普通の町で見つけた異常な友達
もうすぐ夏休みに入る。子供たちみんな夏休みになにをするのかを言い合っている。
変わらない光景、その中に一人髪は黒色腰ぐらいまでの高さで美人かと聞かれると10人に9人は美人と答えるほどの美人な本を読んでいる君崎三月だけは浮かばない顔をしていた。
何を隠そう彼女は夏休み一人で過ごさなければならないのだ。
理由は両親が海外から帰れないと昨夜電話があったからだ。
そんな三月に一人の女の子が話しかけてきた。
茶色のポニーテールで、でるところがそれなりにでている女の子名前は五十嵐舞
「三月はいいねぇ~夏休み一人で過ごせて」
といつものように嫌味交じりに友達の少ない三月に話しかけてくる。
「舞、そんなに一人がいいならスマホを壊して無人島にでもいきなさい」
顔も声のトーンも変えず、舞の顔すら見ずに返す
「相変わらず冷たいねぇ~せっかくの美人が台無しだね」
そう三月はこの美島高校の中でも上位一桁に入るほどの美人なのだ。
「だから?美人だからと言って友達が増えるわけじゃないわ。」
何を隠そう三月は友達が少ないのがコンプレックスなのだ。
「いやいや、寄ってくるでしょ、グループの平均顔を上げるために」
と三月の自虐ネタに突っ込まず返してきた。
「それを舞は友達というの?」
「いや…まぁ…あはは…あ!先生来たね。それじゃ席戻るね~」
ちょうど来た先生を口実に舞は自分の席に戻った。
三月はいつも舞との会話の後に思うどうして私にかまうのかと…
放課後、部活に入ってない三月はいつも色々な場所に行きながら家に帰る。
いつもながら周りを見ながら歩いていると山の中にある石段が気になった。
まだ日も浅いし、行って見ようと決心した。
山とはいえ舗装されているので割と楽に石段までつくことが出来た。
石段の先はどうやら神社らしい。山の中はそれなりに暗いが太陽はまだ沈んでいなかったのでとりあえず三月はお参りすることにした。
少し高めの階段を上っていると、左側から視線がした気がした。
向いてみると暗くてよく分からないが、太陽の光で少し白いものが反射しているのが見える。
三月は人かなと思いはしたが上から下まで白ぽく見えるしかし少し赤が混ざっている。その白と赤に吸い寄せられるように草木が生い茂るところに足をふみいれた。
近づくにつれはっきりと見えるようになってきた。
上から下まで犬のような形をしている。耳はあり、口は前に出ていて、尻尾もしっかりついている。
人じゃなくて良かったとほっとした三月は近づこうとした。だが近づくことが出来なくなった。
それはさっきまで犬のような形をしていた白と赤のものは、白と赤の部分が肌色になり、例えると人としか言えない状態になったが一部は白のままだった。
三月は驚き声をあげそうになったが気づかれると殺されるのではと思い必死でこらえた。
そのまま足音を立てず下がろうとしたが、なにが原因でばれたのか分からないが犬なのか人なのか分からない物に
「おい、そこにいるやつ出てこい」
と三月のいる方向を見つめながら言ってきた。
三月はこの場から必死で逃げる方法を考えた。
犬か人か分からない奴は三月の隠れている茂みを睨みながら歩いてきた。
三月はここで私の人生は終わりね…そう思いながら奴が来るのを待った。
三月が諦めたのを感じ取ったのか奴は
「諦めたのなら早く出てこい」
そうって歩みをやめた。
仕方なく三月は茂みからでることにした。
「あなたが出てこいと言ったから出てきてあげたわ」
と先手を打たれる前に話かけると同時に奴の姿を見た。人だった。どこからどう見ようと人だった。白髪が地面につきそうなくらい長く目つきが鋭い男の子だった。
「まさか本当に出てくるなんてな、お前面白いな」
苦笑いしながら奴は言った。
「面白い?そんなことどうでもいいわ、覚悟なら出来てる。早く殺して」
三月は時間を稼ぐのをやめた。
「別に殺さねぇよ、そんなことして俺に何のメリットがある?まさかとは思うがお前友達いないだろ友達どころか親にみはなされているな?」
図星だった、どうして分かったのか考えるほどに、
「まぁ俺もいないけどな、ほしいとも思わないし」
やつがいきなりそんなことを言ったからか分からないが、三月は
「私もいない」
そう答えてしまった。
「やっぱりか、そんな感じはしてたからな、まぁ、なんだ、諦めんなよ」
「あなたにそんなこと言われても困るわ」
「いや、真顔でそんなこといわれてもな…」
「そんなことはどうでもいいわ、結局のところ私は死ぬの?死なないの?」
「死なねぇよ」
「そう、ならあなたのこと聞いていい?」
「なんでだ?」
「友達になれそうだから」