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宝物



「ハーイ、Good morning 風太郎」


 爽やかな朝、理解出来ない朝の挨拶。それから決め手は顔の濃い知り合いの将軍様。爽やかさはどこかへ消え去り、ただ残るのは不気味な笑み。瞬きを繰り返し景色を何度入れ替えても、そこにあるのはピエール徳川七世の御尊顔。


 風太郎は昨日の酒がまだ残っていないことを心の底から恨んだ。もし二日酔いなら、嫌でも将軍の顔がぼやけて視えるからだ。


 しかし違う、彼の体内は酒の成分を尽く分解してしまったのだ。今すぐ酒を浴びるように飲みたい衝動に襲われたが、それは出来ない。なにせ今日はやる事があるのだ。


「帰れ」


 だから彼は素直な気持ちでそう言った。帰ってほしい、出来れば江戸にまで戻るか母親のお腹の中まで戻って欲しい。


「モウ冷たいナア……」


 だけどピエールは戻らない、その場で悪態をつくだけだ。どれだけ経っても消えないピエールの濃い顔を眺めて風太郎は舌打ちした。もちろん気分は良くならないが。


「怪我人にお前の顔は薬にならんよ」


 それからおまけに悪態をつく。不敬罪と取られかねない言葉だが、ピエールは怒りさえしなかった。


「エッ、怪我してるノ?」


 彼が感じたのは驚愕だった。何の気無しに呟いた言葉は、彼が知りえない事実を物語っていた。


「よく言うよ、あいつもお前が手配したんだろう?」


 風太郎の質問にピエールは答えない。知っているから、自分が言い始めた事だから答えられないのだ。


「……怒ってル?」


 妙に神妙なピエールの顔に、流石の風太郎も言葉を選んだ。罪や国への忠義など無い、素直な個人として彼はそうした。


「別に? まあ、将軍としてあんたは正しいよ」


 彼は起き上がりながら、ついでに得意の欠伸も欠かさずピエールに言った。それで神妙だった顔つきが少しだけ緩んでくれた。


「ネ、ネェ風太郎」


 震える声でピエールが言う。風太郎は黙って頭を掻きながら、言葉の続きを待つ。


「皆で江戸に帰らナイ? ソノ……ウン、あれの、刀の事は……もう、いいカラ」


 言葉の真意を、風太郎は理解していた。ピエールは優先したのだ、国を上げて探している宝より、風太郎個人の命を。


「リッカの神社を直して……それで皆でお祭りしようヨ。ホラ、将軍だからお祭りナンテ行ったこと無くテネ」


 それを彼は、楽しそうだと思えた。命の危険はどこかへ消え、どこにでもある幸せがそこにある。たまには甘い飴でも舐めて、帰りに当たらない御籤を引こう。それから流行りの遊びに興じて、朝起きたら金魚鉢を買おう。


 それでいい、そんな時間も悪くない。


「ああ、それはいい考えだ」

「本当!? ダッタラ今すぐデモ」


 ただ、それを心の底から幸せだと感じるためには足りないものがある。それはもう、風太郎の手の届く場所にあった。


「だけど、それは宝を見つけてからだ」


 探さずにはいられない、幸せなんて甘い言葉はここにない。その場所を知っているのだ、どこかで見つけてしまったのだ。


「危ないヨ? 死ぬかもしれないんだヨ?」


 ピエールの心配を余所に風太郎は笑って見せる。


「そうでなければ意味が無いさ」


 それは命を掛けるには、十分すぎるほど軽かった。






 朝食も取らずに庭に出れば、そこでは他の面々が楽しそうに遊んでいた。平凡ながらも睦まじいその光景を彼は楽しそうだとは思えたが、混ざりたいとは思わない。心の中で引いた線は、いつか消える日が来るのだろうか。それは随分と楽しそうで、少しだけ怖かった。いつか変わる日に想える事など、彼にはその程度だった。


「よっ……ほっ……」

「わあ、ルナ様お上手ですね!」


 竹馬で遊ぶルナが転ばないよう小春が支える。


「だけど、怪我には気をつけてくださいね?」


 縁側に腰をかけて、立花が笑顔でそんな言葉を口にする。女三人寄れば姦しいなどと言うが、彼女達は少し違った。どこか調和が取れていて、ただ穏やかな時間があった。


「あら、ようやく起きたんですか」


 風太郎の姿に気づいた立花が、笑顔でそんな事を言う。寝坊と晩酌を責められている気がして、彼は居心地が悪かった。


「……よお、おはよう」


 だから得意の欠伸で誤魔化しながら、彼はのんびりとした挨拶をする。


「お、風太郎やっと起きたか……全く幸せなやつじゃな、叔父上に起こしてもらえるなどこの国一番の幸せ者じゃぞ?」

「ソウなんだヨ? 幸せナンだヨ?」


 徳川二人は恩着せがましい言葉を平気で投げてくるが、今の風太郎に恩を感じる余裕などない。それどころかこの二人を怒鳴りちらし日が落ちるまで説教してやりたい気分だった。起き抜けにおっさんの顔を見て誰が喜ぶのか、と。


