やさしく手に入れた夜
通りすぎる綺麗な義足の女性。
やさしく笑った・・・
クズだぞ俺・・・
また夢に出やがった・・・
いや・・想像してた・・思い出してたのか?
二度寝、三度寝と、繰り返すうちに、自宅にやって来る男
「おいいいいいっっす」
「・・ん・・んっ?ああ・・・今、何時?」
「16時。ケーオツベイベー?」
「んっ。ケーオツっ」
友人が起こしに来る。
昨日頼んどいた事。鍵は、玄関の横の植木鉢にあるからと・・
篠崎 龍也 18歳。同級生。
勿論・・・偽名。
ちなみに、ケーオツは、おっけ~?・・ですね。
ベイベーは、何となく。
「・・・・・」
「・・どうした?今日テンション低いね。」龍也
まだ、さっきの夢を引きずってる。
いや、あの景色、風の匂いを。
本当に夢は意味が解らない。
ただ、その日のテンションを少し下げる位の力しかないが・・・
「もう、行く?今日も?」龍也
「温泉入って行きたい。」
「いいよ。温泉入ってからの~」龍也
「からの~~~~~」
・・・・・・・・・・・・
「うぃ~~ん」 (車の窓の開く音)
「すいませ~ん。僕達今日、キャナダから留学してきたんですけど
愛してるって、日本語しか、まだ覚えてないけど
この日本で生きて行けますかっ?」
「わははキャナダって!」女の子
「いやっ、べらべらだしっははは」女の子
「聞こえますか?僕のこのキャナダボイスがっ?」
「ふはははは。何?キャナダボイスって?ははは」女の子
最近は、この辺の高速道路で最速の運転手の龍也
ヤクザ仕様の高級セダンで、
ポイント、ポイントの罠をすり抜けて、滑走する。
ここ、五日連続くらいで、福岡に遠征と言う名の、ナンパに来てる
今の所、負け知らず。
一昔前まで、親不孝通りって、言われてた場所。
東京の街で、当てはめるなら、渋谷みたいな街・・かな。
はいっ。ガチチョロ。(本当にチョロイ)
海辺で、愛を語るんだ。口づけて・・・
やさしく相手の唇を噛みながら。
「ねえ・・見て。」
「んっ?」女の子
龍也が、少し離れた所で、愛を奏でる。絡み合ってる舌。
「いやらしいでしょ?友達が、チューしてるのって?」
「ほんとだ。
ふふ・・・私も、好いとーよっ」女の子
って、言いながらキスして来るのが、もう、
博多さいこーーーって、アゲアゲになる要因。
多分一番かわいいな。この好いとーよ。が。
まあシメのラーメンも食べるよね。仲良く四人で。
まあ、4時くらいまで、遊んで帰っていく。本日お開き
ナンパした子と、エッチしないのかって?
しない。ほぼ。ほぼね。
だからモテるんだと思うし。
もう、ガツガツしてて、あっ!こいつ、今日やりてーなって
明らかな奴って、モテないでしょ。
余裕さと言うか、クールと言うか、遊び慣れ?
よく、風みたいって言われる。
いつの間にか取り込まれて、過ぎ去っていくって・・
次の日も車を飛ばす高速
「・・居るな・・昨日の子」
「・・・めんどくせえな・・キスしただけで・・」龍也
どういう心理で、またここに来てるかは解らない。
まあ向こうも、まったく同じ考えだろうけど・・
多分、あいつら、どうせ、毎日ここに居るぞって感じか・・・
確認?嫉妬?
普通、キスしたら付き合うの?
