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捏造の王国

捏造の王国 その46 感染拡大防止アプリ、ココスガ登場!三密マスクなし会食した人は医者にかかっちゃだめだよーん!のはずでしたが…

作者: 天城冴

新型肺炎ウイルスの蔓延にも関わらず旅行キャンペーンを推し進めていたニホン国ガース総理。世論の大非難により、ついに一時停止を発表するが、年明け再開をもくろみ、接触アプリを開発する。密な飲食やマスクなし会食などの違反者通報機能もついたアプリをジコウ党国会議員全員のスマートフォンにインストールした途端、さっそく違反者が出て…

日毎に日が短くなり、例年はクリスマスに年末年始のパーティ、宴会騒ぎのはずが、新型肺炎ウイルス対策大失敗続き中で自粛ムードどころか、御通夜モードに突入しかけているニホン国。ここ官邸でも急激に下がった支持率他になやむガース総理のため息が連発していた。

「ああ、クリスマス近い日曜に、せっかくグリューワインならぬ、ハーブたっぷりクリスマスティーを淹れたというのに、ゆっくり味わう気分になれない。やはり、マスクが煩わしい」

と、総理になった祝いにと奮発して購入した高級陶器メーカーのティーカップを片手に嘆くガース総理。マスク着用しつつ会食すべきと国民に呼びかけた手前、マスクをずらして、お茶を飲んでいるのだが、どうにもしっくりこない。

「そ、総理、そのウイルス対策で旅行キャンペーン停止決定はよいが、時期が遅く短い。年明けの再開はやめた方がいいと、その、医師会からも、ついにオンミ会長からも」

と、ティータイム中の総理の邪魔をしまくるニシニシムラ総理補佐官。

「くうう、ウイルス対策の分科会会長に取り立てて、研究生の生活まで保障したのに、オンミの奴」

「そのう、さすがに首都およびオーサカなどの医療崩壊が目前という事態ですので、オンミ会長も強く出ざるを得ないのでは。ヨジムラ府知事はついにジエータイの要請までしましたが、ミヤコ構想やら、うがい薬会見、エビデンスゼロのワクチン開発宣言などや連日のテレビ出演で大顰蹙を買う始末。医療技官も無尽蔵にいるわけではありませんし、その、停止の判断が遅きに失したとの大批判も支持率に影響…」

「わ、わかっている!ああ、くそ、なんで私の贔屓にした連中ばかり、こんな目に(だが、なぜか今日は地獄の書記官の余計な突っ込みがないのが救いだ。あいつがいたら、『だってメイジの党のヨジムラさん、ハシゲン、マツイダさんもガースさんと同じ〇ホですから、救いようがないじゃないですかー』とか腹の立つことを言い出すんだ)」

と、耳の痛い真実を述べる、あの世の存在がいないことに少しホッとするガース総理。そこに更なる朗報が

「総理、つ、ついに接触アプリ進化系、ココスガちゃんの完成です!」

とタニタニダ総理補佐官。アトウダ副総理についていたはずだが、ガース総理にもまだひっついているらしい。どっちつかずでも、気心が知れ、そこそこ使える人間は傍におきたいガース総理は相好を崩し、

「そ、そうか!それで、どうだ、マスク会食を守るかの対策などはしっかりしているのか!キャンペーン再開のために対策は万全とアピールしないと、支持率がまずい。かといって再開しないとサンカイさんらが…」

総理について半年足らずだというのに、すでに四面楚歌になりつつあるガース総理。後ろ盾だったはずのサンカイ・ジコウ党幹事長のご機嫌を気にして、先日も会食したばかり。しかも、その会食が多人数だったため、さらなる世論の批判を浴びていて、気が気ではない状態である。

「はい!マスクなし会食、接触密などの通報システムもばっちりです。試験的にジコウ党員のスマホにインストールしました!」

「よし、私もさっそくインストールするか」

嬉々としてスマートフォンを取り出し、操作するガース総理。

ニシニシムラ総理補佐官も含め、すぐにインストール完了。早速アプリを開いてみる。

「この、ココスガちゃんの副題は“三密マスクなし会食した人は医者にかかっちゃだめだよーん!”です。オンミ会長や政府の推進するマスク会食や密な飲食、多人数宴会をした違反者の通知機能も搭載。違反者はすぐに医療機関および政府組織に通知。そんな馬鹿どもをすぐに隔離すれば感染対策にもなります。そして感染対策をしない奴が受診しなければ、医療崩壊は防げます!看護師だって、“旅行行って羽目を外した人間なんて看たくない”と言っていますし、まあ当たり前ですが」

と、とうとうと語るタニタニダ総理補佐官。ガース総理も安心したように

「まあ、そうだ。マスクなし会食をした場合、感染拡大、クラスター発生の恐れがあるからな。それを防ぐ、または参加者を隔離すれば、感染は防げるし。このアプリ自体が予防措置になる可能性もある。違反したと他人に知られれば村八分になる可能性もあるし。マスクずらし会食は、なかなか難しいが、別にオンライン飲み会などもあるのだし、まあ今年は我慢して…うん?点滅してるが」

「あ、総理やわれわれ関係者は、違反者情報がすぐわかるように…、え、もう、ですか!」

驚くタニタニダ総理補佐官。そばにいたニシニシムラ総理補佐官がおずおずと

「その、タニタニダ君、これどうもアトウダ副総理らしいけど…」

「わー!確かに!位置情報も、本人の認識番号もそうだ!マイマイナンバーも入れてほしいって言ったんだけど、拒否されたから、携帯番号もいれさせてもらったけど!ま、まずい財界の人も一緒だ!」

