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或る男




 霊峰富士を左手に望みながらと、流行りの本のようには上手くいかないのが現実である。彼らの両脇を覆う雑木林は、相対的に富士山の何倍も高いのだった。


「ふ~じ~はで~かい~ぞ、は~だに、い~い~」


 聞こえてくるご機嫌なルナの歌は立花の入れ知恵だった。熊を寄せ付けない方法だと教えられると、彼女はすぐにへんてこなそれを口ずさみ始めた。


「立花、念の為確認するが本当に富士の樹海に天の叢雲があるんだな?」


 天の叢雲の情報がほとんど無い以上、風太郎は立花に頼らざるを得なかった。ただそれと同時にその行き先が正しいかどうかが不安で仕方がなかった。特に、既に温泉に浸かることしか考えていない女性陣を目の当たりにしては。


「しつこいですね、何度目ですか」


 口を曲げ立花が面倒くさそうに答える。切支丹の村を離れてまだ半日も経っていなかったが、彼は両手で数えきれないほど同じ質問を繰り返していた。


「無料で温泉入れるなんて夢みたいだ、なんて阿呆な事考えてないよな?」

「何ですか、肌の手入れがそんなに憎たらしいですか!」


 藪から蛇だったのか、立花は突然目を見開き開き直った。その剣幕に風太郎もついたじろいでしまう。


「いや、そういう訳じゃ」


「ルナ様聞いてください、風太郎さんがぷーたろーの分際で苛めてきます」


 弁解する間もなく立花はしっかりと彼を小馬鹿にするのを忘れずに小走りでルナに駆け寄った。


「誰がぷーたろーだ」


「よしよし、風太郎は本当に酷いやつじゃな。あやつの兄の爪の垢を煎じて飲ませたいぐらいじゃ」


 相変わらず機嫌の良いルナは立花の手を掴みそんな事を言った。きっと彼女にとって流太郎と風太郎の間には月とすっぽん程の差があるのだろう。


「それは困る、病気が移る」


 兄に見習う点が多いのを彼は当然知っていたが、絶対に真似たくはない点もある事も知っていた。もしそれを真似てしまえば、きっと今すぐルナが疲れないよう肩車でもしてやる事だろう。当然彼女の身長と年齢が一定を過ぎてしまえば早足で歩き去ろうのだろうが。


「もしもし、旅のお方」


 そんな下らない事を考えながら歩いていると、突然誰かに呼び止められてしまった。声のする方を振り向けば、そこには一人の女性がいた。艶のある黒くて長い髪に、どこにでもあるような簡素な着物。そしてなにより彼女の風貌には何かに裏打ちされた確かな気品があった。


「はい? 俺?」


 風太郎が間の抜けた声で答えると彼女は優しく微笑んだ。いつの間に追いつかれたのかと訝しんだが、自分が立花とルナに気を取られていただけだろうと考えた。


「富士の樹海へと向かうのですか?」

「ちょっと捜し物があってね」


 照れくさそうに頭を掻きながら風太郎は答える。彼女は相変わらず優しい微笑を浮かべている。


「なら気をつけてください」


 彼女の薄い桜色の唇がゆっくりと動く。その妖艶な魅力に風太郎は見入ってしまう。


「あそこには人を喰らう鬼が出るようですから」


 少しだけ見蕩れた後に、彼ははっとした。それから頭を振り正気に戻った。


「妖怪の話で喜ぶほど子供じゃないつもりだよ」


 そして彼も笑ってみたが、彼女の笑顔は少しだけ困った物に変わっていた。どうやら樹海には近づいて欲しくない理由があるらしい。


「おーい風太郎、遅いぞー!」


 前を歩くルナが後ろを振り向き、彼の名前を大声で呼んだ。目をやれば楽しそうに笑っている。


「まあでも、忠告どう……」


 礼を述べようとしても、それは叶わなかった。どこを見回しても先程の女性の姿はない。それどころか彼女の痕跡と呼べるものさえ、例えば足跡すらも見当たらない。


「何やってたんですか? 拗ねてたんですか?」


 立花に急かされ歩を早め、少し考える。もしかすると自分が変な妄想に取り付かれていたのか、それとも自分も兄の事をとやかく言えない病気に掛かっているのか。どちらも気分の優れる考えでは無かったのでもう少しまともな物を選べるよう頭を捻る。


「さっきまで女の人と話していたんだが」

「……狐にでも化かされたんじゃないですか?」


 立花のあっけらかんとした一言で、当然風太郎が納得するはずもなかった。


「案外そうかもな」


 口ではそんな事を言いながらも、眉間に皺を寄せ彼は歩き続けた。鬼が出ようが狐が出ようが、彼が天の叢雲を探す事に代わりは無かった。






「何と言うか……立派な街だな」


 湖に面する街並みを仰ぎ見て、風太郎は素直な感想を漏らした。ここは本当に山奥なのかと疑いたくなるほど、建物は新しく道もしっかりと整備されている。もちろん江戸の町には劣るものの、活気も十二分に溢れている。