「美女の方が良かったかな」


 もちろんそれは叶わないから、せめてもの願望を口にする。しかし彼に味方するものなどこの場にいない、この世のどこかにいるのだろうか。


「風太郎さんを起こしてくれる美女なんて、この国にはいませんよ」

「確かに、蓼食う虫も好き好きと言いますが限度がありますもんね」


 立花は口を曲げて皮肉を言い、小春はいらない説明をつけ加える。


「どういう意味だよ」

「聞きたいですか?」


 満面の笑みで返されたその言葉に、風太郎が不安を感じないはずもなく。


「……いや、いい」


 結局言葉の続きは風の中に消えてもらう事にした。


「ほれほれ二人とも、折角天気が良いのだから遊ぼうではないか!」

「フフッ、こう見えても拙者ったら竹馬のグランドチャンピオンなんだヨ?」


 ほんの少しだけ楽しそうだと思った風太郎だったが、冷静になって思い直した。彼がやるべき事はもう分かっている、あの刀を探すのだ。


「悪いなルナ、遊びたいのは山々なんだが……その前に、軽く仕事をこなしてくるよ」


 軽い仕事だと、風太郎は鼻で笑う。手の届く場所にそれがあるなら、それは簡単だと彼は思えた。ここまでたどり着いた時間を無下にはできない大事な仕事、だけどそれ以上に軽い仕事だ。


「ええ、ですから将軍様と小春さんに遊んでもらって下さい」


 彼の様子を察してか、立花もその場から立ち上がる。仕事をするのは彼女も一緒で、それは旅に出た時から決まっていた。一心同体は言い過ぎだが、二人はその言葉にひどく似ている。


「……風太郎も一緒に遊ぼウ?」

「これ叔父上、少しは気を使わんか!」


 未練がましくも呟くピエールをにやけ顔のルナが止める。男女二人がどこかへ行こうというのだ、それを止められる女は横恋慕でもない限り存在しないのだ。


「ナンデ?」

「後で私が説明しますよ」


 小春も笑顔を浮かべながら、いらない説明をしてくれるらしい。


「そういう訳だ……小春、留守は任せても良いか?」

「ええ、どうぞごゆっくり」

「出来れば早く終わらせたいですけどね」


 笑顔で手を振る小春とルナに、立花が相変わらずの皮肉を呟く。


「じゃあな、行ってくるよ」


 どこか満足そうな顔で、風太郎が軽く手を振り歩いて行く。その姿は力強く、どこか儚げな物に見えた。それは、山の間を縫っては進む風の如く。






 立花の指差す道筋を、風太郎は黙って歩く。会話はない、必要ない。同じ道を歩いていても、望んだ物は別の物。得るものが違っても、目指す場所に変わりはない。だから互いをねぎらう言葉は二人にとって邪魔なだけだ。十分すぎるほどの信頼が、今はここにあるのだから。


