姉妹
『お姉ちゃん!』
『なあに?』
『今日のご飯どうしようかな?』
『・・・・今日のご飯ね。』
毎日のご飯の確保が悩みの種だった。
どんなことをしても、私達姉妹は生き残らねばならない。
建物の影に潜む。
屋台がある。
宗教都市から流れてきた果物が売ってある。
『あれにしましょう。』
『でもお金ないよ。』
『こんなところで通貨なんて意味をなさないわ。』
屋台のおじさん。
奥さんに先立たれて、独り身の寂しいおじさん。
『需要はあるはず・・・。』
熟れきっていないこの身体は一定の需要がある。
だから、私達は生き残ってこれた。
妹に向けてニコリと微笑む。
『今日もお腹いっぱい食べれるからね。』
『でもお姉ちゃん、今日も私1人で食べなきゃいけないの?』
『お姉ちゃんはお金払えないかわりにおじさんを楽しませないといけないの。』
『そうかあ。じゃあお姉ちゃん帰ってくるまで待ってるよ!』
ニカッと笑う妹。
こんな健気で良い妹なのに。
生まれた場所、境遇は最悪。お父さんとお母さんはもういない。
思わず流れそうになる、涙を堪える。
この子は私が幸せにする。
『じゃあお姉ちゃん帰ってくるまで待っててね。』
屋台のおじさんに交渉にいく。
おじさんは少し顔を赤くしていたが、果物をくれた。
妹を手招きする。
『じゃあ先におうちに帰るのよ。』
おじさんはいそいそと屋台を閉めて私を家に連れ込んだ。
『お姉ちゃん、遅いなあ。』
お姉ちゃんはあたしのためにがんばる。
あたしもがんばりたいとおはなししたことがある。
すると、お姉ちゃんはニコリとして、
いつもこうおはなしする。
『あなたにはあなたが出来ることをすれば良いわ。時が来たら伝えるわね。』
よくわからないけれど。
ガタッ!
『お姉ちゃん、おかえりなさい!・・・お姉ちゃん?』
お姉ちゃんはからだちゅう、まっかだった。
『お姉ちゃん!お姉ちゃん!』
『だ、大丈夫よ。大したことは・・ないわ。』
『でも、血がっ・・・。』
『・・・・。』
お姉ちゃんはだまっている。
お姉ちゃんは顔がむらさきだらけ。
ほねも折れている。
『あなたは、あなたはこんな頑張りかたしちゃ、ダメよ。』
その日を境にお姉ちゃんは、なんだか日に日に
どす黒い渦に包まれていった・・・。




