの価格を上げましょう。なあに、大丈夫です。うまく内乱をおさめたとなれば、商人も安心します。』


『そ、、そうか。では、その方の策を採用しよう。』







傭兵軍は大聖堂まで迫っていた。

率いているのは見慣れた魔法使いの女。


フィアだった。



焚き付けまで、行いギルド長に蜂起を決意させたのはフィアだが・・・。




『教祖よ!信仰を金に換える卑しき、邪神たる貴様に神の制裁を加えに来たっ!大人しく出てくれば貴様の首だけで、鞘をおさめてやるっ!さもなくば、この大聖堂が無くなると思えっ!!』



フィアも、もちろん傭兵だが、他の傭兵と違い

妹が住みやすい都市にすることが第一目的だ。



『さあ!早くしろっ!さもないと軍団が攻め入る・・・・。』



言いかけると、大量のビラが大聖堂の塔よりまかれた。

風にのり、傭兵軍の元に届く。



『な、なんだ、これはっ!』





今すぐ売春ギルドに討ち入れ。売春ギルドのシスターの首1つ持てば、今傭兵としてもらっている年俸の3倍を出す。

またその後、教祖に従軍するならば、3倍の年俸を仕えている間は約束しよう。

また、従軍しない者の首でも良い。








ビラにはこんな風に書いてある。


『3倍だってよ。』

『首1つでいいのかー。』


明らかに傭兵軍に動揺が広がる。


『お、お前たち!こんなのデマだっ!見るなっ!やめろっ!』



大聖堂の扉が開く。

馬車が出てきて、金銀財宝の山を荷車に乗せている。



塔の上から教祖が出てくる。



『裏切り者を撃て!そして、褒賞を得よ!宗教都市はお前たちに最大限還元する!』





この言葉がきっかけとなり、軍団は一斉に来た道を引き返し売春ギルドに、討ち入りに向かう。



『お前たち!ふざけるなあああ!!!』

フィアの怒号は、傭兵団の歓声にかき消される。





『くそっ、くそっ!』

傭兵団を魔法で足止めするのも可能だが、

先々のこと、具体的にはこの教祖討伐がうまくいった後に傭兵団殺しの魔法使いの汚名を着せられたら住めなくなる。否、自分はいいが親類であるソフィーに影響する。



何も出来ない。



うなだれている、フィアに人影がにじり寄る。

ギルドに向かわなかった、冒険者達だ。

否、すでに何体かの生首を脇に抱えた、

フィアにとっては裏切り者だった。

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