「大きな神社がありますから。それに最近は旅行で来る人も多いそうです」

「それに至る所に温泉宿の看板が……」


 温泉、温泉、温泉、湯治、温泉。流行なのだろう、似たような看板が街を埋め尽くす。通りを歩く人々は、揃いも揃って風呂桶と手ぬぐいを常備し体から湯気をくゆらせている。


「一番料金の安い場所にしましょう。どうせ温泉は秘湯に行くんですから」


 拳を握り締め、立花はそう言う。その目に迸る情熱はそれこそ風呂が沸かせるほど熱いものだった。


「天の叢雲はどうした」


 風太郎がそう聞くと、立花は咳払いをして体裁を整えた。本気で忘れていたに違いない。


「……温泉が近い場所にある筈です。それも飛び切り肌に良い」

「もういい、それでいい」


 結局ここに来た理由はなんだったのかと彼は考えたが、すぐにやめた。無駄だという結論が出てしまったからだ。


「今日はゆっくり寝て、明日行動しましょう」

「少し街を見て来ても良いか? 宿は二人が決めて構わないから」


 立花の提案は彼にしても魅力的だったが、ここで自分だけが仕事をしなければ本当に何の為にここにいるのかわからなくなりそうだったので、諦めて仕事に励もうと意気込んだ。


「仕事熱心な奴じゃな、今日ぐらいはゆっくり遊んだらどうじゃ?」


 ルナの言葉を背に受けながら、彼はまっすぐと歩き始めた。






 意気揚々と仕事に励もうと試みた風太郎だったが、彼は自分が大きな失態を犯した事に気づいた。


 まず第一に、彼は天の叢雲の場所などわかるはずもなかった。簡単な方角でもわかれば事足りるのだが、いかんせん立花達とは別行動を取っている。例え彼女が温泉に入りたいが為にここに来たのだとしても、彼女の能力は彼にとって必要不可欠な物だった。


 第二の失態は、何をすればいいのかわからないという事だ。聞き込みをするにしても探している天の叢雲の贋作などそこら辺の人間を捕まえて聞いてもわかるはずはない。


 いつもの彼ならば手当たりしだいに山を登ったり森に直接足を踏み込んだりと強引な冒険を始めるのだったが、今回はそうもいかない。

 風太郎は適当な団子屋で腰を下ろし小腹を満たす事にした。彼は雄大な富士山を見て、深い溜息をついた。手探りで始めるにしては、二本の手では足りなかった。


 そんな憂鬱な気分で三色団子を食べていると、いつの間にか彼の横には一人の女性が座っていた。


「先程はどうも」


 声をかけてきた彼女は、鬼が出ると忠告してきた女性だった。


「突然消えて突然現れて、あんたは幽霊か?」

「歩くのは得意ですから」


 彼女は風太郎の質問に真正面から答えず、微笑んではぐらかす。


「どうかな、俺達の前にはいなかった気がするけど」


 その質問の答えは、どれだけ待っても返って来ない。彼女はまた微笑むだけで、風太郎も二本目の団子に取り掛かるぐらいしかできなかった。


「樹海には行かない方が良いのか?」


 趣旨を変え、別の方向から質問を尋ねて見る。今度はすぐに返って来た。


「ええ、もちろんです」

「鬼が出るから」

「はい」


 それ以上の事は聞き出せないだろうと風太郎は悟った。彼女には樹海に人を近づけたくない理由がある。それは裏を返せば樹海には何かがあるのでは、と彼は考えた。だから彼は残った団子を全て平らげ腰を上げた。


「そういえば名前は? 幽霊だとしてもそれぐらいあるだろ」


 去り際に彼は尋ねる。そこに大きな理由はなく、あるのは単なる興味だけだった。


「彩音と申します」


 頭を下げながら、彼女は名乗る。恐縮した風太郎も、自身も名乗るべきだと考えた。


「俺は日暮」

「風太郎」


 彼女の、彩音の唇が妖しく蠢く。紡がれた言葉は、彼女が知りえない彼の名前だった。


「……どうしてそれを?」


 そう尋ねると、彼女はまた微笑んだ。そして彼は理解した、彼女の笑顔の裏側を。


「その意味を考えては頂け無いでしょうか」


 笑っているのは口だけで、目はただ真っ直ぐに遠くを見つめていた。


「断る」


 語気を強めて彼は言う。


「別にあんたが嫌いな訳じゃない。ただ、やりたい事をやってみるさ」


 返事は聞かない。どうせ樹海に近寄るなと言われるだけだから。そしてまた彼は当てもなく、街を歩き始めるのだ。行き先を決めず、確かな足取りで。






 温泉付きの安宿を見つけた立花とルナは、人気のない風呂に肩までつかりしっかりと旅を満喫していた。二人は風呂の小ささに目を瞑り、霊峰富士が隠す橙色の太陽を眺めている。


