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「見苦しい所を見せた。すまん」
「ごめん...」
あれから一夜明け、鈴斗とソフィリアはアルミリスに魔物等の処理を任せたことと、その原因についての謝罪をしていた。
「全くだ。Sランクの魔物がいなかったから良かったが、いたらどうなっていたことか」
「...Sランク?」
鈴斗は初めて聞く魔物のランクに疑問をもった。
「それは、Aランクとかもいるってことか?」
「あぁ。弱い順に、EからAランク。そして、Sランクがいる。伝説上はSS、SSSランクもいるらしいが、戦うことはないだろう。この辺りにはいないらしいからな」
「...そうか。.......ソフィこの世界に英単語なんてあったのか?」
「あるみたいだね。鈴斗君より前にこの世界に来た人がいるのか、この世界でも同じような思考に至った人がいるのか...詳しくはわからないけどね」
さりげなく愛称で呼ぶ鈴斗に、少し赤くなりながらも的確に答えているソフィリア。その様子を見て、またアルミリスは辟易する。
「はぁ...おい。港町が見えたぞ」
「ん?おぉ、町だ。この世界初めての」
「結構繁栄してるんだねぇ...」
「人族の軍を上陸させないために大勢いるだけだ。...いや、お前たちのそれは町のことか?」
「そう言ってるだろ?」
「お前達は何者なんだ...」
離れてはいるが、立っている場所が少し高いので、町の様子がわかる。
海と接しており、海には何隻もの船がある。建物も多く、町と言うよりは都市といった雰囲気がある。
「このまま入ると、お前達はすぐに捕まる。私の仲間がいるから、そこへ行こう」
そう言うと、アルミリスは町の右側の方へ歩いていく。
「さて、何があるかわからない。離れるなよ?」
「鈴斗君がやられちゃったら意味ないよ?」
「うるさい。やられないさ、多分」
頼り無さそうな言葉に苦笑いしつつも、ソフィリアは鈴斗の服を少しだけ掴んでアルミリスを追いかけて行った。
ーーーーーーー
あれから鈴斗達は、何事もなく大陸を渡り終えていた。
今は、上陸場所での戦闘の混乱に乗じて人族側の港町へ来ていた。
「さて、これから、ここの町のシャウストという者を訪ねる」
「シャウスト....魔族か?」
「いや、人族だ。種族に関係無く、自らが面白くなると感じた行動を取る変わり者だ。人族の軍を壊滅手前に追い込んだこともある」
「それはまた結構な変わり者だね?」
話を聞きながら裏路地を進んでいると、古びた家に着く。
アルミリスが扉を開けようとすると、まるで狙っていたかのように扉が開き、アルミリスの手は空気を掴んだ。
「やはり、趣味が悪い」
「そういうお主は、まだまだ甘いのぅ」
家から出てきたのは、鈴斗もよく知る人物だった。