第一章)アルフォンスの頭脳が少しマシになった第八話
遅くなって済みません。第八話です
対応属性、基本属性、火、水、雷、風、土
特殊属性、対抗、精神、次元、破壊
魔力保有量、137080
この結果を見た俺の父母は、
「た、たたたたたたたたいおう属性、こ、九つ?」
「うわ~すごいわね~♪流石は我が家のセイちゃん♪」
「と、というか、『破壊』ってなんだ?聞いたことないな・・・ッ!?・・・ま、まさか・・・ゆ、ユニーク属性かッ!?ということは、ユニーク属性二つ持ちッ!?」
やっぱり驚いていた。主にアルフォンスの方だけだったけどな。セリムはいつも通りだ。いつも通り、ウザイ。
こっちは5歳になったんだから、いい加減子離れしろよッ!!
って感じ。
そうそう、ユニーク属性というのは、その名の通り使い手が数人しかいない、特殊で稀な属性だ。現在確認されているものは、基本属性では、氷の一つだけ。特殊属性は、次元と創造。所持者は、氷と創造は歴代で一人だけ。次元は歴代で二人で、内一人は今も生きていて嫉妬の大陸の魔法学園の学園長をやっているらしい。そうそう、次元と創造は特殊属性に入れられているが、ただ単にそこに表示されるからというだけだ。
「わ~♪さっすがはセイちゃん♪」
ブレないな、セリムの方は。というか、二年前はこんな感じの性格だったっけ?もうちょっと動揺とかしてたと思ったんだけどな・・・。
「いやいや、流石におかしいだろ。そもそも対応している属性は一人につき2、3個のはずだし、魔法保有量も平均の1370倍はおかしいだろ!!そんなの、例の強欲の大陸の勇者よりも更に桁違いの力を持っているっていうことじゃねえかッ!!」
普通はそうだよなー。対応属性だけじゃなくて魔力保有量まで規格外なんだからな。そういえば、最近随分と頭が回るようになったなー。俺のせいだろうけど。父親としては、息子に負けるのはかなり悔しいだろうし、結構勉強とかしたんだろうね。
にしても、話が長い。
「・・・てわけだから、いくら俺たちの子供でも変だと思うんだよッ!」
「流石に規格外だと思うけど、力はすごいほうがいいでしょ。それに、この大陸内ではかなり強いあなたの子なんだから、強くなるのは当たり前でしょ。《紫水晶の死剣》さん」
「・・・その名前はあまり好きじゃないんだよな・・・」
あ、険悪な雰囲気になってきた。というか、アルフォンス、何言いたいのかよくわからんぞ。もうちょい文を組み立ててから話せ。それになんだ、その中二的な二つ名は?にしても、この雰囲気はまずいな。しょうがない、ここは俺が何とかするか。
「あの、お父様、お母様」
「ん、何だい?」
「なに~、セイちゃん?」
「対応属性9属性や魔力保有量137080というのはそんなにおかしいですか?」
いやいや、おかしいでしょ。って、自分でも思うが、ここで思い出して欲しい。
俺はまだ5歳だ。
ならば、むしろ少しは子供らしさが必要だと思うんだよね。
ん?
今更どの口が言うんだって?
確かにそうだな。
「おかしいですか?って・・・そりゃ、おかしいに決まっているだろ!」
「お父様の書斎にあった本には、もっとすごい人とかいたと思ったんですが・・・」
「そ、それは本の中の物語だからだよ」
「ですが、僕みたいな人は他にも実在しているのでしょう。さっき言っていた、強欲の大陸の勇者様みたいに」
「ゆ、勇者様だからだよ。それに比べて、お前は上級貴族の長男というだけだろう。人としての価値が違うんだよ」
「お父様の書斎にあった、『平等論(笑)』という本には、『人の価値は地位や称号、素質や性格によって決まるものではない。人の価値は皆同じで、優劣はない』と書いてありました。お父様の発言はその価値を無視しているということになりますが」
「それは・・・」
勉強してもやっぱり馬鹿だな。
他にもいくつか躱し方があったのに、それを選ぶとはね。対処が一番簡単な選択肢だ。というか、今のやつを言えばいいだけだし。何故『平等論(笑)』なのかはすごい疑問だけど。
「・・・」
ほら、答えられない。
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:アルフォンス=イルヴィナス:
正直言って、セイトは天才だと思う。
その頭の良さも然ることながら、知識を簡単に応用する力に物事を瞬時に思い出す力。
5歳児の基準に収まらない。
いや、それどころか、大陸内でもナンバー1、2位を争えるのではないか?とすら思うな。
実を言うと、この時点でセイトはこの世界で最も頭がいいのだが、アルフォンスがそれを知るはずがない。
確かに、セイトが頭が良ければイルヴィナス家は安泰だろうから、それはそれでいいのだが・・・。う~ん、俺の言語力ではうまく説明できないな・・・。なんと言えばいいのだろうか?あまりにも優秀すぎると、逆に損をするといえばいいのだろうか?
一応、王への報告はユニーク属性とあのふざけた魔力のことは黙っておこう。