「しかし立花は頭がいいのう……夕食時を狙えば風呂が空いているなんて」


 六人入れば窮屈になるだろう湯船には、立花とルナの二人しかいない。本来ならこの時間、旅行客達の食事の時間に清掃するのだが、そんな問題を二人は万国共通魔法の道具である金銭で解決した。大した額では無いが中年女性に小一時間ほど仕事を忘れさせるには十分な額だった。


「決まった時間に食事して、お風呂よりも良い事があるんでしょうかね」


 財布の紐が固い立花だったが、袖の下を躊躇しなかった。珍しい事もあるのだなとルナは感心したが、その理由が今ならわかる。


「まったくじゃな」


 ルナは横目で立花の背中を見た。女性なら一度は憧れるだろう長い髪の代わりに、痛々しい火傷の痕がそこにはある。見てはいけないものを見てしまった気がした。


「そういえば……あ、風太郎とはどういう関係なんじゃ?」


 苦し紛れに出てきた話題は、今頃は巫女と金髪の二人組の所在を聞きに回っているだろう風太郎の事だった。実際ルナにとって彼はどうでも良かったが、年頃の男女が一緒に旅をしているのだから一つぐらい浮いた話があるだろうと考えた。


「ただの仕事仲間ですよ」


 しかし、やはりというべきか、立花にとっても風太郎はどうでも良かった。


「本当か?」

「嘘をつくような事じゃないでしょう」


 眉ひとつ動かさず立花は言う。それは紛れもない本心だった。


「さては照れ隠しだな!」

「どういう意味ですか?」

「実は風太郎に惚れていて」

「まあ、ルナ様は冗談も得意なんですね」


 立花が笑顔で言い放つ皮肉が、ついにルナを黙らせる。取り付く島が無いとはまさに彼女の事だった。


「おもしろくない、これから退屈せずに済むと思ったのに」


 それからしばらく、彼女たちは黙って風呂を楽しんだ。ゆっくりと流れる時間が、立花を少しだけ素直にさせた。


「ルナ様は」


 名前を呼んで、その小さな頭を優しく撫でる。次の言葉はすぐに出てきた。


「素敵な恋をして、立派な女性になって下さいね。これからですから」


 それは彼女が叶えられない願いだった。自身の体に女としての価値がないことぐらい、彼女は知っていた。


「……立花だって何かあるかも知れぬだろうが」

「ありません」


 髪は焼け、背中は爛れ。こんなお湯でどうにかならない事などとうに知っているから。


「もう、女ではありませんから」

「髪なんてそのうち伸びるだろうに」

「治らないものもあるんですよ」


 ルナが悲しそうな顔をするから、立花はその頭をまた優しく撫でた。女性の幸せを求めるだけが人生じゃないなどと言ってみようかと思ったが、年寄りの説教みたいでその上負け惜しみにさえなりそうだったので、ただ微笑んでみることにした。するとルナも笑ってくれた。


