第百六十二話 ゴールディとジョー
街行く人を斬りつけて中身を露出させて始末する。
大体千人弱の内一人の割合で隠れ潜んでいるようだが、東門とは逆に向かう者達にそれが多く紛れていると言う可能性も否定できない。
血塗れになったシルナ服と帯剣の柄に洗浄魔法をかけながら周囲を見渡す。
只の人殺しであるならば彼等は逃げ惑う民衆となるだろうが息を潜めて推移を見守る罪無き者達に手をあげる気は今の所無い。
人の中で人の皮を被っている魔人を的確に狩る者が返り血を時折洗浄しながら無造作に女子供老人若者を問わず異形の者を炙り出す様に斬り殺しているだけなのだ。
「人間に危害を加える気はありません用があるのは薄汚い魔人だけですよ。」
声は優し気だが目は死んでいる。
そして、見逃した魔人と目線が合う。
互いにとっての異種族を殺し、返り血を浴びた者同士が対峙する。
もう自我も何もないザン・イグリット教のシスター服と暗灰色の衣はぐっしょりと血を吸ってズルズルと引き摺られる雑巾のようなものと化していた。
辛うじて女のようなパーツがそこかしこに残っているだけの悪魔である。
魔人の目の前で魔人を殺す、どちらがより凄惨な殺しを披露するのかを競い合うように、にじり寄りつつ死体を作りながら距離を詰めていく。
シルナ人に情けをかける気は無いが、改宗の意思と可能性が少しでもある民衆までは手に掛ける必要はない、組織に属したものや宗教そのものが最初から違う信仰心の高い者はこの後の聖別で篩にかけられるのだから一々面倒を見てやる必要性は感じられない。
逃げ始めた民衆の人並みの中から一人、また一人と魔人を選び出して斬り殺す。
逃げる者を追うのは獣の習性であろうか、遂に爪と剣の届く距離にシスターとタケルが至る。
「観察対象の中で、貴女程の個体は中々見受けられませんでしたよっ!。」
言葉尻に弾けるように降り下ろされた魔人の爪を魔法剣で容易く切断する。
只の獣であるならば不利を悟れるが、残念な事に壊れた元人間のようなものにそのような野生の勘や生存の為に必要な第六感を期待する方が無理と云うものであった。
指を切断されても腕を斬り落とされても構うものかとタケルを襲う。
そういう憐れな生き物をタケルは観察する。
魔法剣無しではここまで一方的には戦えない、思い付きではあったが、軍で魔法剣を形にしていなければ再び人類大攪拌の憂き目にあった事は疑いない。
低出力の魔法剣から、扱える限りの属性付与を試し再生していた羽根を切断し、また手負いの獣に戻して様子を見る。
自己再生能力は半日でほぼ全快と言う試算だった、恐怖心や命の危機で再生能力の強化、活性化等の強い変化が無いかの確認をして置きたかった、だが、やるだけ無駄な行動であるようだ。
「機械的に捕食するだけのものになり下がったのならば後で侵攻する時にでも狩ればいいか、それに定期的に翼を落としに来るだけで割と使える戦力になりそうだ。」
そう結論付けてタケルは民衆が逃げた方角へと踵を返す。
覚醒していない魔人の中にもっと危険な者が混ざっている可能性を優先し、より興味深い観察結果が得られそうな個体を探し始める。
放置された魔人は、再び人の多い場所を求めて都の中を彷徨い、大いに暴れる事となった。
都の半包囲を進めているコンラッドは後方から続々とやって来る足の遅い兵科が駐留する広場に竈を作らせる指示を工兵に命じる。
輜重隊が到着する頃にはそれなりに形が整っている事だろう。
聖歌隊の者達が神曲の練習を始める頃に体調を崩した者たちや傷病兵がその効果範囲で休む事になる。
身体の奥に貯め込んだ魔素を打ち消してくれるので治療速度が短縮されて健康にも良い働きがあるのだ。
奇跡とされる事が低難易度で起こせる現在の状況は神の座が空席だらけであると同時に主神の座も空席であることが原因である。