青くなる一同。そこにまた点滅、今度はビービーと警告音まで

「こ、これは。ぎゃーカトウダ長官やダムラ厚労大臣がー、ニチムラ経済担当!お、お前もかー!ミバラ・ジュンコ副大臣も!マウスシールドも駄目だが、マスクなしで!し、しかも密室!い、いくら空調が効いているからって。こ、これぐらい我慢できんのか!こ、国民に自制を強いているというのに、肝心の与党の、か、閣僚がこれでは」

違反した政権幹部の映像に思わずのけぞるガース総理。

“あー、やっぱり、また地獄の住民が増えてこまりますねえ”

(わー書記官!で、出てこんでいい!)

“地獄でたまった仕事を超速球で片づけたんですけど、また仕事増やしてくれたんですね、ガースさん。まー、貴方もキャンペーン中止の会見の後に会食してましたよねえ。だーかーら、さっさと飲食キャンペーンも旅行キャンペーンも禁止して、宴会はオンラインのみにすればよかったのに”

(そ、そんなことしたら経済がー、補償する金だって、今回の決定の給付金で精いっぱい…)

“あ、人が死んだら経済もないでしょ、地獄で商売は禁止です。だいたい金ならキャンペーンのお金と、皆さんの議員報酬及びボーナスあてればいいじゃないですか、政党助成金もなくして。そうすれば国民全員月10万円給付、半年ぐらいできますよねえ、議員のボーナス一人300万円以上だし”

(あー、そ、そんなことしたら、その、後援会…)

“あ、やっぱり、センテンス・スプリングの週刊誌スクープほんとだったんですねえ。ガースさんもアベノ前総理の桜を愛でる会の前夜祭並みに、支援者のパーティで金使ってるんですねえ、それも原資は税金”

(いや、そのだな。だいたい今回の失敗は各省庁の連携が、その)

“そうですよねえ、お役人も、御用学者もマトモに働いてませんよねえ。国家公務員のボーナスもゼロでいいんじゃないですかあ?国民が瀕死状態なのに何が賞与なんでしょうねえ。あのテレビにでた厚労技官さん、言ってる事、論理破綻、自己矛盾、支離滅裂でしたねえ、ちゃんと仕事してるんですかねえ。ピロシキだかピロユキだかって人のほうが、よほど筋通ってましたし”

(わー、あれは、その、ウイルス対策が失敗ではないと説明…)

“実際成功してないじゃないですかあ。そうかあ、お役人も大変ですねえ、貴方方の失敗のしりぬぐいのために訳の分からない言い訳を公共の場で、顔さらして発表しなきゃなんないんですから。頭がいいのにカワイソーですねえ”

(や、役人は脅して、いうことを聞かせればいいんだ。実際私はそうして総理に、その)

“実力もないのに、そういう裏技、誤魔化しで成り上がるから、危機的対応ができないんですよ、まったく。ウイルス対策もキャンペーンも大失敗、停止決めたのも遅すぎて非難ごうごう、オマケに停止発表に自分らが会食ですからねえ。支持率爆下げ、医療崩壊は起きるのは当然ですねえ、トンデモナイ無能政権ですねえ。いやあニホンを滅ぼすのは貴方方ジコウ党なんですねえ。もう、ガースさんたら、地獄にそんなに行きたいんですかあ”

(そ、そんなことはない!ウイルス対策をしっかりして、キャンペーンをなんとか再開)

“え、本気ですかあ?だいたい、ココスガちゃん入れても、ジコウ党の方々が率先してウイルス対策の決まりを破ってるじゃないですかー”

地獄の書記官の言葉に絶句するガース総理。

「わー、サンカイさんが、地元後援会で忘年会強行してます!ほ、保健所を、お、脅して内緒に…」

青くなりながら叫ぶタニタニダ総理補佐官。ニシニシムラ総理補佐官も次々とジコウ党の違反者の名を挙げている。

(ああ、くそー。新型肺炎ウイルスの脅威、その対策を率先して考え、実行しなければならない政権与党が、こ、これでは。まさにジコウ党が感染を広げる、ちょ、張本人…、な、なのか。だ、だがウイルスぐらい…)

“あ、その新型肺炎ウイルスのせいで、今まさに医療現場が疲弊し、軽症者でも急変して苦しみながら死んでるっていうのに、本当に想像力ゼロですねえ。それで恥ずかしげもなく、よく総理やってられますねえ。前総理以上に無恥、無知…”

「ぎゃー、黙れー」

思わず叫びながらマスクを外すガース総理。

「そ、総理おやめください!」

「室内です!我々もいますからマスクをー」

「そ、総理がウイルス対策違反―」

ニシニシムラ総理補佐官とタニタニダ総理補佐官が悲鳴をあげる中、ガース総理はマスクを完全に外し、高級茶を一気に飲み干した。


旅行でウイルスが拡散というデータもあちこちで発表されているというのに、どこぞの国ではかたくなに無視、ついに自分らに害がおよびそうということで、その国の政府はやっと旅行キャンペーン中止だそうですが、クリスマスの後。大丈夫ですかねえ。

移動そのものは確かに直でウイルス拡散にはならないかもしれませんが、旅行先での無礼講、酔っぱらったら無罪放免というオジサンたちがたくさんいる国では、危険が倍増すると思われますわ。

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