「……良かったんですか?」


 だから立花の言葉は、決して風太郎を心配した訳ではない。


「何がだ?」

「皆さんを置いてきてしまって」


 その質問を、風太郎が鼻で笑う。旅の途中で増えた荷物に未練らしい物はない。


「元から、あいつらはこの旅に必要なかったのさ」

「普通、そういう言い方しますか?」


 ぶっきらぼうな彼の言葉に、立花は呆れてため息をつく。冷たくも見える言葉の真意を、彼女はしっかりと見抜いていたのだ。


「ああそうでした、そういう言い方しか出来ないんでしたね」

「そういう事にしておいてくれ」


 気恥ずかしくなった風太郎が、頭を掻いてそんな事を言う。心配だとか、巻き込みたくないとか。そんな言葉を彼が言う訳にいかないのだ。


「ところで、私の事は心配してくれないんですか?」


 またいつものように口を曲げて、立花もそんな事を言う。


「……心配? いやいやまったく、何の事だかさっぱりわからないな」


 もちろん風太郎は素直に答えない。先程彼女が言ったように、こういう言い方しか出来ないのだ。


「またそうやって意地を張る」

「そうしないと死ぬんだよ」


 皮肉を言えば、すぐにふざけた言葉が帰ってくる。江戸を出た時から変わらない、二人の会話は続いている。


「もっと素直になれないんですか?」

「守ってくれと泣きつくなら、そうしてやらん事もないが」


 そう言うと、立花は笑った。幸せそうに、女性らしくいい笑顔で。


「そんな台詞、死んでも言いませんから」


 だから、風太郎も笑った。理由はない、それでいい。ただ彼は楽しかった。


「知ってるよ、それぐらい」


 そう呟いて、二人は立ち止まった。

 目の前にあるのは、山道に出来た薄暗い洞窟。その先に光は見えず、鳥の声はそこに消え入る。互いの目にどう映るだろうと思案しても、答えは出てこない。


「……この先か」

「ええ、そうですね」


 それでも、やるべき事は決まっている。


「さて、行きますか」


 風太郎はまた笑って、一歩前へと歩き出した。






 蛇の道は蛇というならば、風太郎は鬼であった。かの者がいるこの道は、鬼でなければ通れない。彼は目的を果たすため、実の家族さえ捨て去った。ならば風太郎も、何かを捨ててここにいるのだ。


 一人の男がいた。侍の家に生まれ、別の生き方をふらふら歩く。武器と多すぎる小道具で、道無き道を彼は行く。


 一人の男がいた。神職の家に生まれ、侍という生き方を突き進む。必要なだけの武器を持ち、修羅の道を彼は行く。


 接点は無い。友であった可能性も、家族であったそれも無い。

 違う道を歩いていた。命を捨てて得ようとしたのは、そもそも別の物だった。




 だが、出会った。




 旅は彼らを引き合わせ、神はいらぬ世話を焼いた。同じものを得ようとして、違うものを彼らは望んだ。そしてそれはこの世に一つ、彼らにとっても唯一つ。ならば互いの武器を抜き、命削るが世の定め。


 それが彼らの答えなのだ。変えることも、曲げることも許されぬ。




 信念とは、そういう物だった。




「驚いたな、律儀に待ってくれてるとは」


 洞窟の壁に背を預け、男はそこに待っていた。ただ早さで勝っただけで男は納得しないだろう。


「一つ、お前に聞きそびれた事がある」


 男は立ち上がり、武器を構える。心の準備は終わっていた。


「お前は、どうしてここにいる?」


 風太郎は刀を抜き、それを脇に構えて笑った。


「愚問だな」


 睨み合う二人の男を、二人の女が黙って見守る。立花も、彩音さえも知っていた。この場に女の居場所など、どこを探しても見当たらないのを。


「俺が、俺として生きる為」


 刀を、強く握る。踏み込みは深く、地を削り。


「ここにいるんだ、いつだってな」


 そして時は、動き始めた。






 相手の動きを見てから、自分の動きを決定する。そんな悠長な事をする者はこの世にいない、等しく誰かに斬られている。


 風太郎は知っていた、初手で突きが飛んでくる事を。横薙ぎは有り得ない、狭すぎる洞穴に長すぎる薙刀という武器。確かにその長い得物を振り回せば、相手の意表を突けるのかも知れない。だがそれだけ、致命傷は与えられず自身が反撃される危険を孕んでいる。


 だから風太郎がするべき事は、単純にして明快、言葉にしても一行に満たぬ。


 躱して、斬る。


 ただそれが出来る事を、世の者たちはどれほど願ったか。しかし叶わぬ、彼らは出来ぬ。


 そして風に消えたのだ。


 だが、出来る。


 握りしめた刀が、彼が歩いた道の全てが。

 それをやれと五月蝿くせがんだ。




 男は、飛鳥は理解した。鈍色に輝く剣の先が、真っ直ぐ天を狙っていると。それは風太郎の構えからして明白、反撃に特化したそれが知らせる。疑う余地のない、ただ真っ直ぐな太刀筋が、今は恐い。


