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黒天の破壊者  作者: Solu
第一章 暴食の大陸編
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第一章)第三十六話 盗聴

 セレーナと一緒にロールキャベツを食べた後、一度家に帰った。行こうと思っていた服屋がまだ開店していなかったからだ。それに『計算行動』で断片的な情報から推測するに、おそらく、このくらいの時間に、必要な情報が密談(・・)されていると思われるからだ。まあ、情報が少なすぎて前後10分程のズレがある可能性があるため、聴けたらいいなくらいに思っている。裏が取れなくても、予想からあまり外れないだろうからな。


 「えっと、どうやって調べるの?」


 セレーナにそのことを伝えると、方法を聞いてきた。まあ、気になるのは当然だわな。セレーナは頭がいいし、昨日の一件でうちの奴らに頼れないことぐらいは察してるだろうな。ならどうするか、気になるのは当たり前だと言える。


 「簡単なことだ。この世界にはせっかく魔法があるんだから有効活用しない手はないだろ?」

 「そんな魔法があるの? ・・・この世界?」

 「ああ、つってもまあ、オリジナルだから知らないのは無理ないと思うがな」


 セレーナが俺の言葉に疑問を持ったようだが、聞こえないふりをする。なんというか、セレーナの前だと今まで言わないように気をつけていたことがついつい口から出ちゃうんだよな。気が抜ける相手なのか、それとも・・・・・・いや、俺はロリコンじゃない。

 ついつい浮かんだ考えを頭を振って打ち消し、セレーナに詳細を話す。


 「簡単に言えばこの魔法は盗聴器みたいなものだ。・・・って、盗聴器って言ってもわからんか」


 まただ。ついつい地球感覚で話してしまう。今までのそんな感じはあったが、セレーナの前では特に出てしまうな。


 「えーっとな、あらがじめ仕掛けておいた音を拾う機械が拾った音を電波で飛ばして遠くで聞く的な感じなんだが・・・」

 「・・・きかい? でんぱ?」

 「まあ、わからんか。とにかく、遠くの音が聞けるってことだ」

 「はじめからそう言ってよ。魔法式を大雑把に言われても分からないから」


 今度セレーナに地球の言語を教えるか。言葉を選ぶのが面倒だし。・・・そもそも何でセレーナに説明しなきゃならないんだ。やっぱり俺はなんかセレーナに特別な感情を抱いているのか? 性的ではないのは断言できるが、友達以上の感情を抱いているのは間違いなさそうだ。興味があるから、というのは無意識的に自分の感情をごまかしていたのかのかもしれない。・・・って、何考えてるんだ俺。これは多分、キャットンさんにいろいろと言われたせいだ。深く考えるのはやめておこう。

 俺は一旦その思考を放棄して、魔法式を構築する。基本的には盗聴器の原理だが、盗聴器を仕掛けることは出来ない。仮にできても距離がありすぎて電波が届かない。電波の方はいくつか中継を挟むということを入れればいいが、仕掛けることができなければそもそもこの魔法は成立しないように見える。それに中継を挟む方も中継を仕掛けないといけないはずだ。しかし、これらの問題は、そもそも考える必要性はない。何故なら、そんなことを気にしていたらどの魔法も『魔法』発動しなくなってしまうからだ。

 この世界の『魔法』の『魔法式』は、『酸素が燃焼すれば火がつく』のように『れば』と、前提条件がついていることがある。しかし、この前提条件は別に満たしていなくても発動している。魔法の教本には、『魔法とは、法則に従った理論を具現化する』と書いてある。もしくはそれに近い内容が書いてある。俺はこの教本を読んで魔法に関して色々と実験をしたところ、魔法に関する法則に気づいた。気づいたというか、誰ひとり当たり前過ぎて見逃していた、というべきなのかもしれないが。つまり、『前提条件を省略して現象を起こす』というものだ。そのため、この前提条件が満たされない魔法も発動する。

 構築し終わった魔法式に魔力を注ぎ、魔法を発動させる。


 「この魔法、なんて名前にするか・・・」

 『“Wiretap”でいいんじゃないかしら?』

 「まんま盗聴器かよ・・・って、いつの間に人格入れ替わったッ!?」


 セレーナがいつの間にか《裏》人格になっていた。


 『あなたが魔法式を構築している間に』

 「ああ、それなら気づかないか」


 魔法式構築時には集中しているから気づかなかったのも納得できる。だが、


 「前にも聞こうと思ったんだが、何で『英語』を知っている? それから、どんな条件で人格が移り変わるんだ?」

 『別に答えてもいいけど、魔法、完成しているわよ』

 「え? あ、やばっ」


 いつの間にか魔法が完成し発動していた。ちなみに、魔法の発動速度は集中の度合いによって変わる。めちゃくちゃ集中していればほとんどタイムラグなしだし、今のように頭の片隅で処理を行うと10秒近くかかる。

 一旦、セレーナとの話を中断して、『盗聴(ワイアータップ)』で拾った音声に耳を傾ける。




 その音声を聞いて俺の予想が間違っていないことを確認した。






“Wiretap”のカタカナ表記を教えていただいたので、盗聴魔法の名前を『盗聴(ワイアータップ)』に変えておきます


次話投稿は明日です

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