 ちなみに風太郎は女性陣が取った宿かどこかわからず日が暮れるまで街を徘徊する羽目になるのだが、それはまた別の話。






 夜が開け朝になる。そして彼らは樹海にいる。


「本当にこの辺りに天の叢雲があるんだろうな」


 立花の道案内に従い、藪を踏み越え進んでゆく。先頭を風太郎が歩いてくるおかげで、後続の二人は中々歩きやすかった。


「ええ、間違いありません」


 力強い立花の肯定に、風太郎は腹を立て足を止めた。


「だったら……その風呂桶は何だ!」


 そして振り返り彼は叫んだ。彼の魂がそうする事を望んでいたのだ。しかし彼は実のところ、お前ら真面目にやれと言いたかっただけなのだ。


「ついでです、ついで」

「大体お主ばっかり楽しい思いをしてずるいじゃろ」


 女性陣の言い分を聞いて、風太郎は八つ当たりするかのよう低いうなり声を上げた。彼の真意が届く日など永久に来ないのだ。


「確かに俺は楽しんで仕事でしてるけどさ、決して遊び半分でやってるわけじゃないぞ?」

「ルナ様、嘘つきの見本がここにいますよ」


 風太郎を指差し、立花がそんな事を言う。


「聞こえてるぞ」


 彼の頭をよぎったのは、諦めという言葉だった。結局その言葉を彼は飲み込みこの樹海を進んでいこうと決めた。


 しかし、その時だった。彼の耳に何やら不審な音が届いた。


「今、何か聞こえなかった?」

「私の美しい声じゃないですか?」

「違う、今何かが動いたような」


 周囲を見回しても人影は無い。あるのはただ、不穏な空気だけだった。


「幽霊だったりして」

「馬鹿だな、そんなもんいるわけないだろ」


 冗談交じりのルナの言葉に、風太郎はにやけた顔で返事をする。そんなもの子供向けの紙芝居でしか出てこないと斬り捨てた。




「え? いますよ?」




 とぼけた顔をして立花が言う。その目に冗談の色は無く、真剣そのものだった。


「もしかして……二人とも見たことないんですか? 結構その辺りで見かけますけど」


 風太郎はルナを手招きで呼びつけ、小声で話し合いを始めた。


「な、なああいつが言うと凄い説得力じゃないか?」

「確かにあんな格好してお化けがいると言われると信じ込んでしまいそうじゃが」


 二人でもう一度立花の姿を確認する。紅白の巫女服の女が真顔で立っていた。風太郎は、どういう訳か本能的な恐怖を感じていた。


「待てルナ、あいつは人を騙すのが特技だから俺達だって騙されてるかも知れないぞ」

「そ、そうじゃな! あやつの悪い癖じゃな!」


 別に彼は幽霊そのものが怖いわけではない。ただ無い筈の物があると言われると、例えばそこの井戸の水は虫が沸いたなどと言われると誰もが口をつけたがらない。それと同じで、単に気味が悪いという程度だった。


