第一章)メイドさん>母親な第三話
やっと、主人公以外が出てきます。
「セイちゃん、おはよ~♪」
翌朝、高いソプラノヴォイスと共に部屋の扉がバンッっと、開かれる。
朝からうるせーなー。
夜泣きは我慢してやってんだから、もうちょっと朝は静かにしてくれよ。
という気分で始まった、今日。
扉を開けたのは、俺の母親、セリム=イルヴィナス。美人というより、美少女といった外見だ。俺と同じく金髪碧眼で、髪型は少しウェーブがかかったロングヘア。碧い眼は、パッチリとしていて、元々の童顔を更に幼く見せている。身長は、160cmはないだろう。歳は、見た目15、6歳かな?外国人の顔は日本基準じゃわからん。
「あうあいよ」
忘れているかもしれないが、あくまで俺は1歳児だ。その為、舌が全く回らない。つまり、意思の疎通が全くできないということでもあるのだ。
だから、こうなる。
「きゃあ~~♪かわゆぃ~♪」
「あああいうあら、あまれ!!」
「あら、余れって、かわゆぃね~♪」
「いいいいあきうくな!!おおおああか!!」
「なんか、会話が成立してるようにも聞こえるわね~♪」
成立しとらんわ!!
ちなみに、俺はこの母親が苦手だ。単純に疲れるから。ついでに、俺の口調も変化してしまうからなー。ああ、早くメイドさん来ないかなぁ・・・。というか、かわゆぃねって、どこで覚えたんだろう?
「お姉様、そのくらいにしたほうがいいのでは?」
ガシ
「ん?」
ポイ
ヒューン、、、ドゴンッ
「うぐふッ」
俺の母親を静止させてぶん投げたのは、メイド服を着た少女。
整った顔立ちに、緑色の髪をポニーテールにした髪型。髪と同色の眼。身長は、母親のセリムよりも少し低い。155cmくらいか?常に無表情で、何を考えているのかわからないのが特徴で、気配を消すことに関しては、おそらく超一流だろうね。部屋にいて全く気づかせないこともよくあった。ちなみに、セリムを投げ飛ばしたのは、魔法による身体能力強化らしい。
さて、疑問に思っている人もいるかもしれない。なぜ、奥様ではなく、お姉様なのか!!
俺も聞きたい。
すごく疑問なところだ。
あぁ?
なら聞け?
うまくしゃべれねぇんだよッ!!
「み、ミレイちゃん、いきなり壁に投げるのはどうかと思うわよ・・・」
「これは失礼、お姉様。ですが、セイト様がウザったそうにしていたもので」
壁の破片を落としながら歩いてきたセリムに、メイドさん、ミレイ=ナサさんが何故かお手拭きを渡す。ナサって宇宙局かよとは思ったが、異世界だから気にしない。渡されたお手拭きで汗をぬぐいつつ、またも俺ににじり寄ってこようとするセリム。
そこに立ちふさがったのはミレイさん。
「あくまでも、私の邪魔をする気?」
「結果としてそうなるかもしれませんが、セイト様がウザがっているためしょうがありません」
「どう見ても、嬉しそうだったじゃない!?」
「目がおかしいのでは?おそらく、お姉様以外の誰が見ても、ウザがっていたように見えたと思います」
「話が通じないわね、こうなったら直接攻撃よ」
「そうなったら、私も実力行使です」
そして、殴り合い(ミレイさんが一方的に吹き飛ばすだけ)を始める2人だった。




