まわりはみんなテンプレ主人公みたいなのに僕だけ平凡だけど楽しい
まわりはみんなテンプレ主人公みたいなのに僕だけ平凡で辛い
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ここはテンプレ異世界人の村。
みんなが何かしらのチートを持ってる過剰戦力とオーバーテクノロジーの村。
ただ一人凡人の僕は、世界の平均を忘れないように指標としての仕事があります。
そんな僕の平凡だけど楽しい日常です。
朝起きると、隣に全裸の美女がいた。
「…おはようございますTSさん。またいたずらですか?
体は一応女性なんですから、多少は恥じらいを持った方がいいかなと思うんですが。」
「ちぇっ、もうさすがに慌てたりしないか。
昔は顔真っ赤にしてたくせにねー」
TSさんが僕の顔を見ながらニヤニヤするけど、流石にこう何度もセクハラ的いたずらをされたらなれてしまう。
…ちょっとだけ凡人じゃなくなった気がして少しうれしい。
「ちょっと若返り賢者がボンちゃんの事呼んでたからさー。
やっぱり若返りしても爺さんは爺さんだよね。朝早いもん。」
「若返り賢者さんですか?何の用なんだろう。
まあいいか。ありがとうございました。早速行ってみます。」
TSさんを見送った後、昨夜の宴会の料理の残りを口に押し込みつつ出発の準備をする。
賢者と名前が付く人は数人いるけど、みんな森の方に住んでいるから少し急がないと。
…賢者って森に住まなきゃいけないしきたりでもあるのかな?
そんな他愛のない事を考えつつ無事に森の前の休憩所に到着。
建前上は森に入る前に息を整えるための休憩所なんだけど、ほとんど僕しか使っていない気がする。
強い人たちは無視して突き進むし、非力系の人たちはそもそも森に来ないからだ。
まあ非力な人自体この村じゃ珍しいんだけどね。
せっかくIH風魔道コンロや上下水道、お風呂まで完備した快適さなのにもったいない。
中に入ると、二人の青年が座って待っていた。
「おお、ボン。よく来たのお。待っておったわい。」
「あ、若返り賢者さん、不老努力賢者さんおはようございます。
何か御用でしたか?」
「どうも僕じゃダメだったみたいでね。魔術の才能が同じ凡人レベルのボンちゃんを呼んだんだよ。」
不老努力賢者さんは不老努力戦士さんと親戚らしく、それぞれ才能がない分を千年単位の努力で埋めた人達だ。
才能は凡人でも僕とは全然違うと思う。と言うか千年も生きられ…るのかな?
チート錬金術師さんあたりが不老長寿の薬とか作ってそうだ。
「そうじゃそうじゃ、こやつはワシより長生きしておるせいか、時間の感覚がエルフより酷いわい。
賢者シリーズの皆と外向けの魔法学校を作ってみようかと思ってな、どれくらいの教え方ならいいか聞きたいんじゃが…
こやつは『その方法なら百年で一人前になれそうですね!いいんじゃないでしょうか?』とか言うんじゃよ。
そんなに長生き出来るのは凡人じゃないわい!」
「だって僕が一人前になるのに二百年かかったんですよ?それに比べれば早いじゃないですか。
それに脳に直接DLすればいいとか言い出すマッド賢者さんとかよりマシですよ。」
「村の外の連中がそんなに生きられるわけがなかろう!マッド賢者は論外じゃ!
…まあそんなわけで凡人中の凡人のボンに魔法を教えてカリキュラムを考えようという事になってのう。」
「はあ、それなら協力します。僕も魔法が使えるようになるんですよね?
それなら断る理由はありませんよ!
…ところで賢者シリーズって変態賢者さんもですか?」
「「変態シリーズと混ぜるでない!(混ぜないで!)」」
二人の声がハモった。
よっぽど変態シリーズの人達が嫌いらしい。
ここで変態シリーズと言われる人たちの話をしておこう。
この村に住むなら、取扱注意という事で教わる五人の変態だ。
一人目はさっき名前が出てきた変態賢者さん。魔法が使えなかったらただのエロ爺だ。
スカートを自然にめくる風魔法や、女風呂を除く光学魔法、その他諸々エロい魔法に特化している。
正直頭は良くないとしか思えない残念さがにじみ出ている。
二人目と三人目は萌えろドタコンさんと無敵のドタコンさんだ。
ドーターコンプレックス、つまり娘に過剰な愛情を注ぐおじさんだ。
娘のためにドラゴンをワンパンで倒してしまうほど強いので、娘さんに声をかけられたら両手を上げて無実を証明しないと殺されかねない。
ちなみに萌えろドタコンさんの方は、血の繋がりが無いのにお父さんと呼ばせて可愛がっている。
別の意味で危険度が上なので要注意だ。
四人目は腐漏女子だ。
文字通り腐っている。BL的な意味で。いつまでも若いけど、いつまでもその趣味のせいで結婚できない人だ。
五人目はこの前隠居おじさんに引きずられていた変態ござるさんだ。
元ニートの引きこもり、コミュ障で目もまともに合わせられない人だけど、ふひゅふひゅござるござると言いながら殲滅魔法でいつもやりすぎる。
転移魔法を使えるので、主にタクシーとして使われていたりする人だ。
そして帰り道の僕の目の前にいるのは萌えろドタコンさんと無敵のドタコンさんの娘たち。
その二人に手をとられ、王都に遊びに行きたいとせがまれてだらしない顔をする変態ござるさん。
「おさわりまん!こっちです!」
ダッシュでその場を離れる僕。
音を超える速度で駆けつける二人の父親。
ピンポイントに降り注ぐ剣線と周囲に一切被害を与えない魔術の爆撃。
「ふう、危ない所だった。」
「…いや、普通に冤罪でリンチが始まってるんですけど…
な、難聴系助けて来いよ。」
「え?TSさんなんか言った?(ガクガクブルブル)」
「「こいつ絶対聞こえてるだろ!」」
調子に乗りました。