第一章)第五十五話 襲撃 ⑥
結局一周間かかってしまいましたm(__)m
10km先で強大な魔力が出現した。
その魔力は急速に収束していき、そして巨大な水の塊になる。出現した水の塊は、方向性を与えられてこっちの方に向かって大津波となって迫ってくる。
魔力探知と『計算行動・第八技・掌握』で得た情報から『計算行動・第一技・予測』で予測したところ、およそ時速50km。つまり、到達まであと12分程度しかない。この事態はあらかじめ予測していたとはいえまずい。3通りあった予測の中で一番きて欲しくないやつだしな。
ベルゼブブが攻めてくるタイミングでの予測が3通りあった。
一つ目は、ベルゼブブが攻めてくるだけの場合。
正直、これが一番確率が高く、魔力の節約とかを考えなくていいので楽だった予測だ。まあ、確率が高かっただけで外れたが。
二つ目は、俺の親が動く場合。
といっても、これに関しては条件的になくなった。セレーナを連れてきたからだ。普通、乱戦に巻き込まれて、もしくは流れ弾で死んでしまったように見せかけられると思うだろうがそれは不可能だ。なぜならば、俺がセレーナの周囲に『球雷壁』を張っておいたからだ。ちなみに、カブトムシを一時的に行動不能にした電圧ではなく、触れたら確実に死ぬレベルだ。まあ、危険すぎるから、別の魔法も使って近づけないようにもしているが。というか、こっちが主な対策だけどな。
そして、3つ目。これになる確率は1割もなかったが、一番厄介なものだった。
つまり、ベルゼブブの襲撃に合わせて隣国が攻めてくる可能性だ。
あのベルゼブブが、人間と協力関係になるとは思えなかったし、何より、攻めてくるだけの戦力がないはずだった。しかし、実際には、禁級クラスの規模の魔法を使って、回避不能レベルの攻撃を使っている。まあ、攻撃方法なら、セレーナの話を聞いてある程度検討をつけていたし、そもそも、偶然ベルゼブブの襲撃とタイミングが重なってしまう可能性もあったけどな。
「・・・一体どうすれば・・・」
セレーナの呻くような声で、思考の海から現実に戻ってくる。ともかく今は大津波の対処だ。
津波は、結構な速度で王都の方に向かってきている。このままの速度だと、もう11分程度しかない。といっても、こうなることは予測済みで、魔力も出来る限り節約してきた。
「さて、問題は魔力が足りるかどうか、だな」
俺の呟きに、おろおろしていたセレーナが動きを止めて、俺の方を呆然と見つめてくる。
「・・・セイト君、どうにかできるの?」
「だから、魔力が足りるかどうかが問題なんだよ」
圧縮魔力も含めて全快状態の俺なら、確実に問題ない。しかし、通常の魔力はともかく、圧縮魔力の方は全快とは言い難い。
「でも、それだけの魔力があるなら、あれくらいは・・・」
「馬鹿野郎。攻撃があれだけで終わる保証はないだろ。最悪連発される可能性もあるしな」
そう、大津波が一回だけなら全く問題ないのだが、セレーナから聞いた話のある情報から何発も撃てる可能性がある。
「・・・でも、そんなことできるの?」
「できる」
「っ、ど―――」
「とりあえず、続きはあの大津波をどうにかしてからな」
間髪入れずに断言し、具体的な追求されないように、間をおかずに会話を切り上げ、王都の外に向かって歩き出す。
セレーナは何か言いたそうだったが、俺の有無も言わせない様子に不満そうではあるものの黙って付いてきた。
俺達は、突如現れて魔力の騒ぎで混乱している王都から出ると、視認できるようになった大波に掌をかざし、魔法を行使した。
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