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古き英雄の新たな物語【リメイク】  作者: 光影
第四章 戻って来た日常
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女王陛下との再会


 ――アテムス大陸、首都オルメス、中央王都区画一番地一丁目……。

 通称オルメス王城が存在する場所で。

 この国で一番偉い女王陛下がいる場所である。

 目の前にある大きな扉をノックする一人の兵士。

「女王陛下、お客様です」

「いいわ。通しなさい」

 その声に反応して、兵士が両手を扉にあて全身を使って一枚の扉を開ける。

 影と優美が兵士に案内され中に入ると、玉座に座りこちらを見下ろすように座る女王陛下がいた。茶色い腰下まである髪に男ならつい視線を誘導されてしまいそうになる美貌の持ち主ある。スタイルも良く女性らしいラインが特徴的である。

「お久しぶりです。女王陛下」

 優莉と杏奈が心配そうに見守る中、影が口を開く。

 周囲の重たい雰囲気を肌が感じ取る。

 オルメス国No,1と元No,2の対面はどうやら優美が思っている以上に皆も興味があるらしい。

「久しぶりね。それで影? 何で今まで雲隠れしてたの?」

「…………少し落ち着いた生活をしたくて」

「そう、なら何で優莉達とは裏で連絡を取ってたくせに、私には何もなかったの?」

「女王陛下に気楽に連絡を取れる人物等この国にはいません。それは私とて例外ではないからです」

 影がもっともらしい言い訳をする。

 が、これも事実である。

 普通に考えて女王陛下相手に友達感覚で連絡を取れる人物がこの国にいるわけがない。


 ――影の言葉に優美が思わず小さくため息を吐く。


「ばかぁ。そうゆう事じゃない。きっと女王陛下は違う意味で言ってるの」

 と、小さい声で優美が教える。

 優美の直感が正しければ影は恋愛に対してかなり鈍感である。相手の好意そのものは感じ取れてもそれが異性としての好意なのか人としての好意なのか区別がつかないほどに。優美は影といてそのことに気付いた。


 ここに来る前に意を決心して影に好きな人がいるか聞いた。

 すると、影から返って来た答えは「うん。いるよ」だった。

 勇気を振り絞り、誰が好きなのかを聞くと、「この国の皆が大好きだよ」と優美の質問の意図とは的外れな事を言いだした。


 ――つまり、影攻略はとても難易度が高い事が証明された。


 だが、そのおかげで救われたこともある。

 いつも頼りになる影を女王陛下と優莉は間違いなく好きになっている。

 勿論他にも理由はあるだろうが……。

 これは女の直感だが、影の話しをするときだけ、二人共笑みが異常に増え声のトーンがあがり口数が増える。

 ライバルはかなり強敵きょうてきだった。

 女の優美から見た、女王陛下と優莉はとても美しかった。

 もし優美が男ならば間違いなく、そんな二人にアプローチされれば恋に落ちていた。

 だけど、影はそんな二人でも攻略が出来ないのである。

 そう、鈍感過ぎて優美のさり気ないアプローチでは進展と言う進展は何一つなかった。

 女王陛下と影、二人の異性としての関係が本当は気になるので付いてきたがどうやらこれは心配するだけ無駄だったと思ってしまった。


「そう」

 優美の想像通り、女王陛下が口を尖らせる。

 そんな状況でも影はいつもと変わらない涼しい顔をしていた。

「一応聞いたわ。先日のノーブルイヤン街防衛線、影大活躍だったみたいね。本当にありがとう。望む物があれば何か褒美を与えるわ」

「いえ、必要ありません。あれは優莉総隊長を中心としたオルメス軍の皆が頑張ってくれたから勝てました。後、その優莉総隊長を前線で補佐したここにいる優美のおかげです」

「……私が言いたかったのはそうゆう意味じゃない。……けど、まぁお疲れ様。動いてくれてありがとう。影がいなければ被害はもっと大きくなっていたわ」

 恐らく影個人を誉めているであろう女王陛下を見て優美はここまで来ると影の感性を少し疑ってしまった。鈍感を通り越して天然なのかそれともただのバカなのか……。だけど、そんな影が可愛く見えてしまうのはやはり恋のせいなのだろうか。

「そう言ってもらえるとさいわいです」

「ちなみに軍に戻る気はないの?」

「ありません」

「理由を聞いても?」

「過去に命令違反をした者等オルメス軍には不要です。前科がある者は二度目がある可能性があります。そんな者をオルメス軍に置いておくのは愚行かと思いますが」

 とうとう我慢の限界に来たのか、女王陛下がイライラしだす。

 

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