くだらない・・・だとしたら、200人以上だぞ・・・
でも、抱いた女の数は、10人も行ってない。
変な所で真面目なんだ、キスはするくせに・・
「来たっ。ほんっと、あいつら、ここのドンらしいな今」女の子
「有名みたいね。最近ここら辺で、おもしろかわいいって」女の子
とりあえず気づいてない振りして、スルーする。
ずるいかも、知れないけど、今日の保険。
他の子ナンパして、引っかからなかった時用のね。
僅か一週間くらいで、有名になっちまった。
そして、一度、車の道を譲った、地元のよく見る二人組
まー、どこにでも居るんだ。俺達みたいな夜遊び人
多分こいつらも、悪い事して金稼いで、
金と時間持て余してるってのが、よくわかる。同じグレーの住民だもん。
「こんちは~おにーさん」地元人
「あいっすー。どう?今晩は?」
たった、一回、道譲っただけで、広がっていく輪。
なんつーのかな・・いいよね。こういうの。
多分、年も一緒くらいなんだろうな。
それと・・大体気配で分かる。絶対こいつら、地元じゃ有名人。
「新顔いるよ。公園の外周。でも、俺等でも、手に負えなかったんだ
行ってみてよ。うるさいんだ、お笑いに。
一人、大阪から来てるみたい。いい女だよ、とびきり。」地元人
「おお~。俺のナンパ魂に火が着いた。行ってみる」
「わはははは、じゃあ、俺達、別回るわ、またなっ」地元人
「情報ありがと~またね」
向こうも、こいつら半グレだって分かってる。
毎日夜の街に出没してるし、気配で・・。
「来たよっ。あれだね。有名らしいよこの辺じゃ」女の子
「悪そうな、車やな。」大阪の女の子
「うぃ~~ん」窓から少し乗り出す上半身
「止めないでっ!。・・止めないでよ!・・・僕の恋を・・」(感情的に)
「うぃ~~ん」って、窓閉めて、もう、過ぎ去っていく
何も無かった様な、無表情で、前だけ見つめて・・・
運転してる、龍也のタイミングもバッチリ。
「ぶははははは」女の子
「なんだそりゃ、おもろいやんっ」大阪の女の子
ナンパは、とにかくツカミが、大事。
そして、過ぎ去る事も・・・・
ちょっと、周りを一周して、もう一度行く。
そして、さっきの事は、何も無かった様に・・
「すいませ~ん。ちょっと、道、聞きたいんですけど、僕は、いったい、
どこに、たどり着けばいいんですか?」(本当に困った感じで)
「わははは知らないよっ」女の子
「ほんま、おもろいな。今日の博多一やわ。ええよ。乗ったるわ」大阪の子
はいっガチチョロ
でも、地元じゃないんで、あんまり遊ぶ場所とか知らないから
地元の女の子に運転を変わる。
まあ、大体行く所は、海だね。
車の後部座席で、軽く握る手・・
いやらしくなく、ごく自然に。
てか、癖・・本当、躊躇もなく。
なんだろ・・多分女の子でも居るけど、思わせぶりな子・・
やけに、馴れ馴れしかったり、自然に触ってきたり、
人の飲みもの、ちょーだいって、言って、普通に飲むタイプ
の、男版かな?
「博多も、おもろい子居るやんっ」大阪の子
「俺、広島だしっへへっ」
そう、地元は広島
広島では、かわいいチンピラのエース
福岡では、おもしろかわいいナンパ師
東京では・・・・・クズ。
高橋 健二 18歳
勿論・・・偽名
ヤクザ狩りの健二 通称、ヤクケン
あと、厄介物の、意味のヤクネタからも来てる、
ヤクネタの健二で、ヤクケン
止めれるもんなら、止めてみろって、感じで・・生きてる。
そして、また海辺で、引き込む。変な間で・・・
あれっ?どうした?目線があったり、逃げたり、
何か、勇気を振り絞ってるような?
一回軽く引いて、軽く開けた口のまま・・・
自分の目を、とろけさせ・・・ゆっくり欲しがる唇を。
もう、キスする前から、微妙に漏れ出す息をやさしく吸う声
「・・んっ・・あっ・・・チューも上手やな・・年下のくせに」大阪の女
「うん・・んっ・・・」健二
絡める舌に、すべての嘘が乗る。多分名役者。
いざと言う逃げ場所が欲しいから・・・
「また、逢いたいから、連絡先教えて・・」健二
「ええよっ。遠距離で、よかったら・・」大阪の女
付き合って・・・なんて、野暮な言い方はしない。
エッチも、しない。
大阪のキャバ嬢
平田 真美 22歳
博多の友達の所に遊びに来てたみたい。
普段地元なんかじゃ、絶対ナンパされたりとか出来ないから
楽しんでたみたい。まあ、これから付き合うみないな感じ。
だけど、お互い、多分本気じゃない・・・
都合のいい恋だと、思ってる・・・
遠距離だから。
「あんたら、なんで、そんな、金持ってんねん?」真美
それから、四人で食事に向かってお会計で
真美が出してくれようとしたので、
断って、龍也と、俺が二人共、財布出してた・・・
ゴバッっと、多いくらいに入ってる札束。
「宝くじ、当たったから」龍也
「俺も」健二
「嘘つけよ・・・・」真美
止めれるもんなら・・・・
止めてみろや。