神と神のしもべと神兵と云う形が形式としてパズルのピースのように並んで嵌っている現状は、奇跡を地上に顕すのに必要な、神の試練が存在しないことも相俟って、易々と使い倒せる便利な力として乱用できるのだ。
今のところそれに気づいているものはごく少数ではあったが。
兵は神速となり、軍事行動は神掛かったものとなり、謀り事は神算鬼謀となる。
奇跡のバーゲンセールとでも言った方が良いような状況だ。
管理者が居なくなった世界は無政府状態に等しく、あらゆるものが奪い放題であった。それに気づいた者達だけが易々と恩恵を受けられる、今はそんな世界である。
間違った神を信仰しているとどうなるのであろう?、名と形を替えただけで同じものを信仰していると謂う悲しい結末に皆、涙するかもしれない。
では、邪神や魔神を信仰していた場合、それは神として数えられるものなのであろうか。
神格を得る者が魔人であった場合、それが神の座についてしまえば果たしてどの様な結末を迎えてしまうのであろうか。
中央都市チキンの治める事を禁じられた地に眠る神の名は、神帝ジオルナードと呼ばれている、
彼は封じられる前の時代に僅か五人の目を騙しきれずに斃された者であったが、主神よりも遥か上に立つ大神の憐憫の情により、その身は朽ちる事も滅ぶ事も許されなくなったのである。
たかが殺される程度で、死ぬ程度で赦されるなどと、楽観的に思い込むその甘えた気持ちを情けないものとして受け取られ、神帝ジオルナードは不老不死を与えられた。
神となる者としての覚悟の甘さを呆れたものとして受け取られ、大神は居並ぶ神達の前で神帝ジオルナードを見下ろしてその詐欺師としての功績を讃えた。
「魔人は人間と敵対し殺し合う者として産まれた事は知っておるであろう、魔人の中で同じ魔人より神の座へと押し上げられるならばそれは魔神として正しい。祈りと願いを捧げられる昇華の形に一切の間違いも不備も無い。ところが、ジオルナードよ、お主は魔人の身でありながら神を名乗り、人の希望と願いを叶え続けた、巧妙に騙したことは魔人として天晴であったが、その種明かしをする前に討ち取られて封印されてしまったのは不味かった。人はお主と言う詐欺師を誤解したまま祈りと願いをお主に捧げ続ける、その祈りと願いをお主は魔人であるが故に叶える事は能わぬ。」
遥か彼方の高みにあり、山脈のような大神の姿を見上げてジオルナードは途方に暮れる。
「お主は神となったが身体は魔人のままだ、そして人々の願いと信仰によりその体は永遠に浄化され続ける、だが魔人としてその体と魂は永遠に穢れ続ける。死ねば蘇り、蘇ればまた死ぬ、それだけを繰り返すだけのものになる。」
全身に走る痛みと痒みと温かい感覚と魂を切り裂く寒さがじわりじわりと押し寄せて来る。
「死ねば一時的に解放されるがそれでは信仰に対する冒涜である、これは神として看過してはならないものだ、よって其方には不死を与えよう、存分に苦しみのた打ち回り死を懇願しながら生きる事を許そう。」
周囲の神たちが声を揃えてジオルナードへと呟く「感謝せよ。」「感謝せよ。」「感謝せよ。」「感謝せよ。」「感謝せよ。」「感謝せよ。」「感謝せよ。」と。
鈍痛から激痛、痒みから、全身を摩り下ろす様な擦過傷からくる焼けるような痛みが駆け巡り、全身を撫でまわす様なくすぐったさが理性を精神から捥ぎ取って行く。
「老いてしまえば滅ぶ事が出来、雨風に晒されてしまえば風化出来る等と云う、その甘い認識も神にあるまじき怯懦の姿勢である、反省する時間が必要であると判断し、其方には不老を与える。存分に老いず衰えず自我を喪う事無く壊れる事の無い心で猛省すると良い。」
大神はジオルナードの心を読み、良く理解し、正しく、呆れるほど妥当な罰を与える。
神たちはジオルナードの狂態を観察し、満足気にその猛省をするために与えられた不老に対し、万雷の拍手で以て賛同の意を示す。
