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聖なる女の子と魔法使いのお姉様

ソフィーは貧民街の出自であった。


彼女は幼い頃からシスターになるとの夢が

あった。



貧民街の人間が、宗教都市に自由に出入りする為には並々ならぬ努力があったというのが入ってみるとよくわかる。



『聖職者ってさ、病める人も貧しい人にも平等じゃない?だからね、そういう仕事をしたいの。昨日より今日、今日より明日が良くなりますようにと願って人々を助けたいの。』



ソフィーは貧民街に生まれ、物心つく頃には両親がいなかった。



貧民街で盗みや物乞いで生計を立てていた子ども時代だったという。


たまに視察に来る宗教都市のシスターに縋ったそうだ。そのシスターは宗教都市のトップ。言わば教祖だった。


ソフィーの輝いた目を見て、

拾うことにしたそうだ。



しかしながらそれは、教祖が貧民街の子に

施しを与えたという売名行為にすぎなかった。



貧民街のシスターを上にあげようとするものなら

宗教都市の秩序が崩れる。



だから、宗教都市内ではソフィーを空回りさせて嘲笑の的にする。しかし一応、入信希望者を連れてきたという事実は無視できないので、話だけは聞く。


しかし貧民街経由であまりに入信希望者を入信させるのは憚かられる。

外様の血はそれだけ扱いにくいのだ。クーデターされても面倒だし、亜流は生み出したくない。

だから、嘲笑し蔑み、飼い殺す。






『まあ、こんなところかしらねえ〜。参考になったかしらあ〜?』


フィアは、胸元がこちらに見えるような感じでその双丘をテーブルにのせる。否、俺に見せているのではない。


ルーンがまじまじとよだれを垂らしながら見ている。




『あらまあ、どうしましょ。話すぎたかしら。ちょっと高くつくわよお。』

フィアは自分で頭をコツンと小突いて、舌を正す。あざといやつだ。



『まあ、金は弾むよ。』


『お金はさっき通りでいいんだけどね。それより、あなたのお連れの女騎士さん、かわいいわよねえ。』



『だってさ、ルーン。どうする。』


『据え膳食わぬは、女騎士の名が廃れます!煮るなり焼くなりなんなりと!』


ルーンは一緒に旅をしてわかるが、ガードはそんなに固くないのだろう。というか普通に考えて、

水浴びでも恥じらい一つないのはまあ、俺が獣と化しても構わないくらいの気概はあったのだろう。


だが、フィアとの交渉には使えそうだ。


ルーンに耳打ちする。


『その構わないが、俺を必ず通してからそういうことには及んでくれ。交渉に今後も使える。』



ルーンの顔はぱあっと明るくなる。


『わかりましたっ!』



さて、あとは若い2人に任せるとして、ソフィーの家に戻るとしよう。



歩きながら、ソフィーについて考える。






『聖職者ってさ、病める人も貧しい人にも平等じゃない?だからね、そういう仕事をしたいの。昨日より今日、今日より明日が良くなりますようにと願って人々を助けたいの。』




これをまず、フィアの前でどういうシチュエーションで話をしているかが一つ。なぜフィアがそんな話を知っているのかが疑問だ。



もう一つは、貧民街を出る苦労と志が釣り合わない。苦労を乗り越えたいタイプ?いや、どちらかというと飲み方や、教祖への持っていき方など場当たり的な対応とその場のノリで生きてきたようなタイプに見える。



この辺りが鍵になりそうだ。


フィアとソフィーの関係の調査はルーンに任せる。

ソフィーの本当の目的は俺が調べることにする。



さて、夜も更けてきた。ソフィーにあてがわれた部屋に起こさないように入ることにする。



家のドアを開けるも、ソフィーが見当たらない。

部屋に入る。


ソフィーが椅子に座っている。

伏せた顔をこちらに向けてくる。

何かを訴えたいような目を。



薄めの布一枚を羽織っただけの状態で。


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