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覗くもの

作者: カピバラ2号



ヒンヤリとした空気に目が覚めた。まだ部屋の中は真っ暗で、付けっ放しのテレビだけが、同じ空間で眠る姉の身体をボンヤリと映し出していた。


──寒い。とにかく寒い。あまりの気温の低さに、一気に目が冴えた。今は何時?


アラームをかけてあるため、いつも枕元に置いてあるスマホを探る。見つかりにくいと思ったら、枕の下に入り込んでいた。微妙な温もりを宿している。なんだか気持ち悪い。


ホームボタンを押すと表示された現在時刻は、午前3時18分。丑三つ時、なんて言葉を思い出した。小学生の低学年の時に聞いたのに、未だに忘れられないのは自分が小心者だからだろう。その癖、怖い話をネットで見たりするのだから救えない。


スマホの電源を落として再び枕元に戻す。

目が完全に覚めちゃったなぁ。


自分は、ソファの真横に布団を敷いて寝る。少し前はソファで寝ていたけど、そこは今は姉の寝床と化してしまった。そしてうちのソファは、少し足が長めで、床と本体の間に8センチ程の隙間がある。その隙間に、小物や本がよく入り込んでしまうから、掃除の時取り出すのに辟易している。


─────不意に、その隙間を覗き込んでしまった。何か見えるかも、なんて思った訳でも無く、本当に自然に。


そして、後悔した。同時に固まった。

紫色の“何か”が居たのだ。いや、何かなんて曖昧なものでは無い。明らかに人の顔。それもかなり近くに。


心臓が高鳴った。息が出来ない。

ナニコレ、ナンデコンナ?

思考も纏まらず、ただ、影のあるその顔を見つめるしか無かった。場面が切り替わる度に部屋の色を仄かに変えるテレビの光が、一層不気味だった。




5秒。なんとなく目が闇に慣れて、気が付いた。今だに存在し続ける顔の正体に。

その普通の人間の顔ではあり得ない色彩は、見覚えがある。と言うか、この物体自体に見覚えがある。


自分はそれを引っ張りだした。

思いっきりクッションだった。

ソファを買った時付いて来たヤツだ。

「紫芋みたいじゃねwww」とか笑ったヤツだ。間違いない。このクッションがソファの下に入って、絶妙なシワが出来て、それがまた絶妙な光のせいで顔に見えていたのだ。


急に恥ずかしくなって、そのクッションを抱きしめて二度寝した。

2日前程に体験した実話です。

ガチで怖かった。同じ事あった人とかいるか分かりませんが、本当ビビる。


寿命が2、3時間縮んだかもしれん。

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