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決死行と革命の生まれた日

修道女シスターが歩いている。

宗教都市の石畳の歩道をひたひたと歩いている。



ひたひたなのは、彼女が裸足だから。


体が冷える。

風が肌をさす季節になった。


修道女シスターが寒さに震えている。


彼女の衣服がビリビリに破かれて

肌が露出しているから、いつもより・・・



寒い。




修道女シスターは笑っている。

そして泣いている。


感情がぐちゃぐちゃだ。






教祖に言われた言葉を思い出している。





『ソフィー、僕と1つになれば、君は救われる。』


『神である、僕となら純潔は保たれる。』




だとしたら。


なぜ、教祖は私が抵抗できないようにした。


なぜ、あんなに暴力的な。





お姉ちゃんに昔言われたこと。




『あなたは、立派にお勤めするのよ。』



ごめんね、お姉ちゃん。

私は・・・。













『ソフィー、俺を置いておくなよ。』

『ソフィーさんって結構自分勝手ですね。』




私は、このマサチカ女騎士ルーンに助けられた。





マサチカは生きていた。

ルーンも生きていた。





私の純潔を散らさんとするその瞬間に

あの禍々しき男の部屋を蹴破った。


黒ずくめなのと、仮面は特定されないように

する為だったが誰だかわからない人に救われるのも恐怖だった。


その恐怖はすぐに安堵に変わるのだが。




『チッ・・・邪魔が入った。』

ルーンが剣で手の拘束を解く。


マサチカが私の体を、抱きかかえる。

お姫様抱っこというのは、こんなに危機的な状況でやるもんなの?



マサチカとルーンは脱兎のごとく駆け抜けた。



自警団が建物の中にいた。



『弓矢!屈んで!』

ルーンがマサチカに指示を出す。


『うわっ!』


屈んだマサチカの背中スレスレを抜ける矢。


ルーンは矢を掴み、射手に投げ返す。


『ぐえっ!』


『うおおおっ!』


ルーンがギアを上げる。



『うわっ、逃げろっ!うわあああ!』


ルーンが跳躍した瞬間、


自警団は一瞬で蹂躙された。




『急げっ!あと少しだっ!』



『汚れた血がっ!』


ルーンは獲物を食い散らす獅子のこどき

表情で、道を開けていく。



扉を抜ける。



大聖堂の外に出た。



『やばっ!』


隊列を組んだ射手が数えきれないほどいる。



『これまでか・・・。』


『甘いぞ、我が騎士っ!こんなの想定済みっ!』



天から火の玉が無数、弓矢隊に襲いかかる。

この火の玉は・・・・。



『ぎゃあああ!』


肉の焼ける臭いがする。

断末魔の叫びが聞こえる。


尋常じゃない地獄絵図。

耐えられず常人なら、その場で立ち止まりそうな

光景。


それでも、2人は歩みを止めない。

マサチカは青ざめた私に笑みを投げる。



ぽっと顔が赤くなるのがわかるくらい、熱い。


空を見上げる。

満月に映し出される、女の人影。

大聖堂の塔の上にその女はいる。



『お姉ちゃん・・・。』








吹き荒ぶ秋風。

石畳の上で丸くなる。



『どうした、バカシスター。』

『う・・・うるさいっ!疲れたの!』


『マサチカ、ツンデレシスターですよっ!』


ルーンが両指を不規則に動かして、

ソフィーを見ながら、よだれを垂らす。




『あらまあ、どうしましょ。ルーンちゃん。浮気はダメよっ!』



声のする方へ、顔を向けるソフィー。





『全く。ソフィーちゃん、まずはありがとうでしょ?』


『うわ、うわあああああああん、お姉ちゃあああああん!』


顔をぐちゃぐちゃにしながらソフィーは、フィアに抱きついて泣いていた。










『教祖様がねっ、グスン。』

『よしよし、怖かったわね。』


美しき姉妹愛。


それすら、仮のいわば、演劇に過ぎない。



『私をね・・・。』


『もういいの。』


『私、どうすれば・・・。』


『教祖自ら信徒を汚していたのだな。』


俺はそれだけ伝えた。


ソフィーがこちらを向く。


『ごめんなさい、マサチカ。私がどうかしてたわ。』


『いや、仕方ないさ。それよりこれからどうする?』


ソフィーは涙を流している。しかし、強い眼で、

気持ちは強く。




『私は腐り切ったこの宗教都市を、神の教えをしっかりちゃんとしたものに、戻したい!だから。』



『だから?』



『革命を起こすわ。神の教えを取り戻すわ!』



ソフィーは素直だ。まっすぐで、正義感が強く。













そして、


騙しやすい。



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