「取り敢えずあいつの虚言癖に付き合ってやろう」

「そうじゃな、それがいいな」


 二人にとって、その気味の悪さが尋常ではないというだけの話である。


「話し合いは終わりました?」

「おおう、終わった終わった。そうだよなあ幽霊がいるなんて当然の事だよなぁ、ルナ!?」

「そういえば余もどこかの城で見た気がしないでもないわ! 井戸の近くで!」


 無理に話を合わせる二人からは痛々しさがひしひしと伝わってくる。別に化物など怖くはないと風太郎はなんども自分に言い聞かせた。


「でも、見えるのは私だけみたいですね」

「そ、そんな事ないぞ? ほらあそこだろ、屋根の上!」


 ちなみに屋根などどこにも無い。


「あー、あっちにもいたぞ! 納屋の窓から手を振っておるわ!」


 もちろん納屋も無い。


「二人とも、どこを見ているんですか?」


 立花はその白く細い腕をゆっくりと上げ、人差し指をまっすぐと伸ばした。その先にあるのは風太郎とルナだけだった。


「いるのは、お二人の後ろですよ」


 風太郎の動きは早かった。振り返るよりも早く刀を引き抜き、何も無い空間をただ乱暴に斬りつける。


「し、死ねぇ! 死んでしまえ!」


 情けない掛け声も忘れずに。


「ばかものっ、幽霊ならば死んでいるではないか! 念仏とかお経を唱えればいいんじゃ!」


 念仏もお経も立花の専門外なのだが、錯乱したルナにそんな事はわからなかったに違いない。


「立花……いけぇえええええ!」


 聞こえてきたのは念仏でもお経でも、ましてや祝詞でもなく、彼女の小さな笑い声だった。




「冗談です」




 恥ずかしい。しかしそれを武士の端くれとして全面に出すわけにはいかない風太郎は、とにかく対面を整える事だけを第一に考えた。


「そ、そうだよなあ! 幽霊なんているわけ無いよなぁ、ルナ!?」


 結果として声は上ずり台詞はみっともなくなったが、何とか彼の精神衛生だけは保つことが出来た。


「当たり前じゃ! そういえば井戸の近くで見たのは職務怠慢の女中だったわ!」

「全く二人とも、子供じゃないんですから」


 この女いつか斬り捨てようと、この時風太郎は心に誓った。しかしその誓いはすぐに忘れされることになるのだが。


「……何ですか、二人とも変な顔をして」


 立花の目に映る二人は、何かに怯えていた。風太郎はその日に焼けた無骨な手をゆっくりと上げ、人差し指をまっすぐと伸ばした。


 その先にいるのは立花と、山猿のような顔をした一人の大男だった。きっと先程の物音はこの男だったのだろう。

 そして立花は振り返るなり、声もあげずに気絶した。


「俺……何か悪い事したか?」


 頭を掻きながら、とぼけた声で男は言う。


「強いて言えば、顔が怖い」


 風太郎の指摘は当たっていた。それこそ、薄暗い樹海で幽霊と見間違えてしまうぐらいには。






 その山猿によく似た男に出会ったことは、少なくとも風太郎にとっては幸運だった。彼は樹海に詳しく、おまけに小さな掘っ立て小屋を一つほど所有していた。

 気絶した立花をそのまま放置するわけにもいかないので、彼らはその小屋へと向かった。


「鍛冶屋? 山師か山猿の間違いだろ」


 さらにありがたい事に、彼は風太郎達に作りおきの食事を振舞ってくれた。鈎で吊るされた鍋は、囲炉裏の暖かな炎でいい具合に湯気を立てていた。


「馬鹿野郎、鉄は自分の足で集めるんだよ……そういえば、俺の名前は東海林郎だ」


 小さな椀にそれを盛り付け、東海林郎と名乗るその鍛冶師が挨拶と共に手渡してくれた。添えられた枝を削った簡素な箸が、どこか風太郎の心を落ち着かせた。


「風太郎だ。それでいい」


 堅苦しい挨拶は必要ないと彼は感じた。だから苗字なんて物は邪魔なだけだった。


「おかわり」


 一足先に食事にありついていたルナは、もう椀の中身を綺麗に平らげていた。


「嬢ちゃんよく食べるじゃねぇか。気に入ったか?」

「美味いなこれ、肉なんて久々に食べたわい!」


 風太郎も箸を取り、一口汁を啜ってみた。その鍋の基本となる調味料は味噌だったが、単なる味噌汁とは比べものにならないほど味に深みが出ていた。次に盛られた具を行儀悪くも箸で色々探してみる。葱や大根などの見慣れた食材もあれば、名前も知らないような山菜もある。しかし何より目を引くのは、大きな肉の塊である。


 そういえばどっかの馬鹿の法律のせいで江戸ではしばらく肉なんて食えなかったなと思いながら、風太郎はそれを恐る恐る口に運んだ。


 美味かった。


「……本当に美味いな。何て名前の鍋だ?」

「鍋は鍋だ」


 そう答える東海林郎の顔はどこか得意げな物だった。謙虚なのか尊大なのかよく分からない男だった。


「これ何の肉だ?」

「秘密だ」


 東海林郎、またしてもこの顔である。この男の相手をするのはやめようと決心した風太郎は、椀を傾け一気に口へと掻き込んだ。


「猪じゃろ?」


 小さなげっぷをしてから、ルナが代わりに答えてくれる。


「言うな……」


 秘密を明かされたのが悲しかったのか、それとも子供に食材を当てられたのが悔しかったのか、どちらにせよ東海林郎の顔からは落胆の色が見て取れた。


「ごちそうさま、美味かったよ」


 風太郎は腰を上げ、脇に避けていた刀を腰へと戻した。


「悪いがこの二人、ここで預かってくれないか?」

「構わないが……お前ら何しに来たんだ? 風呂なんてどこも猿が占領してるぞ」


 風呂桶を眺めながら、東海林郎は当然のことを風太郎に尋ねた。すると風太郎は、今度は俺の番だと言わんばかりの得意げな顔でこう言った。


「宝探し」


 事情の分からない東海林郎は、ただ間の抜けた顔を浮かべるだけだった。


「そんな話は聞いたこと無いぞ」


 風太郎は、それはそうだろうと思いながらも質問を一つ尋ねることにした。


「人を喰らう鬼は?」


 彩音が言っていた例の話を振ってみる。東海林郎の表情は相変わらずだった。


「何の話だ?」

「だと思ったよ」


 やはり彩音の話は嘘だった。樹海にこんな小屋を持っていてその話を知らないなら、そもそも鬼などいないのだ。まあ東海林郎が余程の世間知らずであれば話は違ってくるのだが。


「それで、そのお宝はなんだ?」


 少しだけ苛立ちげに東海林郎がそう聞く。すると風太郎が待ってましたと言わんばかりの得意げな顔でこう答えた。


「天の叢雲」


 東海林郎の眼の色が一瞬にして変わった。鍛冶屋の彼にとってそれは聞き逃せない台詞だった。


「嬢ちゃん、一人で留守番出来るか?」

「馬鹿にするでない、それぐらい出来るわ!」


 鍋に蓋をして東海林郎は立ち上がる。


「何だよ、お前も来るのか?」

「山に慣れた人間は必要だろ?」


 荷物も持たずに彼は答える。冗談みたいな得意げな顔はもうそこにはない。


「まあ、そのお宝が見たいだけだがな」


 年不相応の好奇心を持って、男達は小屋を後にした。






 かつて誰も歩かなかった藪の中を二人は物怖じせずに進んでいく。目的地は猿が占拠するという天然の温泉。立花が気絶する前の発言と東海林郎の土地勘を頼りに歩いていけば、道は狭く険しく変わった。