「ではジオルナードよ、人々の信仰が絶えるその時まで神格無きその身で人の神として生きるが良い、その果てに何時か訪れる赦しの日を期待するといいだろう。」
狂ったように笑い、狂ったように痛みに泣き呻くジオルナードは、真っ白な世界で一切の暗闇の無い部屋を転がり回る。
夜の来ない明るい部屋が彼の幽閉地、何処までも白く、流した血ですら即座に色を喪うセカイ。
発狂も許されず、毎日毎日人々からの感謝と怒りと尊崇と失望の声で脳を鼓膜を叩きつけられ続ける。
只の魔人、強く賢く人を操りユートピアを築いた魔人、何時しか神を名乗り、富貴の限りを尽くし、虐殺の限りを楽しみ、人類大攪拌を思い付き、そして実行した魔王の成れの果て。
光の御子にして神帝ジオルナードと人は記憶しているが魔王であった事は誰も知らない、知っていた四人は既に他界している。
あと一人は……。
旅をしていた。
終わらない旅を続けていた。
身体を喪ったので慌てて取り寄せ、また旅を続けようと思い立ち意識が吹き飛ぶ。
萎えた体に、濁流のように流れる良く判らない力を注ぐように慎重に身体を従えて歩く。
幸い空腹を感じない、ベッドの上で夢想していた光合成の出来る身体なら餓えずに済む等の、他人様には語れない妄想が具現化したとでも云うのだろうか?。
手元には何もない。
これはかなり心細い、物々交換で得られそうな物など身に纏ってはいない。
『元の私の身体に装備一式がある筈なのだが』
死にかけていた俺に下着は必要なかったし、服も医師や看護師がはだけ易く処置がし易い浴衣によく似た何かだ。
有られも無い姿で村落へ繋がる道を行く。
『今すぐ戻ってせめて服の一つも身に着けたいところだが、言う事を聞かないな』
乞食ですら下着を付けて衣服を上下一式揃えて居そうなものだ、衛生レベルはこちらが上で破廉恥度もこちらが上と来たら乞食より御用になる確率も可能性も高い。
細かい話を抜きにして語れば、その後に俺は、不審者として捕縛され、言葉も通じないまま処置に困った衛士の様な保安官の様な男に、この拷問部屋らしき部屋に押し込まれたと言う次第だ。
『屠殺部屋だ、魔獣の肉を解体する部屋と言って解るか?』
朦朧とした意識の中で微かな声が聞こえる。
初対面の相手には名乗りと自己紹介が必要だろう。
もぞもぞと芋虫のような姿勢で壁に身体を当てて座る事にした。
幻聴とは言葉が違うらしく会話が成り立たない、日本語が通じないのは仕方が無い、英語も無理なようだ。
『空いてる領域にロンダ語を書き込むから少し待て』
「はぇ?。」
身体に電撃が走り、目覚めると既に夜、寝ている間に身体を洗われ、服を着せられて納屋に放り込みなおされたようだった。
『目覚めたか』
「ああ、おはよう…え?。」
当然周囲の暗がりには誰もいない、干し草置き場らしきこの部屋は二畳ていどの広さしかなく人が隠れるようなスペースなどない。
『声に出さずに会話した方が変人扱いされずに済むぞ』
「変人扱いについては手遅れな気もしなくはないぞ。」
『ご尤も…さて幾つか尋ねたい事と教えたい事があるが先に聴きたい事があれば何でも答えてやろう、知っている事限定だが』
なんとも嬉しい提案がなされた、取り敢えず自己紹介から初めて見ようか。
「先ずは初めまして、俺の名前は掛井譲治、親しい連中からはジョーと呼ばれてる。」
『コモンと同じ言葉を使う人間と話すのは千何百年振りかな、私の名はゴールディ・ナイル旅の間は色々と偽名を使ってるから忘れそうになっていた、久しく名乗っていないので内密に願おうか』
声の主は明らかに俺よりも年上の人物であるようだ、姿は見えないが落ち着きのある男性で間違いない。
「知っていたらで良いのだが、ここが何処か説明できるか?。」
