第一章)第四十五話 自宅パーティー
予約投稿を間違えて知強のほうにしてました
すみません
さて、そんな初代勇者だが、その様々な逸話が勇者=絶対的存在という感覚が出来てしまっている。別にどうでもいいとか思っていたのだが、ここでそれが邪魔をしてきている。
論破してもいいのだが、こういう一種の信仰的なものにはあまり意味がないためしない。
本当にこういうタイプが一番困るな。元Lランクというのだから、もっと理性的かと思ったのだが結構感情的なタイプだ。一応、平均よりは頭がいい(といっても、地球と比べるとバカの部類に入る)のだから、もっと考えて行動して欲しいと思う。
「・・・とりあえず、忠告はしたからな」
勘違いしないように言っておくと、俺が出すべきだと言っている緊急依頼は、避難誘導に関するものと、その時間稼ぎだ。俺や目の前のギルドマスターの全盛期などのような規格外な存在ならともかく、普通のSランクとかの冒険者なら防御に徹しなければ瞬時にやられると思うしな。透明の左腕になる前とはいえ初代勇者が死にかけた相手だ。徹してもすぐやられる可能性もある。ちなみに、現Lランク最下位のメルト=ブラックと、俺を抜かしたSランク達との実力差はおよそ3~10倍ほどあるらしい。Lランク最強のナナヨ=ルシフェルに至っては100~10000倍あるとも言われている。数値だけ聞くと、ありえねえー、と思うのだが、実際に見た奴らは「そんなもんじゃ足りねえ」とのことらしい。
俺はセレーナを連れてギルドから出ていく。その時に副ギルドマスター・・・・・・えーっと、なんだっけ? 名前を忘れてしまったが、副ギルドマスターが「ざまあみろ」とでも言いたそうな視線を送っていたのが何故か印象に残っていた。
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ギルドから出た俺達は、とりあえず屋敷に戻った。
「(―――あの子かしら? イルヴィナス家のご嫡男が拾ってきたっていうのは?)」
「(―――ええ、なんでもあのエレメント家の長女だったみたいよ)」
「(―――あの奴隷に落とされた? イルヴィナス家のご嫡男は物好きなものだわね)」
「(―――しっ、聞こえてたらまずいわよ。気に入らないものには容赦しないって話じゃない)」
「(―――大丈夫よこの距離なら聞こえるはずないもの)」
・・・忘れてた。今日はなんか自宅パーティを開くとか言ってたな。俺は全く出るつもりがなかったから、聞き流してた。
にしてもうざったいな。本人達は俺達に聞こえてないとでも思っているのだろうけど、『計算行動』の副産物で普通に聞こえてしまっている。俺は内心「聞こえてんぞ」と思いつつ、自室の方に向かっていった。
次話投稿は来週です