 恐怖はある。勘違いと慢心に溺れるほど、彼は間抜けではない。一瞬先に死が待つ彼らに、恐怖という感情は必要だった。間違えれば死ぬ、全てが終わる。


 だから、退かぬ。


 前へ、貫く。


 よく馴染んだこの体に、疑う余地はない。修練を積み続けた日々を、迷うことはない。


 だから、退けぬ。


 落ちた太陽を引き上げる事など、人には叶わぬ夢物語。退路は無い、逃げる事など許されぬ。


 突き進む。


 それだけが、彼に許された全てだった。






 その一瞬は、女の目には映らなかった。どちらが先に動いたのか、何が目の前で起こったのか。ただ後に残った結果だけが、彼女らは理解できた。


 男は違った。一瞬という取るに足らないその時間に、幾つもの生と死が同居していた。


 初めに動いたのは、やはり飛鳥であった。迷い無く、躊躇わずにその薙刀を風太郎の顔を目がけて突き出した。




 死。




 その一文字が、彼の脳裏を埋め尽くす。走馬灯に映るのは、過ぎた日々の幸せか。それともどこかの女と歩いた、当てのない旅の記憶か。


 彼は、何一つ思い出さなかった。誰かが言った三途の川など、気が来るっても見えやしない。


 彼はやはり、人ではならぬ鬼であった。常識も平凡な幸せも捨てた、やり直したい昨日も無い。そんな人間はいないのだ。


 前を見た。


 刻一刻と迫る、銀の光を放つ薙刀。その刃先だけを彼は見た。

早すぎても、遅すぎても結果は変わらぬ。遅ければただ脳天を貫かれ、早すぎればその軌道が変えられる。


 まだだ。


 目の前にあるのは死そのもの、それでも彼は動けない。

 ただの一瞬が長く思える、無限に続くと錯覚さえする。やがてそれは苦痛を産み、逃げ出したいと願ってしまう。だが耐える、耐え続ける。やがてくるその時を、虎視眈々と待ち続ける。


 まだ。


 ただ待つのみ。目に見えぬ殺気も、確実に近づく死も、彼の体を動かさない。

 来るのだ、それは。だから待つ、それだけだ。発狂するほど耐え難くとも、彼はそれをやるしかない。


 まだか? まだだ。

 いつだ? いつかだ。


 繰り返す、何度も。


 その先に何があるのか。

 知らぬ、誰も知りはしない。


 結果だけを見ることなど、この世の誰が出来ようか。

 それでも、それは。




 今。




 刀を握る指先を、小指から順に力を込める。右手は強く、左手は軽く余裕を持たせ。動くのは足、ほんの少しだけつま先を撚る。そこから伝わる力は、上へ上へと彼を押し上げ。


 突き出された刃が、風太郎の髪を掠める。伴う風は圧を持ち、彼の皮膚を確かに切り裂く。


 上出来だと、彼は笑う。満点には程遠いが、及第点には届いている。完璧に躱せないのなら、飛鳥の腕は切り落とせぬ。


 だが、それでいいと彼は笑った。男の腕などいらぬのだ。

 欲しい物は初めから、ただ一つだけそこにあった。


 肩が、腕が、手が。体の全てが一体となり、握る刀を上へと動かす。その刃が捉えるは、飛鳥が突き出すその薙刀。その長い柄が、まるで別の物だったよう。


 二つに別れ、宙を舞った。






「……殺せ」


 続いた静寂を破ったのは、冷たい飛鳥の声だった。勝負は決し、結果はそこに。飛鳥の抵抗など、もはや刀を持った風太郎には無力だった。それを二人は知っていた、だから彼はそう言った。


 生き恥を曝すなど、男の全てが許さなかった。


「そう言えば、自己紹介がまだだったな」


 だが、風太郎はそれを許した。


「知っているだろうが……俺の名前は日暮風太郎」


 いや、どこかの神が如くその罪を許した訳ではない。ただ干渉しない、生き方が違うだけだ。侍などという面倒な生き方を風太郎は選ばなかった。


「だけどこいつは知らないだろう?」


 刀を仕舞い、自慢気な顔で彼は言うのだ。己がその、生き方を。


「とれじゃーはんたー、って仕事をしている。悪いが、お前の道理を押し付けないでくれ」


 その言葉に、飛鳥は目を丸くした。ただ知らなかったのだ、そんな事は。


「……なんだ、それは」

「宝探しを生業にする、俺みたいな馬鹿の事さ」

「そうか、馬鹿か」

「ああ、大馬鹿だよ」


 その言葉は、飛鳥の何かを壊すには十分すぎた。彼は負けた。命を賭して、全てを捨てた。だというのに、彼を負かしたのは手の付けられない大馬鹿野郎だ。だから彼はそれ以上に手の付けられない馬鹿なのだ。


