第一章)第四十一話 『第一技・予測』
「―――共にミニマム王国を滅ぼさないか?」
「はァ?」
『計算行動』を使っていた俺ですら、この言葉は予測外だった。いや、内容自体は予測通りなのだが、まさか、前ぶりもなくいきなり一緒に国を滅ぼそうなどとは言われるとは思っていなかった。
・・・にしても、何故『計算行動』によって『予測』したことのが覆されたのだろうか?
『計算行動・第一技・予測』
他のどの『計算行動』において『第八技』と合わせて絶対に必要となる『計算行動』の大元であり、単体でも『周囲の環境や状態、付近の人の感情などの情報から限りなく近い予測を導き出す』という使い方によっては強力になる技術だ。勿論、情報が少なければ精度は落ちるし、間違った情報が含まれていれば全く違う予測になってしまう。まあ、五感の情報に関して言えば、測り間違えることはないと断言できるので、普通に戦闘向きの『計算行動』を使う際には問題ないのだけれど。
つまり、俺が予測して予測を外したのは、情報が少なすぎたか、情報に間違えがあるかのどっちかとなる。どっちかは分からないが、多分こいつの言動に注意しておけば多分そのうちわかるだろうな。
「・・・で、どうだ、この話乗るか?」
「・・・話だけは聞いてやるよ」
「? お得意の『先読み』の技能で大体分かっているんじゃないのか?」
・・・そうか、こいつ『計算行動』を知らないものの、俺が何かしら『先読み』的な技能を持っているのを知っているらしいな。だから、前ぶりをするという『計算行動・第一技』の結果が外れたのか。
「確かに大体わかっているが、あくまで推測だしな」
「ああ、そういうことか」
「ねえ、セイト君」
「なんだ?」
男と話していると、セレーナが小声で話しかけてきた。人間ではギリギリ男の位置では聞こえない程度のものだが、こいつの正体から考えれば聞こえる可能性もある。というかほぼ確実に聞こえてる。俺は自分の右耳を抜かして『消音空間』をセレーナと俺の頭を覆うように発動する。これで俺達の会話はほぼ確実に空間外には聞こえないだろう。ただ、魔法を発動していることは『魔力感知』でわかるだろうし、口の動きを見れば何を言っているのかわかってしまう。俺は口を動かさずにしゃべれるが、セレーナの方はそうはいかない。まあ、男が目で「そっちの話を優先していい」と言っているから大丈夫だろうが。というかこいつ、意外と紳士的なのか? 地球上で知られている名前では乱暴者ってイメージがあったんだが。まあ俺は『七つの大罪』なんて、あんまり調べてなかったから詳しくは知らんが。
「もしかして、さっきの話乗るの?」
セレーナが聞きたかったのはそういうことらしい。
「んなわけ無い。ていうか、話だけは聞くって言っただろ」
「それって、提案を受け入れるとも解釈できるんだけど・・・」
まあ、不安なのはわかったが・・・
「捻じ曲がって解釈するな」
「でも・・・」
「大丈夫だって言ってんだろ」
「・・・わかった」
「話は終わったか?」
多分、セレーナの「わかった」という口の動きを読んだのだろうか。ちょうどいいタイミングで男が口を開いた。
俺は『消音空間』を解いて男の話に意識を向けた。
中途半端で申し訳ありません
次話投稿は来週を予定していますが、テストなので更新できないかもしれません。次話は再来週の月曜日、26日に更新します