 歩きながら、風太郎は事情を東海林郎に説明した。出来るだけ脚色をしないよう、それとルナの素性を口に出さないよう気をつけながら。


「なるほどな……確かに筋は通っている」


 納得がいった東海林郎は、小さな声でそんな事を呟いた。


「しかも将軍のお墨付きだ。とれじゃーはんたーとして探すしかないだろ」

「……何だ、とれじゃーはんたーって」


 自信満々な風太郎に、東海林郎は真顔で尋ねた。説明しなければ意味は通じないだろうが、一々意味を説明しても格好がつかないと感じた風太郎に残された最後の手段は、ただ拗ねる事だった。


「良いだろう、何だって」


 居心地の悪さを感じた風太郎は、少し歩幅を大きくした。


「おい、そっちは足場が悪いぞ」


 どんどん距離が開いて行く風太郎に、東海林郎は忠告をする。彼らが歩く場所は苔のせいで滑りやすくなっていて、特に風太郎が歩く場所はひどい。


「は? すまん、よく聞こえな」


 聞き返そうと振り返れば、やはり彼は足を滑らせた。






 自分が川に落ちたと気づいたのは、全身がずぶ濡れになってからだった。幸いそれなりの深さあがあったので怪我をすることは無かったが、そのままでいると溺死の危険さえあった。


 解ける髪など気にせず、腰から下げる商売道具の数々の重さと闘いながら、彼はなんとか泳いで岸へとたどり着く。出来る範囲で着物を絞り、ため息を付いて一言。


「なるほど、酷い目にあった」


 手近な物で髪を縛り直そうと考えたが、そんな丁度いい物は無い。手で束ねてみても、力を離せば解けてしまう。だから彼は、またため息をついた。

 体を乾かそうと思い立ち、彼は手近な岩に腰を掛ける。しかし瞼が乾く間もなく、背後の茂みを揺らす音が聞こえてきた。


「おい東海林郎、体もでかいんだから声もでかくしてくれないと……」


 初めは東海林が迎えに来たのだと彼は思った。しかし、どうも様子がおかしい。いつまでたっても、あの野太い声が聞こえてこないなのだ。


「貴様、日暮風太郎だな?」


 聞こえてくる、知らない男の声。一歩、二歩と男が近づく。声に混じるのは、隠しようのない殺意。


「不公平だな、俺はあんたの名前を知らない」


 刀の柄に手をかけて、風太郎は意地悪くも男に尋ねた。近づく足音が男の間合いを風太郎に知らせる。残り八、七、六歩。刀の間合いまで、まだ少し余裕がある。


 勝負は一瞬でつくだろうと、風太郎は確信していた。名乗らず、素早く殺す。暗殺者として最良の選択を男は取るだろう。


 だからこちらも、一撃で仕留める。ずぶ濡れの体で戦い続けられるほどの体力は無いだろうし、反射神経の方がまだ自信がある。それなら、勝てる。彼はそう睨んでいた。


 予想外の距離から放たれた男の武器が、風太郎の頬を掠める。おかしい、刀の間合いでは遠すぎる。

 風太郎は手で傷を拭い、振り返った。男は暗殺者などではなく、正々堂々の戦いを望んでいるのだとわかった。道場の門下生が着るような袴に、短く逆立った黒い髪。背は風太郎よりも高く、列記とした構えからは一部の隙も見当たらない。


 しかし何より風太郎の目を奪ったのは、男の身の丈を優に超える長い薙刀であった。


「それがどうした」


 男の一言が、戦いの合図だった。


 間合い、一歩の大きさ。たった二つの要素が風太郎には致命的だった。こちらが二歩後ろへ引けば、正確に薙刀が突き出される。すんでのところでそれを躱しても、男は追撃をやめはしない。