「彩音、帰るぞ」


 男は笑って、女に言った。全てを捨て彼は進み、目的はついに果たされず。


「……はい」


 それでも女は笑っていた。彼と自分がただ生きて、初めからそれで良かったのだ。彼がまだそこにいて、笑わぬ理由はどこにもない。


「まあ任せておけ、天の叢雲は俺が見つけてやる」


 去りゆく背中に風太郎は軽口を叩く。向かう先は違えたが、またどこかで会える気がした。


「相変わらず、口の減らない男だ」


 男は振り向かず、立ち止まる。風太郎が進む道に、もう未練は無い。ただ彼の横、側に立つ彼女に少しだけ用事があった。


「立花」


 彼女の名前を、優しく呼ぶ。その瞬間、飛鳥はいくつもの言葉を思い出した。その中の多くの言葉が消えて、残った言葉はただ二つ。すまなかった、それからありがとう。


「……はい」


 その言葉を、彼が言う日は必ず来ない。その理由を話しても、理解できるのは風太郎だけだろう。彼は、彼らは男だった。それ以上の理由はない。


「大きくなったな」


 だから、一言だけ彼は言った。

 意味はあった。多くの意味が、二人を隔てた何年という長い時間が、過ごしていた別の時間がそこにあるのに。


 立花は何も言わず、ただ嬉しそうに頷いた。彼女も、それで十分だった。

 小さくなる背中を、立花はただ眺めていた。風太郎もしばらくそれを眺めていたが、途中で飽きて彼女の横顔を覗き込んだ。その方が、彼には余程面白かったのだ。


「さて、俺達も行こうか」


 立花の背中を軽く叩き、風太郎はそう言った。彼女がまともな反応を取るまでに、少し時間がかかっていた。


「そ、そうですね」


 思い出したように取り繕う立花と、意地悪そうに笑う風太郎。


「……照れてるな」


 歩きながら、彼は言う。


「照れてません」


 追いかけながら、彼女はまた意地を張る。


「兄妹なんだろ? いいだろ照れたって」


 彼が彼女に、彼女が彼に。気の利いた台詞を言えるのは、果たしていつになるだろうか。


「だから、照れてませんってば」


 少なくとも、まだ時間は必要だろう。ほんの少し、彼らが向かうその先の、光の下に着くまでは。






 そこは、ただ美しかった。風が、花が、鳥が、月が。柔らかな風は凛々しく咲いた花を揺らし、つがいの鳥がまだ青白い月を背に飛ぶ。日は落ちず、まだ暮れずにそこにあり。言葉に出来ない色の光が、その全てを照らしている。

 終着点は、ここだった。


 伝説の剣の偽物にしてはいい場所に寝ているじゃないかと風太郎は素直に思えた。山と山に挟まれ、日当たりがいいのだろう白い花が生い茂るそこは、それほど広い場所ではない。


「それで、この場所のどこにあるんだ?」


 どこを見ても飽きそうにない世界を見回しながら、風太郎が笑って言う。それを立花が知る筈もなく。


「少なくとも、この景色のどこかには」


 彼女も笑ってそう答える。それはそうだろうと風太郎は思うが、それを言葉にしなかった。


 二人はただ、その場所で立っていた。彼は願った、この場所に眠るその宝が姿を表すこの時を。彼女は願った、この景色と流れる時間が、いつまでも続く事を。


「また、漠然とした話だな」


 だから風太郎が少し折れた。話をぼかし、少しの間は彼女の横にいることを選んだ。


 だが、時間は止まらず進んでいた。彼と彼女が立つその場所に、彼がたどり着くには十分すぎる時間が経った。




 そして男はそこにいる。刀を携え、立っていた。その体を動かすのは、唯ひとつ忠義の二文字。その為にあらゆる手段を尽くしてきた。




 日暮流太郎だけが、風太郎の問に答えられた。




「なら、私が答えを教えようか」


 彼は、全てを知っていた。


「……どうして」


 その声に振り返った風太郎は、途切れた言葉を繋ぎ合わせて漸く言葉らしい言葉を吐いた。似合わなかったのだ、この景色に兄の姿は。


 ただ、流太郎は違ったのだ。この場所は、彼が来るべき場所だった。目的を果たすため、必要な事だった。それを誰かに理解して貰おうなど、都合の良い事は端から放棄している。


「二人には話していなかったかな」


 だから彼は、わざとらしくそう言った。これではまるで芝居だと自嘲もしたが、それでも止めなかった。自分の意志など、彼には必要ないのだ。


「何の事だ」


 自分の弟が怒っている事ぐらい、彼にはすぐに察しがついた。身内の事など、誰だって手に取るように解るのだ。それでも彼は、憎まれようとさえ思っていた。


「風太郎、私はお前に二つ嘘をついた」


 まず、彼は立花を顎で指した。感情移入などしない、二人がこのままいることを、もう望んだりはしない。変わった訳ではない、ただ戻っただけだ。かつて立っていたその場所に。


「一つは、そこにいる彼女についてだ。宝物を探す力など、あるわけ無いだろう?」

「……どういう事だよ」


 まず彼は、適当な女を見繕った。そこら中にいる、自分が一番不幸だと思い込んだ女を二人。駒にするのはこういうものだと、彼は知識で理解していた。

それが立花と彩音だった。


 ただ一つ見込み違いだったのは、その女の一人が決して折れぬ意地があった事だろうか。ただその事で今の彼は悩まない。旅の目的は果たせたのだから。


「この旅の道筋は、始めから決まっていたのさ。もっともその目的を教えはしなかったが」


 次に彼は、必要な道順を選んだ。効率よく、必要な場所を多く回れるそんな道を。もっともこの終着点だけはどこになるのか解らなかったが、それでも彼女に聞けば簡単な事だった。