『そうだな君の記憶と感覚を共有した上で言えば高山の盆地にある草原近くにある農村の馬小屋の中だと先ずは答えておこう、正確に答えるならばイオナ山地の魔王城跡地、テヴァヘラ草原の農村ブエラノルファだ地下には潜る予定だった迷宮がある』
正確過ぎる情報を得て心に響くワードが二つ、魔王城跡地と迷宮だ。
そしてそこから導き出される答えがある、ここは間違いなく、間違い様も無く異世界なのだろう。
アッチには魔王城なんてものはない。
「その…ゴールディは魔法とか使えたりするかい?。」
『使えない魔法を探す方が困難だと答えておこう、君を見ていてコモンを思い出した理由がハッキリした、一寸身体を調べさせて貰うぞ』
全身を一枚の板が足元から頭まで通り過ぎて行く感覚がする。なんというか、その凄く不愉快なゼリーの板が通過していく感覚だ。
『見せる前に言っておく、気をしっかり持って絶望せずに見ろよ、まだ君はこのセカイに適応していないのだから正直参考にならんぞ』
人名:ジョウジ・カケイ(掛井譲治)
ネーム:ジョー、ジョウジ
属性:植物
弱点:全て
レベル:1/99
基礎能力(才能限界)
力 E-(C)
知識 E-(C)
敏捷 E-(C)
知恵 E-(C)
健康 E-(C)
信仰心 E-(C)
運 E-(C)
HP2/3
MP1/1
備考:病み上がり
脳裏に浮かんだステータスに俺は溢れる涙を抑えきれない。
魔王城跡地や迷宮なんて俺には勿体なさすぎる、俺は”りゅうおうの城”を海を挟んで眺められる王城周辺がお似合い過ぎた。
『呼んでおいてこう言う事を言うのも気が引けるのだが、生きたままこの世界に来る事が出来ただけでも相当な運命力を持っているんだぞジョー』
「俺を…呼んだ?。」
『正確に言わせて貰えばお前が天に召された後に残る筈だったその身体だが…』
成る程、死んだ後の亡骸を再利用するつもりで召喚したが予定外に生きていたと。
『そういうことだ』
もしかして殺されたりするのか?、俺はそのあたりが気になって仕方が無い。
『それは出来ない、劣化しているとは言え、私は聖人の一人だからな』
その言葉を最後に俺の意識は眠りに落ちた、変な力が身体を包んでいるとはいえ、この身体は放射線治療と抗がん剤でもボロボロになっている身体だ、全身不随に癌とくれば助かる見込みなんて全く無い、こんなに体力のない身体では彼の旅に耐えられるなどとは到底思えなかった。
でも何となく俺の魂がこの身体にしがみ付いて来た理由が判った、旅の匂いに惹かれて必死についてきたのだ、噎せ返るような旅の匂いに、あっちの世界では到底かなう事の無い願いを叶えられる気配に、呼び寄せたこの男と旅をする為に、俺の身体は死んでから召喚される気配を感じ取ってとっとと死を迎えたのだと。
今眠っているこの干し草のベッドなど何時頃に読んだ小説に書いてあっただろうか?胸が躍る、この鼓動で心臓が疲れ果てて死んでしまいかねないくらいに。
『彼を導く事が新しい使命だろうな』
眠っている彼の脳は文章だらけで絵が不足していた。なるほど冒険活劇と旅、旅、旅、その果てにある絶景、荒野、砂嵐。
行きたいところだらけで行きたくない所など無いと彼は言っている。
絶望で塗り尽くされた彼の記憶野は、並の人間ならば与えられただけで絶望の坂道を一気に転がって周囲に殺してくれと願い続けるであろう猛毒の荒野とも言える地獄の光景であった。
『これを全て新たな旅で塗り潰せば良いのだな』
多感な幼少期に半身麻痺から全身不随へと徐々に自分を失って行き、以後は首と目と口だけで生きて来たのだと記憶の石は語る。
医師をなじり、父や母をなじり、殺してくれと懇願する十二歳の少年。
舌を噛んで自殺を謀るも四度失敗、ベッドの上で中学校の卒業式を迎え、卒業証書を渡される。
その頃にはもう彼は本の世界にしか興味が無かった。
世間では高校生、大学生と進学する年齢を迎えて通り越し、友人が大学卒業を控えた冬に行方不明になったと聞かされた。