 薙刀を刀で弾き、その場で凌ぐ。しかしそれこそ、風太郎が一番恐れている持久戦だった。だから彼は索を弄した。策と呼ぶにはあまりにも平凡で、確実な作戦を。

 突き出される真っ直ぐな薙刀に対して、彼は少しづつ角度をつける。右へ、右へ回っていく。彼の足に掛かる負荷は相当な物だったが、それでも命と比べるには軽かった。


 風太郎の旋回に苛立ったのか、男はその長い薙刀を素早く横へと薙いだ。それこそ、風太郎の願っていた行動であった。

 突きという点の攻撃に対して、薙ぐという攻撃の軌道は確かな線を描く。だから、防げる。風太郎は刀を垂直に構え、男の攻撃に備えた。

その瞬間、男の口元が微かに動く。彼は、笑っていた。


 刀が、薙刀の剣先を受け止める。それで男の攻撃を封じたと、風太郎は思った。




 思って、しまったのだ。




 男に対して、風太郎はまた思い違いをしていた。自分が劣っているのは、間合いと踏み込みの大きさだけだと高を括っていた。


 事実は違う。


 単純かつ、圧倒的な腕力。男の大きな背中に密集する背筋が、風太郎が生涯持ち得ない馬鹿力を発揮させていた。

 薙刀は武器としてとうに廃れ、女の持つものだというのが世間一般の認識だった。男はそれを覆す。たった一撃、全身の力を込め。


 それが今、風太郎の刀を砕いた。


 砕け散る金属片が、悪戯に光を乱反射する。障害物を無くした薙刀は、そのまま風太郎の体を斬りつける。風太郎の手の甲が、赤く染まっていた。

 男は、追撃をやめない。遠心力に振り回される柄を素早く持ち替え、強く握りしめる。がら空きになった風太郎の体を、刃が鋭く斬り上げた。


 為す術は、もうない。刀を掴む握力は残らず、ただ風太郎の着物が赤く染まる。彼がその場に倒れこむのに、時間は必要なかった。

 視界が霞み、傷口が焼けるように熱い。立ち上がる気力はどこにもない。


「弱いな、貴様は」


 風太郎の首に、冷たい金属があてられる。それが何なのかを、彼は考えようともしなかった。


「強いんだな、あんたは」


 それは素直な賛辞の言葉だった。戦って、負けた。誇りも意地も消え去った、ただの結果がそこにある。

 赤くなった敗者を見下ろし、男は思った。なぜ、こんな弱い男が。何を、思っているのかと。


「……背負っている物が違う」


 小さく、力強い声で男は言う。それは彼にとって必要な事だった。この体を動かす、確かな理由。それを忘れたくはなかった。

 そして男は、薙刀を天高く掲げた。首を切り落とすには、十分すぎる高さと武器。


「飛鳥様」


 聞き覚えのある声が、風太郎の耳に届く。石ころを捉え続ける眼球をゆっくりと動かし、声のする方を向いた。そこには、一人の女がいた。確か、林道で出会った。そして、街の中で出会った。


 樹海には鬼が出る。そう言い続けた女が、男の横に立っている。


「……彩音か。どうした」

「あの方が、来ます」


 二人の会話は、会話と呼ぶには窮屈だった。感情の起伏はなく、ただ事象の報告だけしか行われない。風太郎は自分の命が危ういというのに、それを窮屈だと感じていた。


「日暮風太郎、一つだけ忠告する」


 薙刀を肩で担ぎ、男は語る。もう、まともな言葉と認識出来ない。


「下らない宝探しなど止めることだな」


 そう言い残して、男と女はどこかへと走り去ってしまった。

 意識が遠のき、瞼が重い。何より今日は、天気が良い。ただ一つ贅沢を言えば、ここは自宅の縁側ではなく富士の樹海だと言う事。昼寝をするには、少し下が硬すぎる。

 だが、そんなに悪くはない。こんなに良い気分で寝入るのは久しぶりで、本当に久しぶりで。いつ以来だろう? 彼は思う。


 笑って、すぐに思い出す。


 あの女だ。


 金にうるさい外道巫女と知り合いになってから、こんな昼寝は久しぶりで。


「風太郎さん!」


 ああ、畜生なんて事だ。うるさい声が反響して、おちおち昼寝もさせてくれない。


「大丈夫か!? 今手当を」


 おまけに鼻息の悪い山猿が、体を抱えて喚き散らす。


「何だよ、人が、折角……」


 そこで彼の意識は途切れた。こんな昼寝も悪くないと、にやけた顔を浮かべながら。






 朦朧とする意識、霞んだままの視界。何の変哲もない天井と、体を覆う布団の感触。頬を掠める夜の風、それから暖かな人の手と。


「……気が付きました?」


 優しい人が、そこにいた。部屋にはもう彼と立花しかいなかった。

 瞬きを何度か繰り返し、風太郎は状況を少し整理する。宝を探し、男に会い、負けた。単純で疑いようのない事実を彼は存外すんなりと受け止められた。冷静になった頭で自分の体を見れば、傷にはしっかりと包帯が巻かれている。何日も寝ていたのか、それともただ日が暮れたのか。わからない、今は何も。