 今しがた、すれ違った彩音に聞けばそれで良かった。


「目的だと?」


 風太郎は、兄を睨んだ。ただ、自分が歩いたこの道が歩かされていたのかと我慢ならなかった。


「二つ目。お前が血眼になって探した天の叢雲の模造品だが」


 それでも、流太郎は言葉を続ける。心は痛まぬ、そんな物はもう無いのだから。




「そんな物は、この世に無い」




 彼は言った。自分でも、悪役が板についたと彼は思った。それでも止めない、進むだけだ。初めから解っていたはずだ、恨まれることも裏切ることも。だから心は痛まない。もうないと、言い張ったそれはどこにもない。


 そうだと彼は、信じていた。


「何だよ、それ」


 風太郎は絶望した。更地になった感情で最初に湧いたのは、希望では無かった。ただ、憎悪だった。


「お前達は、そのまま来た道を戻れ。安心しろ……報酬はしっかり払うさ」


 流太郎は刀を抜いた。知っていた、弟が斬りかかってくる事は予想できた。だからその刃を受け止める為そうしたのだ。事実、それは必要だった。刃が削れ、音を立てる。夢を奪われた醜い獣が、今その牙を立てたのだ。


「……話はまだ終っていない」


 目は血走り、呼吸は荒い。共にその腕を競い合った兄弟はもういないのだと流太郎は知った。自分が、殺した。


「答えろ! 何の為だ何をさせた!」


 付け入る隙は山ほどあった。只の力に伏せられるほど、剣の腕は悪くない。流太郎は躊躇せず、風太郎の体を蹴り飛ばす。


 その夢を自分が奪い、抜け殻が勇み剣を振るう。ならば、それを止めるのが兄の役目だと彼は知った。その目に、優しさはもう無かった。


「風太郎さん!」


 倒れた風太郎に、立花が優しく駆け寄る。差し伸べられたその手を、風太郎が乱暴に払う。


「知りたいか?」


 問う。そこに何があるのかを。


「ああ」


 立ち上がり、答える。そこに何があるかなど、彼は考えもしなかった。


「その命を賭けてもか?」

「そうだ」


 安かった。風太郎にとってその命など、捨ててしまっても良かったのだ。納得できない生き方なら、死んだほうがましなのだ。


「ならば」


 流太郎は刀を構える。彼も命は惜しくない、その身を誰かに尽くせぬならば。


「我が忠義、その刃で曲げてみせろ」


 そして日暮れ空の下、無慈悲で冷たい風が流れた。






 彼らは嘗て、その刃を何度も合わせた。ただあの日と違うのは、木刀ではなく真剣で、その腕ではなく命を賭けて。


 変わらなかった。先に斬りかかるのはいつも気の短い風太郎だった。袈裟、逆袈裟、横薙ぎ、突き。力を込めて、ただ振り回す。そのどれもが常人には見えぬほど速かった。




 それでも、それが流太郎に届きはしない。知っていた、見切っていたのだ。刃は見えずも、軌跡は知る。速さ、角度、範囲。変わらない、あの狭い道場と何一つ。


 だからその切り上げも、彼は躱すには十分なだけ動いた。ほんの少し、それでいい。そう思っていた。


 だが、違った。頬を掠める確かな光が、今赤く染まった。届いたのだその刃が、その薄皮を切り裂いたのだ。


 幸い、致命傷には成り得ない掠り傷だ。それなのに、その一撃は彼の心を激しく揺らした。流太郎は嬉しかった。その刃が届いたことが、何よりも。


 心はあった、気付くのが遅かった。


 だが、その動きを止めはしない。高く、天に掲げた刀を彼は真っ直ぐと振り下ろす。


 迷わず、ただ真っ直ぐ。今がそれは苦しかった。




 重なる刃は、風太郎の頭を冷やすには十分過ぎた。奇しくも彼は、兄と同じく日々を想った。

 いつだっただろうか、初めて刀を振るった日は。どれほど遠いだろうか、初めて誰かに勝った日は。


 ここは、どこだ。遠い、歩いてきたから。


 何を求めた? 己に問う。知っていた、その答えは初めから。




 自由だった。堅苦しい母親と、真面目な兄に嫌気が差して、ただ生きていく事を望んだ。日暮れに吹く風のよう、ただ気ままに進んで来た。




 それなのに、いつの間にかその風は、ただ前へと進んでいた。

 ここは、終着点では無かった。まだ、まだ足りない。もっと前へ、その体が動く限り。


 死ねやしない。誰かに自分を曲げられるなど、誰かに殺されるなど。

 そんな事を、彼が許せる筈は無かった。


 刀を捨てる。


 垂直に落ちてくる流太郎の刃を受け止めるには、刀は長すぎた。

 零れ落ちる鉄の塊を、武士の心と誰かが言った。だが、彼は思う。こんな鉄の塊に、どんな白昼夢を見ていたのかと。


 必要なのは、ただ役立つ道具だった。二本の腕では脆弱で、それを止めるには頼りない。だから彼は、迷わず脇差を引き抜いた。長さ、重さどちらをとっても今はそれが優れていたから。




