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亡者は異世界に何を見る  作者: 黒い獣と色鉛筆
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新たな誕生

あのような出来事の後、私は騎士隊長「アヴェンド・ルーデリヒ」こと「アヴェンド」にそのまま連れて行かれ、第2番隊の隊員になった。

勿論、年端も行かない私は隊内では特別な階級から始まるわけでもなく、隊内の世話役から始まった。

しかし、だ。

私はただの子供だ。教養も持ち合わせておらず、ましてや盗人として生活してきた私は、掃除や洗濯、通常の人間が出来るはずの生活に必要な行動は何1つ出来なかった。

その姿を見てアヴェンドは少々呆れた様子で私を呼び寄せた。


「...お前本当に何もできないのか?」


低い声色でアヴェンドは私に尋ねる。

言葉に重みを感じとり、背筋が凍る。

体がこわばる。

言葉もままならない私には、その問いの返答が動きと態度でしか示せない。

怯えざまに首を縦に振った。


「そうか...」


アヴェンドは深く息を吐き、うつむいた。

何か物思いに更けていた。

空間は重たい空気が充満し、息苦しい状態だった。

この空間で私は多くのことを考えさせられた。

どうせ盗みと喧嘩しか能の無い人間なのだから、捨てられて当然だ。

まずこんな子供を拾うことが間違った判断だった。

元に世界に戻ったら次はどの店を狙おうか。見捨てられる準備は万端だった。

しかし、この男アヴェンドは常人の想像をはるかに超える答えでいつも周りを驚かす男だった。


「よし、ならば俺が直々に全てをお前に教えるとしよう。炊事洗濯掃除、それから言葉と剣術と武術。何から何まで付きっ切りで見てやろう。子供のようにな!というより今日からお前は俺の子供だ!我が子よ!」


この時私は彼がおかしいのか、それともこれが「親」と言うものなのか理解できず、表情のない顔をと下に向けることしか出来なかった。


「よし、我が子よ。言葉が喋れん以上、名前はまだ無いと見受けられる。そうだな...我が子にはとびきりの名前を...それでもって俺に似た名前が良いな...」


アヴェンドは自らの顎に指を掛け、ううむと唸った後、私と同じ目線になるよう屈んで私の目を見て


「よし!お前の名は今日からレヴェイト・ルーデリヒ、レヴェイトだ!今日から改めてよろしくな!わが子よ!」


この瞬間に私、レヴェイト・ルーデリヒは新たに生を得た。

私は盗みを働く悪ガキから王宮騎士第二番隊の訓練騎士かつお世話係かつ王宮騎士二番隊騎士隊長「アヴェンド・ルーデリヒ」の息子「レヴェイト・ルーデリヒ」となり先日までの悪を拭い去り転生、新たに誕生したのだ。


空は朝から続いた雨の降りそうなどんよりとした暗い雲が神風に吹かれたかの様に散り散りになり、青い空から陽が差し込み王宮を煌々と照らしていた。

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