冒険者達は奈落の底で死す
教会前に立て看板をたてた。
『完全歩合制のミッション!ヴァンパイアの首1つにつき10000G』
こんな、怪しげな歩合制ミッション、といった感じの雰囲気だが客寄せにはもってこいの内容だ。
『おいおいスゲーな!このミッション。』
『本当にもらえるんかねえ、いくらナーニャ様のミッションとはいえそんな金あるのかね。』
『ナーニャ様ああああ!』
ルーンが走ってくる。何か袋を持ってきた。
『なんぞ、騒がしい。』
ナーニャが教会から出てくる。
『ナーニャ様こちらをご覧ください!』
袋から取り出したのは、牙が鋭く白髪で真紅の瞳の生首10体。ヴァンパイアの生首である。
『でかしたな、ルーンといったな。報酬だ。』
ナーニャは10万Gをルーンに渡す。
教会前にたむろしていた冒険者はルーンに一斉に詰め寄る。
『ヴァンパイアはどこにいるんだ?!』
『村の北にある、古城跡があるだろ?あそこにたくさんいるんだ!』
教会前にたむろしていた冒険者は一斉に古城跡目掛けて向かった。しかし冒険者の中にも、びびっている連中はいて、躊躇うものが残っていた。
コイツらはおそらく冒険者としてのレベルが低いやつらだ。
『みんな、パーティー組んで行こう!首は山分けで!』
ルーンが誘う。
『み、みんなでいけば怖くないか。』
『そうだな、行こう行こう。』
ルーンを先頭に古城跡に向かっていった。
なんとも現金なやつらだ。ルーンをあれだけ邪険にして仲間にしたくないと思っていた奴らが、金に目がくらむとこうなる。
冒険者というのは、本当に。。
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古城跡にて、冒険者が入っていく。
入ってすぐ、大広間がある。
『なんだ?ヴァンパイアいないぞ?』
『もっと奥まで探索しないといけないのか?』
ルーンが引き連れた一団も入城する。
『おい、ルーン!ヴァンパイア全然いねえぞ!どういうことだ。』
『さっきはたくさんいたんだけど、、ちょっと奥見てくる!』
ルーンは大広間の前にある階段を登り、部屋に入った。
その刹那、ルーンの悲鳴が城内にこだまする。
『うわああああああああああああああああ?!助けてええええええええ!』
『な、何が、あったんだ。』
冒険者達は騒然とする。
すると、城門が唐突にしまり、冒険者達は城内に閉じ込められた。
『な、なんだ?』
ガコン!
床が抜けて、冒険者達は遥か4〜5メートル下の床に叩きつけられた。
『う、う、、。』
そこかしこでうめき声が聞こえる。
今の落下で致命傷を負ったものもいるようだ。
扉が開き、扉の向こうから大量の足音が聞こえてくる。
それは、100体近くのヴァンパイアだった。
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『うわああああああああああああああ!やめてくれえええ!』
『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!血を吸わないでえ。』
瀕死の冒険者達はなすすべくもなくヴァンパイアに血を吸われていく。
『はあはあ、いや、いやああ。まだ死にたくない、、』
這いずり回り逃げようとする女戦士がヴァンパイアに捕まる。
『オマエは我々の子を産むものとして使役する。だから、死ぬギリギリまで血を吸う。生かす。』
『いやああああああああああああああああ!』
女戦士は血をギリギリまで吸われたのち奥に引きずり込まれていく。
男の冒険者は死ぬまで血を吸われ、
女の冒険者は、瀕死まで血を吸われたのち奥に引きずりこまれ慰みものにされる。
このミッションに参加した、冒険者達は全滅した。
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立て看板を立てる3日前。
クレアは、ヴァンパイアと接触していた。
『女、お前は何をしにきた。慰みものにされにきたのか。』
『私、1人を獲物にしたところであなた達の需要には答えきれないわ。ちょっと取引をしたくてね。』
クレアはヴァンパイアの長に、冒険者をはめる、偽ミッションの話をした。
『なるほど、こちらにはメリットがあるな。しかしそちらのメリットがない。』
『うーん、冒険者が邪魔なのよ。村の統治にはああいう異分子が不要なの。でも私達で手を下すと村民に恐れられるし、信用もなくなるわ。だから、あなた達にお願いしたいの。』
『なるほど、変わった人間もいたものだ。』
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こうして、クレアが交渉し、ルーンが偽の生首を用意し、ナーニャと一芝居うつ。
まさに、策がうまくいった。
『さて、冒険者達は全滅したか?』
『マサチカ、やっぱり天才!大好き!』
くそ魔法使い女が抱きつく。キモい。
ルーンはナーニャに何かすがっている。
『ナーニャちゃん、私できたよ!これでよかったの?良かったの?』
『あ、うん。』
ナーニャは困惑している。ちょっと困った顔が萌える。
教会の扉が開く。
『よう、ナーニャ久しぶりだな。』
そこには4人の冒険者がいた。
ナーニャが震えている。
『あなた達は誰でしょうか?』
俺が尋ねるとパーティーのリーダーらしき、
ロン毛の剣士が答えた。
『ナーニャの仲間だよ、俺らは。』




