詐欺師は逃げられませんでした。
見損なった。
信じていたのに、結局。
何が革命だ。
こんな不手際を起こした。
不祥事だ。
アクシデントになる前に、宗教都市から追放。
それしかない。
クソクソクソッ!
枕がズタズタになってしまった。
あの女騎士もこんな深夜になっても帰ってこない。
・・・・・・。
太陽が登る。
朝になってしまった。
さっさと追い出そう。
あいつのいるはずの部屋に手をかける。
開くと、、
ベッドは切り裂かれ、彼の荷物もぐちゃぐちゃだ。
部屋じゅう、血が飛び散っている。
『う・・・。うええええええ!!』
嘔吐する。
死体はないが、血だ。
壁には『入信者に相応しい死を!』と
書かれている。
そこに、、
『な、なんなの、なんなの!これはっ!嫌っ、嫌っ!いやああああああああああ!』
女騎士と魔法使いがそこに立っていた。
女騎士は目を見開き、涙を流している。
『うえっ!うえええええええええええ!』
吐瀉物の量が尋常じゃない。
アルコールの臭いがひどい。
漂う死臭。腐った肉の臭い。死体はなぜかないが、確実に、ヤマダマサチカの死だけがそこにはあった。
臭い。
あんな、見た目だけは綺麗に整った宗教都市から出される排水、ゴミは無残にも河川に放流される。
貧民街まで続く排水が貧民街の住民の糧になっている。
その事実だけは胸糞が悪くなる。
その事を憎く思う住民もいるだろう。
その排出口に浮浪者のような男が1人。
連絡手段が少ないこの世界では、
脚本が全てだ。
それがあれば、どのような分岐を辿っても、
予定されたシークエンスを描ける。
あとは演者が優秀であること。
無駄なアドリブを入れないこと。
これが、俺の作品だ。
カツカツ。
宗教都市の下水排出口あたりに潜んでいると、
靴の音がする。
『よう、ルーンから聞いたかな?』
『あらまあ、どうしましょ。ダンディーさんから、汚いおじさまになってしまったわあ。』
『ようフィア。来てくれて助かった。頼みたい仕事があってね。』
『あらまあ、どうしましょ。無様な格好になっても、、それも演技かしらね?』
『まあ、俺は役者だからな。』
俺のつぎはぎだらけの服装を見て、
フィアは微笑む。
フィアに仕事内容を伝えた。
さて、さて俺も一仕事するとしますかね。
次の章が始まる。