就活の為に熊本に向かう列車に乗っている最中に行方をくらませたのだという。
よりによって列車に乗っている最中である。
ジョーの脳髄に刻まれるように遺されている心の慟哭がそこにあった。
”アイツが逃げる訳が無い”
幼い頃からずっとアイツだけは心折れる事無くアンタは治る、私が治して見せると豪語していた少女。
『強烈な何かは解ったが、神は何をお望みであろうか』
ゴールディは色恋沙汰に疎い、心情神ミクリアに祈りを捧げこの少女の居所をと願う。
即座に神託が下るなどという曲芸は期待していない、数千年も前の神に問うのだ、逃げ出す前の神達に。
彼等が恐れた者の正体は知れないが、神の力をもってしてもそれに抗えないと確信出来た何かである。
『斃せるならば重畳であるだろうが、それが出来ていれば今頃神は新たに揃っている事だろう』
大神はこの世界を、極最近ご覧になられた筈だが一柱の神候補と一柱の女神候補が選ばれただけでその御手を煩わせた形跡は無い。
まだまだ続くであろう放置の果てに何が起こるのかは聖人の目を持ってしても見通せはしない。
『私の浸食に耐えられる精神は正直驚愕に値する、暫くはこの村で畑や荒れ地を耕させて貰おう、地味に身体が鍛えられるだろうしな』
ゴールディは面白そうにジョーを育成するためのプランを練って夜を楽しんでいた。
『神候補となった者にも禁断の書を届けないとならない、どうしても数冊回収するために迷宮には入らなくてはならないのだが、何年掛かる事やら』
彼にとっては只の保管庫替わりなのであろうがこの青年には即死レベルの迷宮である。
翌朝、納屋から引っ張り出されたジョーはゴールディが放った何か良く判らない魔術の恩恵により、村で労働力として働く事と引き換えに食事を与えられる事となった。
ただ村長はジョーを静かに抱き上げて客間のベッドに即座に運んで行った。
働く以前に不健康そのものな骨と皮しかない栄養失調な身体を心配されたのだ。
少し回復してHPは3、ハッキリ言って死に掛けていた。
流線形のアーチ型に組まれた石造りの橋を渡り、村唯一の飯屋を教えられ、村の何所に何があり、新規の畑を何処に造るかを教えられて二日目は終わった。
これ以上は身体に良くないとの判断であった。
体重三十六キロの成人男子である、こんなモヤシに畑など耕せるものではない。
裸一貫で無一文のスケルトンに皮を張った様なもの、それがジョーと言う男を表す全てである。
「情けねぇ。」
『そう思うなら先ずは食うんだな』
村唯一の飯屋で食材や調味料にどんなものがあるかと根掘り葉掘り聞きながら、電池が切れた様に眠り、夕方に目覚めて食事を摂り持ちまわりで宿泊させて貰える家を一軒一軒渡り歩く。
コミュニケーションを無理矢理取れるローテーションを組まれ、嫌々であっても泊めなくてはならないと言う相手の気持ちも察して何としてでも村に溶け込む姿勢を崩さずにいなくてはならない。
これは試験のようなものなのだ、逃げ出すくらいなら生きる事を放棄したほうがまだ潔い。
人名:ジョウジ・カケイ(掛井譲治)
ネーム:ジョー、ジョウジ
属性:空・植物
弱点:火・熱
レベル:2/99
基礎能力(才能限界)
力 E-(C)
知識 E-(C)
敏捷 E-(C)
知恵 E-(C)
健康 D-(C)
信仰心 E-(C)
運 E-(C)
HP4/7
MP8/10
備考:村の居候
聖人見習い
寝る前にステータスを見ると、病み上がりが取れて村の居候と聖人見習いと言う良く判らないものがついていた。
『驚いた、君は聖人見習いだったのだな』
その声のトーンは実に嬉しそうなものだった。
「もしかしなくても嫌な予感しかしないのですが。」
『大丈夫、死にはしないさ』
申し訳ないが、既に生きた心地がしなかった。
セーブポイントの能力とか持ってませんよねゴールディさん。