 勝てる。流太郎は確信する。


 例え刃が止められようが、切り上げるより振り下ろすほうが威力が何倍も高い事は誰もが知っていた。その重さを味方につけ、彼は迷いなく力を込める。

 足りない。風太郎は知っていた。


 あと一つ、決定打になる物が今の彼には欠けていた。受け止めたところで、反撃の手段がなければそれで終わり、そのまま死を迎えるほかない。


 何が足りない? 答えは武器だ、それも山ほど条件がある。小さく、取り回しのよく、尚且つ致命傷を与えうる武器。


 どこにある? 彼は探す。それはあった、彼の腰にいつも提げられていた。

 流太郎の刃を、彼は脇差で受け止める。当然、上からの力に勝てるはずはない。だから、変える。手段を方法を、手に持つ武器を。


 両手を塞がったまま武器を持ち替えるなど不可能である。しかし手を放せば、そのまま刀に斬られてしまう。だから、逸らす。体を刀を、向きを変えて隙を作る。勝負は一瞬にも満たぬ、流太郎の刀が軌道を修正するのに一瞬すらかからないだろう。


 失敗はない、それはそのまま死ぬことだ。それでも彼はやるしかない。

 その刃を少し逸らし、彼はすぐさまその手を放す。


 今、黒い苦無を左手が掴み。


 高く、上へと切り上げた。




 白き花は血に染まり、ただ彼だけが立っていた。






 刀を拾い、苦無を仕舞う。しかし無理やり取り外したせいで金具が駄目になていたので、それはそのまま捨てることにした。持ち帰るべきものが、大きな土産が他にあったのだ。


「立花、手を貸してくれ」


 倒れ、胸板から血を流す兄の肩を担ぎながら、風太郎は立花に言う。彼女も黙ってそれに従い、もう一方の流太郎の肩を担いだ。


「何だ、ここで殺してはくれないのか?」


 途切れた兄の声が、ついさっき聞いたような事を言う。たまらず、風太郎は大きなため息をついてしまった。呆れたのだ、この世には自分を含め馬鹿しかいないのだから。


「……どいつもこいつも、そんなに早死したいのか?」

「そうだよ、誰だって生き恥は晒したくないのさ」


 一歩、また一歩。その度に血は滴り、助かる保証はどこにもない。それでも歩く、死んでもらっては困るのだ。


「何言ってんだよ」


 重い。いつも見ていたその姿が、今は肩に伸し掛かる。立花の支えがあればこそ、ようやく足を動かせる。


「兄上が死んだら、俺が家を継がなきゃならないだろう?」


 軽口を叩き彼は進む。その先にきっと何かがあるから。命を賭けても欲しかった、何かがそこに。


「ああそれは」


 なんて弟だと彼は思う。瀕死の自分を前にして、好き勝手生きると宣うのだ。不肖の弟、それこそ外に出すのも憚られる。


「本当に、生きているだけで恥ずかしいな」


 それを抱えて生きて行くのは、少しだけ楽しそうだった。






 村に着いた三人を出迎えたのは、やけに楽しそうな顔をしたルナだった。ただ、血塗れの流太郎を見るなりその顔は青ざめてしまったが。


「おかっ……うわ、どうして流太郎がいるのじゃ! それに、何があったのじゃ!?」


 説明をする余裕はない。まだ息はあるが、それでも何時まで持つかわからない。


「話は後だ……立花、治療を頼んでいいか?」


 ただ、自分に出来ることは殆ど無いだろうと悟った彼は立花に全てを任せることにした。それに年頃の女性に看病されればあの歪んだ女の趣味も治るかもしれないな、などとふざけた事さえ考えていた。まだ息があるものだから、多少の安心ができたのだ。


「ええ」

「私も手伝います!」


 頷く立花に、血相を変えてやってきた小春。これだけいれば、彼のやる事はないだろう。それに斬りつけた張本人が横にいれば、治るものも治らない。だから風太郎は自分のやるべき事を優先した。


「余はどうすれば……」

「近くにいてやれ。それが一番喜ぶから」


 うろたえるルナの頭を撫でてやれば、頼もしそうに彼女は頷く。さて、これでようやく本題に入れる。この旅の目的、それを知っているのは何も流太郎だけではない。そいつは普段は会えないが、都合の良い事に今は近くにいてくれた。


