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村の焼失

クレアが狂うのは予想していた。

そうなるように仕向けた。しかしながら、タイミングを間違えた。フォローが遅すぎた。


すでに遅かった。



なぜなら


やっと手に入れた村が、









燃えていっているからだ。











マサチカにとって私はなんなのだろう。

美味しいところは全てアーニャがとっていく。


頭ではわかっている。

アーニャは教祖様のような立場だ。



それを利用し、マサチカは村を掌握している。

だから、マサチカの計画に私はついていっている。



特に村長を落とす為には、アーニャは必要な手駒に過ぎない。




だから、私はマサチカの為に魔法を使った。

でも、なぜアーニャの昔の仲間を処分した?それは計画に必要なことだった?


それに、それに。


見てしまった。アーニャを抱き寄せ、口づけを

交わす場面を。


しかも、マサチカもアーニャを愛おしそうに抱き寄せて。




拳が震える。

歯を噛んだせいか、八重歯の先は欠けた。



あれも、あれもマサチカの戦略よ、きっとそう。

きっときっと・・・・。





瞳が揺れる。

焦点が定まらない。

どす黒い感情が溢れてくる、、


それを実行しろ。やれと。




そうよ、だってマサチカは






私だけのものよ。












『やれやれ、やっと休める。』


村長ご乱心はなかなか処理が大変だった。

アーニャへのフォローも面倒だ。



好意があったとしても、作業に過ぎない。




心は通わせたら負けだ。



明日は、クレアを誘うか。

あいつには、要所要所で助けられてるからな。

綺麗な花も枯れる前になんとやらだからな。


まあ、綺麗なのは見た目だけだがな。



好事、魔多し。

まさかな。



ふと、窓の外を見る。

村の中心の空が赤い。





今、夜だよな?



ガタっ!俺は部屋を飛び出した。






向かった先は、まさに地獄だった。

燃え盛る家、火がついて逃げ惑う人々。




『あつい、熱いいいいい!誰かっ!』

『おかあちゃーん、熱いよお。喉乾いたよお。』


あたりを見回す。



宿屋だ。クレアの母は・・・。



すでに虫の息だ。いったい誰が。





広場の噴水前には、見慣れた顔がいた。

アーニャが懸命に治癒魔法を使い、火傷を負った人々を治癒している。

片腕もまだ治ってなく、片目を失ったアーニャがだ。



治癒された人は治る。しかし・・・。




『あああああああ!!』


アーニャは反動で火傷を負う。

何人分の火傷か。顔からしたはもはや丸焦げ状態だった。




『アーニャ、やめろ、やめるんだああ!』

アーニャに駆け寄る。アーニャは治療を終えるとその場に崩れさった。



アーニャを抱きしめる。



『なんて、バカなことを・・・。』

アーニャの顔を見た。


『へへへ、マサチカ様、、私、立派な聖者で、、すね。』


力なく笑っているアーニャ。

アーニャの頬に水の粒が落ちる。


『マサチカ様・・・私のために・・泣いて・・。ふふ、その涙も・・ふ、演技が上手・・ですね。』


俺は、俺は泣いているのか?


悲しいのか?

目の前のアーニャを騙そうとする戦略なのか?



『でも、騙さなくても、、大丈夫で・・すよ。

私・・・もう。』

アーニャの目からも涙が溢れる。



そして。







アーニャはそのまま動かなくなった。




人影が近づく。

耳障りな嘲笑とともに。





『あーはははははは!聖女は聖女のままに死ねて幸せよねえええ!マサチカ、これで私があなたの計画をしっかりサポートできるわあああ!この女が悪いのよお!こうでもしないと、死なないじゃない、この聖女!!ひいひい、あはははは!』




『ルーン、やれ。』













次の瞬間。


『あれえ?マサチカが逆さまに見えるよおぉぉ。』


クレアの首は宙を舞う。

頭上に見えるのは地面だ。



ルーンの刃は確実にクレアの首を刎ねていたのだった。


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