第一章)第四十二話 七大罪
ども、遅くなりました。テスト死にました(・д・`*)ハァ…
「さて、説明しようか」
俺が意識を向けたのを感じたのか、男は説明を始めた。・・・あまり説明とは言えなかったが。
「まず、お前は気づいているだろうが、俺は《七大罪》のうちの暴食を司る悪魔、ベルゼブブだ」
「ッッッ!!!???」
「まあ、そうだろうな」
セレーナがとてつもなく驚いているが、俺としては予想通りだ。『計算行動』を使わなくてもあれだけ情報があれば、誰でも・・・ではないが大体の人は予想がつくと思う。
《七大罪》というのは、地球でいうところの《七つの大罪》だ。・・・まあ、この世界風に言っているだけでそのまんまだけどな。ただし、悪魔の名前は所々変わっていて、傲慢のベリアル、嫉妬のレヴィアタン、憤怒のサタン、怠惰のアスタロス、強欲のマモン、暴食のベルゼブブ、色欲のアスモデウス、と、傲慢が堕天使のルシファーではなく、ベリアルとなっているし、怠惰はベルフェゴールではなくアスタロスになっていた。
ちなみに、魔人を魔王に上位変換しているのもこの《七大罪》だ。第1話で省いたが、魔族の区分についてここで確認しておこう。まず、魔族というのは、魔物、魔獣、魔人、魔王、そして悪魔の総称だ。魔物は魔法が使える生物のことだ。その上位種が魔獣と魔人で、魔獣は知能が魔物と大して変わらず強大な物理的な力、魔人は人以上の知能と強大な魔法技能を持っている。魔獣はここで進化が止まるが、魔人は更に魔王に進化できる。しかし、普通は自力では魔王になれず、《七大罪》の悪魔に力を分け与えてもらわなければ進化できない。ただ、《七大罪》に力を与えられて魔王になった魔人は、基本的に力を与えた七大罪には逆らえないらしい。そして悪魔だが、これに関しては情報が少なすぎるためよくわかっていない。というのも、悪魔自体、表舞台に出ていたのは相当大昔らしく、文献でもほとんど残っていないからだ。
目の前の暴食の悪魔ベルゼブブと名乗ったこの男。こいつについても大したことは載っていなかった。
何千年も前に、後に暴食の大陸と呼ばれるようになるこの大陸に初代勇者によって封印され、それ以降ずっと封印されているということ。初代勇者が最も苦戦した相手で、空間を削り取るような捕食攻撃と魔法ではない猛毒によって初代勇者が左腕を失ったこと。戦闘時は豚のように肥えた蝿のような外見になること。これぐらいだ。地球の方のベルゼブブも確か《蝿の王》とかいう異名を持っていたはずなので、微妙に地球での情報も役に立つかもしれないが、残念ながら俺はあまり《七つの大罪》に興味がなかったのでその辺はあてにならない。
「で、その《七大罪》の悪魔が何故俺なんかに協力を要請する? それに何故ミニマム王国なんだ?」
大陸最大の国であるミニマム王国だが、実は大して魅力がない。まず、土地の広さに対して、全く資源が足りていない。その為、貿易なしでは国を維持できない。唯一魅力があるとすれば、この国以外ではあまり取れないものが多いことくらいか。しかし、あくまで取れにくいだけであり、別の国でも取れる。なので、別の国でも代用できる。それが面倒だから俺に協力を取り付けようとした可能性もあるが・・・。『計算行動』を使えば真意がわかるかもしれないが、成り行きしだいでは戦闘になる可能性もあるから使って脳に負荷をかけたくない。
そんな風に考えている俺の質問にベルゼブブは、はぁ? とでも言っているかのような顔をして答える。
「強い奴を味方につけるのは当たり前だろ? それに、ミニマム王国を落とすのは俺が復活したのを知らしめるのに丁度いいからに決まっているだろう?」
「いや、そうだろうが・・・」
思ったよりも単純な理由だった。まあ、本当のことを言っていると決まったわけではないがな。それに、
「俺がそんな理由で納得するとでも思ったのか?」
「しないだろうな」
即答。俺のさっき使った『計算行動・第一技・予測』では、俺とセレーナに対して、かなりいい条件で勧誘するというものだったが、予測とはしょっぱなから話の流れが違う。あまり、当てにならないだろうな。まあ、どちらにせよこいつの下に従こうとは思わないがな。
「―――だが、この条件ならどうだ?」
そう言葉を発して条件を提示してこようとしたベルゼブブに対して、俺はぶった切るように声を出した。
「いや、別にいい」
次話投稿は明後日です




