第一章)VSゴブリンの第十二話
今回はちょっと短いです。
周囲30mの円状に100を超えるゴブリンを見たとき、最初に出てきたのは「何故、これだけの数が近づいていたのに、全く気づかなかったのか?」という疑問だった。
俺の気配探知能力は、それなりに高いと自負している。少なくとも、100m以内に入ったら気づく。それなのに、大量のゴブリン達に30m以内に接近された。というより、そこにいきなり出現したような感じだった。ならば、それが可能な技術があるか考えてみる。
まず思いつくのは、次元属性による転移魔法か。
だが、これは選択肢に入れなくていいと思う。現在次元魔法を使えるのは嫉妬の大陸の学園長だけだからな。あの人がそんなことをするとは思えないし、やる必要も無い。秘匿された奴がいるかもしれないけど、そんなことはほとんどないし。
次に思いつくのは、創造魔法。
しかし、これも不可能。創造魔法では命を創ることはできないし、そもそも使い手がいない。
う~ん。
原因がわからないな。
まあ、考えてもしょうがないからいいや。
とりあえず、一掃しよう。ついでに魔法を試してみるか。
魔法式としては、雹が降ってくる原理と氷柱の出来る過程の応用。上空に出現させた雹を熱で少しだけ溶かし、氷柱型にする。それを大量に降らせるだけの簡単な魔法。簡単といっても、前世の記憶を持つ俺にとってであり、一応特級の魔法だ。
名前としては・・・そうだな
「『氷針雨』って、とこか?」
次の瞬間、俺に向かってきていた100を超えるゴブリン達に、直径1cm程の氷柱型の氷、およそ100万が100km/hという速度で降り注いだ。
そして、ゴブリン達は、一匹の例外もなく体を貫かれて絶命した。
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「・・・はぁ、やっと終わった・・・」
一匹一匹証拠部位を剥ぎ取るのはとてつもなくめんどくさかった。おまけに、ゴブリンどもは随分と臭かったから、後で匂いを落とさなきゃな。魔法でなんとかなるか?水だけじゃ落ちそうもないから洗剤とか再現しなきゃならんか。
ゴブリンの数は117匹だった。証拠部位を剥ぎ取るのにかかった時間は1時間半。随分と時間がかかってしまった。ついでに、グリーンドラゴンと戦った時に砕けた右手の人差し指の状態も気になる。
とりあえず、一旦帰るか。