 体を起こし、彼女に思いついた疑問を尋ねようとする。しかし口を動かそうにも、全身を襲う激痛がそれを拒む。


「動かないで、まだ傷口は塞がっていないから」


 手を添えて、立花は手ぬぐいで額の汗を優しく拭いた。風太郎は痛みに耐えながらも、呼吸を整え口を動かす。


「迷惑かけたな」


 ようやく出てきた言葉は、感謝とも謝罪とも取れる曖昧な言葉だった。


「らしくないですよ、そんな言葉」


 そんな彼を見て、彼女は笑う。風太郎もそれを見て、少しだけ笑った。


「今、汗拭きますから」

「お前だって、十分らしくないじゃないか」


 甲斐甲斐しく世話をする彼女に、風太郎は皮肉を返す。


「あれ、もしかして惚れました?」


 手を休ませずに立花は冗談を口にする。


「いや全然、これっぽっちも」


 わかっていますよと言わんばかりのため息を漏らす立花に、満足そうに笑う風太郎。飾り気のある言葉は、二人にとって邪魔なだけだった。

 清潔そうな布で汗を拭く立花の手は、いつもより荒れていた。それを無下にできるほど風太郎の心は鈍感ではなかった。


「ただ……感謝はしてるよ」


 素直なその言葉に、立花は目を丸くした。まさかこの人からそんな言葉が聞けるなど、夢にも思わなかったからだ。だけど彼女は彼以上に素直さに欠けていたから、何時も通りの皮肉しか言えなかった。


「どうやら、怪我のせいで頭まで悪くしたみたいですね」


 会話は途切れる、それでいい。二人の間柄は元からその程度のもので、感謝も謝罪も必要ない只の仕事仲間だから。明日になれば二人とも、歩み寄ったことなど忘れるのだ。こんな関係の居心地の良さも、一緒になって。


「……ところで、何があったんですか?」


 一段落ついた立花は、手元の桶で布を洗い自分の手を拭き始めた。少し気分も体調も楽になった風太郎は、説明することにした。


「変な奴に喧嘩を売られてな……刀も折れて商売上がったりだ」


 もっとも細かい経緯は面倒だったので省くことにしたが。


「その人、どんな人でした?」


 何の気無しに、立花はそれを尋ねる。深い意味などない、単なる好奇心の他無い。それが少しづつ彼女自身を歪ませていくとも知らずに。


「俺より背が高くて……馬鹿力で薙刀を振り回す」


 思い出すのは簡単だ。意表をつく薙刀、圧倒的な怪力。そして耳にこびりつく、冷たい声。


「まともな奴じゃないよな、あれは……」

「その人、名前はわかります?」


 立花の質問に、風太郎は思案を巡らせた。男は名乗らかったが、誰かがそれを呼んでいた。


「なんだっけな……変わった名前だったと思うけど」


 印象だけは覚えている。それなのに、詳しい名前は覚えていない。


「だけど一緒にいた奴なら知っている……確か、彩音だ」


 あの姿を彼は覚えている。彼はあの場の他に二度もその姿を見ていたのだ。その度に彼女は言った、『樹海には鬼が出る』と。




 そして鬼はそこにいた。




「前に林道で話した女だ。この街にもいたが……こういう事だったのか」


 彼女が何度も口にした鬼という言葉の意味は、あの男そのものだった。何度も警告したのは、自分達の邪魔をさせない為か。その時ようやく、風太郎は全てを理解できた気がした。


 立花も、理解した。たった一言、彩音という名前。それと道を共にする、背の高い薙刀使い。彼女の心に浮かぶ二人の姿が、そこにあった。


「……知り合いか?」


 雰囲気が大きく変わった立花に、風太郎は尋ねる。いつもの皮肉屋はそこにいない、真面目で、思いつめて、寂しそうなその顔。見てはいけない物を見てしまった気がした。


「天の叢雲探しは、止めた方がいいかもしれません」


 その言葉は、重い。根拠はわからない、それでも。


「あの人は、強いですから」


 あの人。彼女は男をそう呼ぶ。馴れ馴れしくも敬意を込めて。


 少し、ほんの少し。だけどそれは確実に、風太郎の心を揺るがせた。裏切られたと錯覚したか、それとも別の感情、彼自身が覚えたことのない別の。


 嫉妬? 馬鹿馬鹿しい。

 怪我のせいで疲れていると、風太郎は思い直した。


「知ってるよ」


 もっとも、拗ねたままのその口は曲がったままだったが。


「それに……」


 申し訳なさそうに、立花は言葉を紡ぐ。


「言いたくないのなら、言わなくていい」


 それを風太郎はぶっきらぼうな言葉で遮った。聞きたくなかった。命を狙った敵だというのに、その素性を知りたくないと彼はいった。彼自身もそれを異常だと感じている。


 だから、怪我と疲労のせいだと結論づけた。しばらくすればこの惚けた頭もまともになるだろう。


「すみません」

「謝るなよ、悪いことはしてないだろ?」


 謝る彼女に、風太郎は言葉を返す。謝られると、自分が悪者に感じてしまうから。

 言葉が途切れるのは、これで二度目。だけど不思議な居心地の良さは消えている。




 どこへ消えたのか、どこへ行ったのか。


 彼はそれを考えるようとさえしなかった。

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