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ギルドを騙す

『ん、、、。』

良い朝である。クレアの親が経営している宿屋にただで泊まってやった。あのくらい、ちょろい女であれば、親もさぞかしアホだろうと思ったが人が良すぎる。


『ま、マサチカおはよう。』

この惚れっぽい女が、コーヒーと朝食を部屋まで持ってきた。

『一緒に食べていいかしら。』

『構わないよ。』

ニカっと笑う。ほら、すぐ顔が赤くなる。恋愛経験が少ないんだな。というかおそらく村民のコイツの扱いを見ると人との交流があんまりないように思えた。


昨夜も、宿の隣の飲食店にいっても、クレアもよそよそしいし、飲食店の店員の接客も露骨に嫌そうだった。なんというか、1人で村八分されているような感じだった。


だから朝はそんな初めてできた、友達というかそれ以上の存在に気を遣っているのだろう。


さて、今日はギルドに行き、資金を稼がねばならない。

『なあ。クレア、お願いがあるんだ。』

『なあに?マサチカ。』

クレアは猫撫で声で答える。


『ギルドで金を稼ぎたい。出来れば依頼にも同行して欲しいのだが、その、お前と離れると寂しくてな。それに魔法も頼りにしている。』

『マサチカがそれを望むならいいわあ。』

なんだか、これでいいのか異世界の女よ。


♦︎

『お客様は冒険ギルドは初めてでしょうか?』

『うむ、いろいろ教えてほしいのだが。』

『ギルドは、仕事の仲介をしております。ただ仲介だけでなく、パーティで揉めがちな報酬分配比率の事前契約とか、トラブル対応も行っています。』


なるほど。まあ、そういうことが多いのだろう。


『もちろん別途手数料はいただきますが。』

ただではやらんということだろう。これは、報酬分配は必ずもめるということなのだろう。

『マサチカ、私はあなたに分配比率は任せるわ。』

『ふむ、では1対1で契約するとしよう。』

クレアが俺の命令や約束には忠実である見立てはのるが、やはり念のために契約を巻き取る。


『それで、どんな依頼がよろしいでしょうか。』

そうここは、クレアの魔法、俺の戦闘力の無さを相対して検討する。

『討伐がいい。手頃なものはないか?』

『でしたら、ゴブリンの巣の破壊と討伐が今なら稼ぎはいいですよ。』


ゴブリンの巣か。なんというか、あいつらたぶん個体は弱いのだろう。集団だと面倒だから、クレアを見てマッチングしたのか。


報酬は 10000ゴールドだ。


普通に考えて魔法使い以外適任はいないのだろうか。


実はゴブリンについていろいろ聞いてまわった上でこの依頼の話を聞いている。




○ゴブリンの巣は3年近く放置されている

○理由は、人質救出を伴う為

○人質は女性だが、生死は不明

○ゴブリンの巣は動き回るには人にとってはかなり狭い



つまり、救出をしないと村での評判や仕事の今後の受注に左右されるという可能性があるのと、

物理空間的に難易度が高い。



報酬は手間を考えても、安すぎる。そしてこのギルドの姉ちゃんはその情報開示をしない。食わせ者だ。詐欺師の血がたぎる。


さらに情報がある。

○ゴブリンは人と話せる

○性欲が異常に強い



なるほど。これは、一つやり方がある。



『いいだろう。お姉さん、受けるよ。』



♦︎

次の日


『ゴブリンの巣を破壊したぞ。人質もいたようで助けてきた。』


人質は若い女だった。肉付きはまあまあ。白い肌に茶髪の綺麗な子だ。



『人質救出もしていただいたのですね!ありがとうございます!あ、この方は!』


そう、あんたが中抜きを企んでた依頼ミッションの1つだ。


これも、古巣の冒険者にきいた情報だ。


シスターの救出依頼がだいぶ前にあった。そのシスターは村にとってかなり崇められている存在だが、実はゴブリン討伐依頼が出た際に取り下げられている。


取り下げたのでなく、ギルドの姉ちゃんがゴブリン討伐の際に救出したパーティから手柄を取ろうとしている可能性があると踏んだ。


『なんだ?コイツの救出依頼とかは特に出てないのか?』

『いや!そうですね。あ、そうだ!今回報酬はちょっと色をつけておきますね!』


ビンゴだろう。これ以上詮索するなと。



『今後もご贔屓に。』




♦︎

その夜。



『う、うん。』


ギルドの姉ちゃんの家の前には、俺とクレアがいた。


『クレア、侵入できるか?』

『大丈夫。事件性を持たせないのがいいのよね。』


クレアの魔法は破壊力だけでなく、鍵の解錠や製作というクラフト的な魔法もある。


鍵を開け、ギルドの姉ちゃんの前にたつ。


よく寝てる。それとコイツ寝る時は服を着ないのだな。


『転移魔法、発動。』


クレアが詠唱し、ギルドの姉ちゃんはいなくなった。


『後は、遺書でもおいておこう。まあ簡単には死ねないだろうな。ゴブリンの慰みものになるのだからな。』


『しかし、さすがマサチカ。ゴブリンと交渉して討伐をでっち上げるなんてね。』



♦︎


『ゴブリンのボスと話がしたい。』

『なんだ。人間。』


『お前らに、討伐依頼が出てるのは知ってるか?』

『ああ、おかけで夜も眠れない。』

『ゴブリンも気を張っているのだな。一つ取引をしたい。』

『なんだ?』


『俺は討伐依頼を請負った。討伐された事にして欲しい。』

『された事?』

『具体的には、引っ越しをしてもらって、この巣は焼き払う。死体も見つからないし、検分も不可能だ。これなら、お前らは安全だ。』

『しかし、集団をまとめるにも慰みものがなければ内部から反乱が起きる。それは避けたい。』

『わかった。では、どうだ?こちらから、定期的に供物として若い女を捧げよう。そのかわり、村には姿を見せない事。さらう手間も省けよう。』


『なるほど。』

『後、1人女がいるだろう。そいつは譲ってくれ。』

『いいだろう。もう用済みだ。お前に譲ろう。』


茶髪の女がマサチカとクレアの前に投げ込まれる。


『ひっ、、、!』

『お前には救出依頼が出てる。助けてやろう。おい、クレア。服をきせてやれ。』


『マサチカ、これでいいかしら。』

茶色のマントを着させた。



『交渉成立だ。連絡手段はどうする?』

『これを使え。』

マサチカはゴブリンのボスに水晶を渡す。


『これで連絡を取り合う。女が足りないとか何あれば連絡をくれ。』


『わかった。早速女が欲しいのだが、手配できるか?取り急ぎ1人でいい。』


『ああ、明日の晩に転移魔法でお前の元に送るよ。届いたら連絡くれ。』



♦︎

水晶でボスが連絡を取ってくる。


『しっかり約束を守ってくれたな。今後も頼む。』



『これで完了だ。定期的に供物が必要だが、救出依頼費用をケチるとこうなる。』


『マサチカ、本当天才!大好き!』

クレアが抱きついてくる。


さて、あの助けた女、明日にでも何か利用価値がないか確認が必要だな。


とりあえず今夜は寝ることにしよう。

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