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宗教都市の経済活動について

フィアの手引きにより、

俺は王都からの旅商人という事で再び宗教都市に

入ることができた。


浮浪者の格好から、

身なりを整えて仮面を付けた。



まずは市場調査。


宗教都市には市場があり、許可を受けたものが

店を開く事ができる。


この許可が厄介で、書類一つでなんとかなるものでなく、売り物1つ1つを教祖がチェックして

許可が出たものだけ売れる。


つまり、新商品入荷をしても教祖による検閲が入るのだ。



これは非常に厄介だろう。



『何が売れてるのだろうか。』


市場をみまわっても、生活必需品と食べ物、しかも野菜ばかり。肉、魚はNGなのだろうか。

果物すら売ってない。


市場の周りにある店も娯楽施設は一切ない。


売っている野菜の質もあまり良くない。色が変色していたり、腐りかけのものばかりだ。


店番も死んだような顔をしており、売る気がない。



商売っ気が全くないのだ。



『少しは食べ歩きでも出来るかと思ったがこれはひどいな。』


買い物客もほとんどいないのだ。

怪しまれるだろう。


さて、飯を食えそうなところは・・・。


『公衆食堂』と書かれている大きめの食堂があった。


建物に入る。

中は、おそらくこの辺りの商人、あとはシスターがちらほらいる。


席に座る。


すると、シスターが1人近づいてきた。


『許可証はありますか?』


『これか?』


もちろんフィアの偽造したものだ。


『はい、大丈夫です。本日のランチをお持ちします。代金は・・・。』


メニューは1つだけ。そして金額は異様に高い。

まあ、部外者価格だろう。商売っ気はない割にぼったくりはちゃんとするんだな。


ランチ1つで、都内の高級ホテル1泊分くらいの金額かな。


出てきた飯は、割と美味かった。

しかし、市場には無い魚、肉がふんだんに使われている。


ワシワシ食べていく。


許可制の食堂、市場には無い肉と魚。


この都市周辺の交易はよくわからないが、

あまり資源には恵まれてないだろう。


海や川が少なく、狩猟が出来そうな山も少ない。

養鶏場こそあるが、牛や豚は育てていない。



金額は釣り上がるのはわかる。

だとしたら、市場でなぜ売らないのか?




もう1つ気になる場所がある。1度行った酒場だ。



酒はあるし、肉魚はある。野菜も品質がいいものがたくさん。



俺は酒場で飲み食いを始めた。

すると、見慣れた魔法使いの女が近づいてきた。



『よう、フィア。いろいろ調べられたが、、

どうもこの都市は不思議だ。』


『あらまあ、どうしましょ。お腹が空いて話せそうにないわ。』


こいつは何かとつけて、コストを下げ、金をふんだくろうとする。


メニューを渡す。


『今日は奢るから、好きなの頼めよ。』


『あらまあ、どうしましょ!こんな太っばらダンディーさんだったとは!スミマセーン!!』


元気そうだ。


『で、どうだった?』


『うーん、そうねえ。なんとかなりそうよ。』


『そうか。しかしどうするかだよなあ。』


『そこは、シスターキラーのルーンちゃんに頼めばいいんじゃないかしら?』


ルーンはソフィーの紹介で、いろんなシスターの家を転々としているようだ。当然、まあ、そういう目的だが。


『シスターも、同性とはいえ純潔がなくなれば破門だしねえ〜。ルーンちゃんのテクと包容力で、脅さなくてもどんどん陥落してるらしいわあ〜。』


経験者の言葉は説得力がある。



この酒場には、基本的に商人や俺らのような流れ者しか来ない。というのが、表向きだ。しかしながら、入信者を増やす為の狩場としての顔もある。だから、お忍びでシスターが出入りしているのだ。その為、フィアは逆手に取り、シスターとのコネクションを築いていった。コネといっても、色香で惑わすか脅す間柄のシスターしかいないが。



この都市の暗部に近づきつつあると実感する。




『あの、市場の売り物については知ってるか?売れないぞ、あんなもの。』


『そうよねえ〜、あんなもの売れないわ。普通。』


フィアの眉間のシワが増えたような気がしたが、気のせいか?


『でもねえ、市場にあるってことは、あれを欲する人もいるのよお。あのお野菜で育った子どももいるのよぉ。』


『・・・・。』


『ははは、そんなバカみたいにボケっとされても困るわあ。ここから先はちょっと手間賃が欲しいわねえ。』


珍しくストレートだな。














お金を出そうとすると、

ガラの悪そうな男どもが近づいてきた。



『ようよう、姉ちゃん、そんな仮面男より俺らと飲もうぜえ。』


ナンパか。服装は、商人か?


『ヒッヒッ、姉ちゃんいい身体してんなあ。金渡せばいいんかな?姉ちゃん、売春婦かな?』


俺が奢ったり金を出そうとした場面を見たのか。

パパ活してるわけじゃないんだがなあ。』


『・・・・。』


『ほら、金はあるからさ。いいじゃねえかよ。』


『・・・。』


フィアは男達に手を引かれて店の外に出ていった。俺にメモを渡して。






『すぐ戻る。』



それだけ書かれていた。





30分は経ったか。フィアは戻ってきた。着衣の乱れも、髪の乱れもない。5人はいたか。全て相手にしてきたとしたら早すぎる。



『冷めちゃったわね。私が新しいの頼むわあ。すみませーん!』


ニコリと店員に声をかけてオーダーするフィアはいつものフィアだった。










翌日だった。

5人の男のバラバラ死体が、とある宿で発見されたのは。


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