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ナーニャの思い

『ナーニャの仲間?シスターに仲間がいらっしゃったのですか。』

とぼけてみよう。


『おや、そこのシスター様に聞いていらっしゃらなかったですか。ナーニャさまももう、お忘れですか。』

ナーニャは震えている。これは、これでそそるなあ。

『まあその、ナーニャに何か御用ですか?』

『いやね、昔のよしみで仕事でも紹介してもらえんかなって思ってね。』


ナーニャの震えは、単にゴブリンの巣に置いてかれたトラウマからくるものなのか、それとも別の理由があるのか。


ただそんなことは割とどうでもいい。

冒険者をヴァンパイアによる殲滅作戦で全ていなくなったとおもいきや、伏兵かよ。


ヴァンパイア作戦は使えない。冒険者が1人も帰ってきてないという噂はかなり有名になっていて、

古城の案件を今更受ける冒険者はいないだろう。


冒険者を物理的に足止めしないといけないか。

関所でも作るか。まあそれはやるとして、

コイツらだ。ナーニャが謎に怯えている分、なんとかしないと教会の権威に関わる。

しかしながら、今更どこかの怪物と交渉してだと怪しまれるな。教会の依頼は、危ない。みたいなブランディングされても、面倒だな。


うむ、こいつらは村民に追い出してもらおう。



『仕事ですか。どのような案件がよろしいですかな?私、事務方を担当してまして。』


『そうかい。討伐とかはないのかい?』

『なくはないですが、あいにくヴァンパイアの案件しかなくて。。』


『あの案件か。微妙だねえ。』

いけすかないな。教会に対する敬意がない。やはり、信神深くないものは排除だ。


とはいえ一度依頼を発注し、村の外に出さねばならない。


『では、これはどうでしょうか。』


隣町への宅配業務だ。報酬は釣り上げている。


『宅配かー。地味だが、なんでこんなに高いのだ?』

『ナーニャのよしみでの知人価格ですよ。』

『なるほど。わかるお方だ。』



『じゃあ受けるよ。』


♦︎


さて、アイツらがいなくなった。

ナーニャの部屋に入る。


『あ、ま、マサチカさん。』


また白い下着姿だ。よいよい。


『ナーニャ、あいつらを追い出したい。流言を流す。お前の受けた仕打ちをもう一度教えてくれ。』


『・・・。』

む?沈黙とは珍しい。いつものように挙動不審でもない。


『言えないのか?』


『あ、あまり言いたくは、ないですが、

言います。今夜、教会の聖堂でお、お願いできませんか?』


『ふむ。奴隷のくせに要求か。』

『・・・っ!』


『まあ、良い。ナーニャにはよく働いてもらっているからな。』


ナーニャはほっとしたのか、少し笑顔だ。




ナーニャの部屋を出る。

少し奴隷に対する関わりとして甘いだろうか。まあ、好みの女によく思われたいのは男として当たり前だろう。まあ、このくらいなら。


『マサチカ、ナーニャに少し甘いんじゃない?』


クレアだった。聞き耳立ててたか。いやらしい女だ。


『ナーニャは奴隷だよ?奴隷に舐められたら終わりなんだよ?』


『まあ、そうだな。ちなみにそれは、俺に対する不満ということでいいのか?』


少し詰め寄る。


『そ、そうじゃないの。私は、マサチカの為をと思って、、ごめんなさい、ごめんなさい出過ぎた真似だったわ。嫌いにならないで、嫌いにならないで、、。』


本当に情緒が乱れてるヤバい女だ。泣きながら笑っている。膝にすがりながら。俺が居なくなったら死にそうにな感じで。


『お前のことは嫌いにならないさ。』

床にヘタっているクレアのアゴをくいっと上げて顔を近づけてみる。


『あ、うん・・・・。』

『ただな、お前にダメだしされると傷つくんだ。

いつも俺を肯定してほしいんだ。』


『わかったわ・・・いつもあなたに従うわ。』

なんと、恋は盲目だ。



♦︎

その日の夜、教会の聖堂に向かう。

ナーニャがステンドグラス前に立ってまっている。


月のあかりが差し込んでいてナーニャがいつもより神々しく見えた。



『ナーニャ、待ったか。』

『いえ、旦那さま。今きたばかりにございます。』

『では、話をしてくれるのだな。』

『はい、なんとなく旦那さまも察しておると思いますが、、私はかつてこの村の冒険者でした。ですので、生まれはここではございません。そのあたりからお話してもよろしいでしょうか。』


ナーニャはゆっくりと落ち着いて話始めた。

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