 もっともその男は、ばつの悪そうにその場から逃げ出そうとしていたが。


「そしてピエール!」

「ひっ!」


 名前を呼べば、情けない返事が帰ってきた。




「向こうで一杯付き合えよ」






 仮の宿にしていた村長の家から離れ、やって来たのは川を見下ろす景色の良い場所。この川が遠く江戸まで繋がっているなど近所の子供も知っている。それを眺めながら、二人はどこからか調達した杯に酒を注ぎ、乾杯もせずにそれを呷る。少し酔いが回るのを待ってから、風太郎は口を開いた。


「兄上から聞いたよ。無いんだってな……天の叢雲」


 ピエールは、少し笑っていた。いつもんぽように芝居がかったそれではなく、ごく自然で平凡な笑顔を。


「ああ、嘘をついて済まなかった」


 ついでに、聞きなれない言葉が返って来ることはもう無かった。


「……何だ、普通に喋れたのか」

「済まない、それも嘘だった」


 文句を言おうにも、影のかかったその顔には流石の風太郎も軽口を叩けなかった。ただ黙って酒を飲みながら、次の言葉を待っていた。


「風太郎、あの船が見えるか?」


 ようやく訪れた彼の言葉が、川を登る小さな小舟に気づかせる。どこにでもある、そんな舟だと思っていれば後にも似たような船が何隻もやって来る。


「あの中には、徳川が何世代もかけて集めた……」


 そこで彼は言葉を途切らせ、目を伏せてからそれを続けた。暗く、重い感情がそこにある。


「いや違う、我々は奪ったのだ。命を賭けるに値する、人々の宝を」


 目を凝らしても、輝く財宝は見えやしない。ただ、風太郎はその舟には何か葛籠のような物が乗っているとようやく気づいた。


「……こんな山奥まで運んでどうするんだ?」

「埋めるのさ、陽の光の届かぬ暗い場所に」


 風太郎は混乱した。宝を探していると思えば、宝の方が川を登ってやって来た。冗談にしてはたちの悪い、皮肉にしては出来過ぎだ。


「それで俺達は、何をさせられていたんだ?」


 だから、その疑問を彼は尋ねる。ある意味では、それを知ることがこの旅の目的だったのかもしれない。


「あれを隠す場所を探さしていたのさ。飛鳥と彩音には事情を知らせ、君達には伏せていた。精度、とでも言うべきかな。簡単に見つけられては困る物だから二つの視点が欲しかったんだ。一方は埋める為に、また一方は探す為に……もし両者が相間見えれば不適切、探せなければそこで良かった。ただ、飛鳥が君を殺そうとしたのは計算違いだったけれど」

「気にするな、俺は生きてるよ」


 それからまた、二人は言葉を失った。居心地の悪さは無い、ただ奇妙な感覚がそこにある。友人とは、そういうものだった。


「それにしても勿体無いな、自分から宝を埋めるなんてよ」

「ああ、そう思う」


 自嘲するよう彼は笑う。その真意を、風太郎はまだ掴めない。


「ほんの少し前までは怖かったんだ。まるで誰かの恨みを、そのまま持っているような気がして。消えてくれと、願ったんだ」


 だけど、彼は笑った。その表情はきっと正しい。


「だけど、今は違う……違うんだ」


 日はもう、沈みかかっている。それでも尚、川を登る船は止まらない。数は増え、いつかはその水面を覆うのだろうか。不思議な光景だった。あるはずのない物がそこにある、それはただ不自然だった。


 想いを馳せるべき宝がそこにあるのに、心は踊らずただ目に映る。それでようやく、彼は自身の在り方を垣間見た。彼は宝など願わない、ただそれを探していたいのだ。


「それでお前にはどう映るんだ? 数えきれない宝の山が」


 細い目をしてピエールは船を眺める。知っているはずの幾つもの宝が今は、ただ眩しかった。


「きっと私が忘れても、君のような人があの宝を探すのだろう」


 彼は知った、日暮風太郎という生き方を。それだけで、畏怖すべきそれは希望になった。それは、物だった。光り輝くかもしれないが、ただそれだけの物に違いない。それでも、人はそれを探すのだ。


「知らなかったよ。この世界がこんなにも、素晴らしいと」


 夜が来る。太陽が名残り惜しくも光を放ち、闇に溶けぬと必死に輝く。

 ただそこにあるはずなのに、今は何よりも美しく。


「ああ、そうだな」


 風太郎もゆっくり頷く。


 この景色の先に、誰かが埋めた希望がある。

 今日歩いた場所が、いつか誰かの希望になる。


「そういう物なんだ」


 それでいい、意味はある。




 ただ今日を、生きる意味は。

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