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魔族を撃破した鈴斗は生きてはいた。だが、『流血凶化』の反動で気を失い倒れてしまった。アルミリスは鈴斗を背負い、女神と人間の大陸を目指していた。
「うぅ...」
「......」
「ぐす...私のせいだ......」
「......」
「鈴斗君...ごめん.....」
「ああぁ!!!もう!いつまでめそめそしている!もう7時間だぞ7時間!もう夜になる!」
あの戦闘から二時間ほど経過した時は、泣き止んだのだが、鈴斗が目を覚まさない事でまた涙を浮かべ始めたのだ。
しかも夜になる時間。魔族は夜に活動する者が多く、これからがもっとも注意すべき時間なのだ。そんな中で、一人は倒れ、また一人は泣いており戦力外しかも自分はなにがなんでも顔をバレる訳にはいかない。はっきり言って詰んでいる。
「大丈夫だ。問題ない」
その時、背中の重みが消えた。
鈴斗があの戦闘での怪我はなかったかのように平然と立っていた。
「....え?な、なぜだ?傷はーーー」
「鈴斗くーん!!!」
アルミリスの言葉を無視し女神が鈴斗へ抱き付く。
「良かった...良かったよぉ......!」
「...全く。約束を守らずに死ぬわけないだろ?」
鈴斗は、その女神の頭を撫でながらそう告げる。
「...じゃあ、今決めて」
「ああ。庇った時に浮かんだが...ソフィリア、はどうだ?」
「うん!...でも、何でそれなの?」
「....なんでかな。あの時は、これだ。と思ったのは覚えてるんだがな。...すまん」
「...ううん、いいよ。気になっただけだし」
「でも......」
少し残念がりつつも、嬉しそうに鈴斗の胸に顔を埋めている。
だが、そのソフィリアの顔を動かし、目を見つめる。
「ソフィリア。勝手に俺の前からいなくなることは許さないからな」
「鈴斗...くん?」
「俺はソフィリアを守ってやる。だから、ソフィリアも俺と一緒にいろ」
「っ......それは、告白かな?」
「そう受け取ってもらって構わない」
「私は、女神だよ?」
「そんな事は関係ない。女神だろうと人であろうと問題にはならない」
「.......全く。出会って数日なのに、どうしてこうなっちゃったのかな」
「知らん。だが....あの魔族にやられそうになってたソフィリアを見て、このままじゃ駄目だって、で、前に出たときわかった」
「..........」
「ソフィリアのことが、好きだ」
見つめ会う二人の顔がそっと近付いて......
「はぁ...何なんだ。二人の世界に入って。その間の厄介払いは私なんだぞ......」
アルミリスは襲い掛かってくる魔物を狩っていた。